※注意事項
こちらの作品は約1年前の
2019年6月頃に製作開始し
いろいろあって今頃完成した
作品になっております。
そして、バージョンも
更新以前のものになります。
現在のTELLERとは大きく違う
ところがある恐れがありますが
ご了承ください。
サキエ
「ここが、都会ね」
サキエ
「やっぱり、人多いわね…」
快斗
「そうだなぁ!」
快斗
「まぁ、田舎より多いからなぁー」
快斗
「うろちょろすんなよぉー?」
サキエ
「わかってるわよ」
快斗
「そういえばさぁー、何で俺を誘ったんだよ?」
快斗
「遊翔とか きとらさん とか、いんだろ?」
サキエ
「ん?」
サキエ
「荷物運びだけど?」
快斗
「荷物運びって、おい…」
サキエ
「だって、遊翔は荷物運びには」
サキエ
「向いてないし」
サキエ
「きとらさんは、ああ見えて力持ちだけど」
サキエ
「真面目すぎるわ」
快斗
「まぁ、あいつはぁ」
快斗
「『最優の優等生』って、変な異名で呼ばれるほど」
快斗
「真面目な奴だしなっ!」
サキエ
「快斗なら話しやすいし」
サキエ
「面白いし、優しいし」
サキエ
「それに…」
サキエ
「守ってくれるからかな?」
快斗
「おっ、おぅ…」
サキエ
「あっ、今照れたわね?」
快斗
「うっ、うるっせぇーな!」
快斗
「いちいち、照れること言ってくるから悪い!」
サキエ
「照れたことは否定しないんだー」
サキエ
「うふふ」
快斗
「何笑ってんだよぉ!」
遊翔
「カズエ、始めるぞ」
カズエ
「うん!」
遊翔
「やり方わかるか?」
カズエ
「これ、はじめて使うから」
カズエ
「わかんない」
遊翔
「スイッチあるだろ?」
カズエ
「オンにするんだね」
カズエ
「わー、動いたー」
遊翔
「すごいな」
遊翔
「よし、早速入れるか」
カズエ
「フルーツいっぱい入れよー」
遊翔
「フルーツジュースができるって」
遊翔
「ミキサーって、すごいなー…」
カズエ
「ガンガンなってるよ!」
カズエ
「すごいね、お兄ちゃん!」
遊翔
「コップ持ってきてやるよ」
カズエ
「うん、お願い!」
カズエ
「まだかな、まだかな」
遊翔
「おっ、そろそろいいんじゃないのか?」
遊翔
「よし、コップに注ぐぞ」
カズエ
「はやく、はやく!」
遊翔
「カズエ、暴れるな」
遊翔
「こぼれるぞ」
カズエ
「あっ、ごめん」
遊翔
「よし、お前の分だぞ」
カズエ
「わーい!」
カズエ
「フルーツジュースだ!」
カズエ
「うまい!」
遊翔
「良かった」
カズエ
「それじゃ、お兄ちゃんどう?」
遊翔
「おいしいよ」
遊翔
「よし、みんなのぶんも作るよ」
カズエ
「カズエのとお兄ちゃんはあるから…」
カズエ
「サキエちゃんと快斗兄ときとらさんと…」
カズエ
「あとは…」
遊翔
「『阿野 堅琉』さん」
(あの かたる)
遊翔
「『高坂 幸』さん」
(こうさか さち)
カズエ
「1、2、3、4、5」
カズエ
「5つだね」
遊翔
「そうだな」
カズエ
「スマホなってるよ」
遊翔
「うん」
遊翔
「誰からだろう?」
遊翔
「……!」
カズエ
「どうしたの?」
遊翔
「カズエ、行くぞ」
カズエ
「えっ、どこに?」
きとら
「さて、ケーキも買えましたし」
きとら
「ホテル、戻りましょうか」
サチ
「うん」
きとら
「そういえば、サチさん」
サチ
「はい?」
きとら
「サチさんのしたの名前って…」
きとら
「幸せって書くよね?」
サチ
「そうですけど? 」
サチ
「それがどうしたんですか?」
きとら
「いやー、どんな意味でつけられたのかなって?」
サチ
「さぁー?」
サチ
「忘れちゃいましたね…」
きとら
「そっか」
サチ
「多分、幸せになってほしいとか」
サチ
「そういう意味かと…」
きとら
「………」
きとら
「ごめんなさい…」
サチ
「えっ?」
きとら
「どうやら、思い出したくないことを」
きとら
「思い出させてしまったようで…」
サチ
「……別にいいよ」
サチ
「ずいぶん前の話だし…」
サチ
「それに私の嫌いなものは」
サチ
「ほとんど消えてしまったから」
きとら
「嫌いなもの?」
サチ
「きとらくんは少しなら覚えてるでしょ?」
サチ
「『輝き―』のことを…」
きとら
「……!」
きとら
「どうして、それを?」
サチ
「私、前の世界じゃ」
サチ
「『岸辺 幸』って、名前だったよ」
きとら
「岸辺 幸!?」
サチ
「ほら、私の『サチ』と前の『幸(コウ)』って」
サチ
「同じ漢字だからきとらくんなら」
サチ
「気づいてくれるかなって、思っていたせど」
きとら
「それはまぁ、なんとなくそんな気がしていましたけど…」
きとら
「女性になってるなんて」
きとら
「そんなことがあるわけないと」
きとら
「決めつけていました…」
