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一番星のキミに恋するほどに切なくて

第1話 - 一番星のキミに恋するほどに切なくて

117

2023年05月06日

#SnowMan

#だてあべ

ぴな

亮平

「お帰りなさい、涼太さん」

涼太

「……ただいま。亮平、おかえり」

亮平

すると、噛(か)みしめるように涼太さん
は言った。

亮平

「ねぇ、涼太さん、今日はすごく楽し
かった。」

亮平

「連れて行ってくれて、ありがとう」

亮平

最初は僕を連れていくのに反対してたの
に、僕のお願いを叶えてくれた。

涼太

「……なら、よかった。」

涼太

「アイツらを怖がらないでいてくれて」

涼太

「ありがとな」

亮平

「え……？」

涼太

「あんなナリだろ？」

涼太

「怖がられたり、覚えのないイチャモ
ンをつけられたりするんだ……。」

亮平

そうだったんだ……。
僕も最初は、やっぱり偏見の目で見る他
の人たちと同じだった……。
でも……。

亮平

「言葉を交わして、目を合わせてみて
はじめて、その人のことがわかるんだ
よね」

涼太

「実際に会ってみてってことか？」

亮平

「うん。だから、もっとみんなに
知ってほしいな。」

亮平

「狼牙の人たちが、どれだけ優しくて
気さくな人たちかってこと」

亮平

そう言って笑うと、涼太さんはうれしそ
うに笑みを浮かべた。

涼太

「……俺は少し心配だったぞ」

亮平

「心配？」

涼太

「アイツら、鼻の下伸ばして亮平を
見てやがったからな」

亮平

「それは涼太さんの気のせいだよ！！」

亮平

まさか、鼻の下伸ばすほど、僕に魅力が
あるとは思えないもん。

涼太

「無防備」

亮平

「え？」

涼太

「あんま、心配かけるな」

亮平

ポンッと僕の頭をなで、涼太さんは先に
部屋の中に入る。
今日は涼太さん、楽しそうだった。
それに、僕も……。
あんな風に笑ったのは久しぶりだった。
また、自然と笑顔になる。

亮平

「待って、涼太さーん！」

亮平

涼太さんを追いかけて、その背中に
ギュッと抱きついた。

涼太

「おい」

亮平

「ふふっ、涼太さん」

亮平

「夜はなにが食べたい！？」

涼太

「……カレー」

亮平

「了解しました！」

亮平

そう言って2人で笑い合う。
涼太さんの笑顔に、僕まで笑顔になった
こんな風に、ずっと幸せな気持ちでいら
れますように。
……心の中で、そう願った。

亮平

約束のカレーを作って食べ、お風呂を
済ませた僕と涼太さんは、同じベッドに
横になる。
いつものように、涼太さんは僕を抱きし
めたまま目をつぶった。

亮平

「ねぇ、涼太さん」

涼太

「なんだ、寝られねぇのか」

亮平

涼太さんは僕を見つめて、優しく背中を
さすってくれる。
僕はずっと不思議だったことを口にして
みた。

亮平

「どうして、僕を拾ってくれたの？」

涼太

「……そんなに知りたいのか？」

亮平

涼太さんは僕を見つめて、困ったように
頭をガシガシとかいた。

亮平

「うん、知りたい」

亮平

ここで聞かなければ、涼太さんはずっと
教えてくれない気がしたから、僕も涼太
さんをじっと見つめ返し、はっきりそう
答えた。

涼太

「はぁ……。」

亮平

涼太さんは観念したように、ため息を
ついた。

涼太

「……てたからだ……」

亮平

「へ……？」

亮平

今、なんて？

涼太

「一度で聞き取れ。」

涼太

「……俺と似てたからだ」

亮平

「え……-？」

亮平

涼太さんと……似てた……？

亮平

「なにが似てたの？」

亮平

もちろん、顔とか容姿(ようし)じゃない
ことは明白だ。
だったら、なにが……？

涼太

「お前の目が、昔の俺……いや、今も
そうか。」

涼太

「目が似てたからだ。」

亮平

「目……？」

亮平

いまいちピンッとこない。
僕と涼太さんの目、そんなに似てるかな

亮平

「似てるかな？」

涼太

「目ってパーツの話じゃないぞ。まぁ」

涼太

「まだ……な」

亮平

それっきり涼太さんは口を閉ざして
しまった。
涼太さん……。
僕は生きることをあきらめてしまった。
もしかしたら、涼太さんもそう思ってる
の……！？
涼太さんはなにを諦めてしまったの？
涼太さん、僕は涼太さんのために、
なにができる？
僕が存在していられる時間は短い。
それでも……。
ずっと一緒にはいられないけど……。
涼太さんのために、何かしたい。
僕は、なにをすればいいの？
それっきり瞳を閉じてしまった涼太さん
を見つめながら、心の中で問いかける。
この人のために、なにかできることを。
それが僕の、今の生きる理由なのかも
しれない…….。
涼太さん……。
僕はあなたに、なにを残せますか…？