サチ
「そりゃ、そうだね」
きとら
「あっ、でも、サチさんが前の世界の記憶が残ってるのは予想通りでした」
サチ
「さすが、優れた才能を持つ」
サチ
「『最優の優等生』だね」
きとら
「その呼ばれ名はあまりす好きじゃないですね」
サチ
「それじゃ」
サチ
「『最強の能力者』が良い?」
きとら
「それは、もっと嫌です!」
きとら
「そもそも、最強なのは“コ”の方で」
きとら
「僕ではありません!」
サチ
「そういえば、“コ”って何?」
きとら
「あぁ、すみません」
きとら
「僕達は野生の虎と」
きとら
「干支などで使われる」
きとら
「寅で区別していたんです」
サチ
「つまり虎(コ)が最強で」
サチ
「寅(イン)が最優のきとらくん」
きとら
「そういうことです」
きとら
「なので、名前も」
きとら
「最強の能力者 輝虎」
きとら
「最優の優等生 輝寅」
きとら
「このようになるわけです」
サチ
「そういえば、もともとの名前がひらがなでしたね」
きとら
「それがね、あったんだ」
サチ
「あっ、そっか」
サチ
「輝きが無くなった世界だから」
サチ
「きとらくんの両親は…」
きとら
「生きてるよ」
きとら
「両親はもともと」
きとら
「輝きを悪用した組織に殺されてしまったから」
サチ
「まぁ、その組織もこの世界では存在していませんが」
きとら
「そうですね」
サチ
「ねぇ、きとらくん」
サチ
「前の幸と私は」
サチ
「記憶を共有しているだけで」
サチ
「別人なんですよ」
きとら
「昔に何かあったのでしょうね」
サチ
「はい…」
きとら
「でも、今は無理に聞きません」
サチ
「その方が嬉しいです」
きとら
「まぁ、それにネタバレにしすぎちゃってますし」
サチ
「ん?」
サチ
「メタ発言かな?」
きとら
「…おっと、ホテルが見えてきましたねー!」
きとら
「早く急ぎましょう!」
サチ
「切り替え方下手ね…」
きとら
「さて、何のことでしょう?」
サチ
「まぁ、別にいいんだけど…」
サチ
「ところで今何時かしら?」
きとら
「んー、16時34分です」
サチ
「18時まで、時間あるわね」
きとら
「とりあえず、ケーキを置きに行ったあと」
きとら
「何処か出かけます?」
サチ
「デートのお誘いかしら?」
きとら
「はい、そう受け取っても構いませんよ?」
サチ
「私のこと好きなの?」
きとら
「いえ、恋愛対象としては見ていませんが…」
きとら
「なんか、男女のペアで組み合わされていたので…」
サチ
「なるほどね」
サチ
「サキエと快斗に遊翔とカズエ」
サチ
「そして、きとら と私ね」
きとら
「まぁ、その中の阿野さんだけいませんが…」
サチ
「ていうか、以外と積極的だね」
きとら
「そうですか?」
サチ
「以外というか」
サチ
「ギャップというか」
サチ
「まぁ、面白いわね」
きとら
「面白いですかね…」
サチ
「まぁ、そうと決まれば」
サチ
「急ぎましょ!」
きとら
「そうですね」
阿野さん
「ふぅー」
阿野さん
名前:阿野 堅琉
(あの かたる)
性別:男性
阿野さん
「こんな時間か…」
阿野さん
「そろそろだな」
阿野さん
「残り10分…」
阿野さん
「はじめに到着するのは誰だろうな」
きとら
「あっ、阿野さん」
きとら
「こちらにいらっしゃいましたか」
阿野さん
「デートは楽しかったか?」
きとら
「ん?」
きとら
「何故それを?」
阿野さん
「えっ、冗談のつもりだったのだが…」
サチ
「以外とちゃんとしたデートだったわ」
阿野さん
「君達、付き合っていたのか…」
きとら
「いえ、付き合っていませんよ」
サチ
「付き合ってはいないですね」
阿野さん
「そのわりに息ピッタリだな…」
しばらくすると、 遊翔 と カズエ がやって来た。
遊翔
「何人かお揃いで…」
遊翔
「阿野さん、頼まれたものです」
サチ
「何ですかそれ?」
阿野さん
「あぁ、これはな」
阿野さん
「託されたものだよ」
サチ
「託されたもの?」
阿野さん
「もし、都会の方にみんなで行く機会があれば持っていくように」
阿野さん
「そう、託されてな」
サキエ
「託されたって?」
サキエ
「その袋に何が入ってるんですか?」
阿野さん
「それは、私にもわからない」
阿野さん
「全員が揃うまで開けるなと言われておる」
サキエ
「誰にですか?」
阿野さん
「確か名は… 」
阿野さん
「来宮… 」
きとら
「……!」
きとら
「来宮……」
サチ
「喜美子………」
阿野さん
「……ん?」
阿野さん
「知っているのか?」
サキエ
「来宮 喜美子…」
サキエ
「どこか、懐かしい名前ね…」
サキエ
「忘れちゃいけないような…」
快斗
「そうかぁ?」
快斗
「どっか、聞いたことある名前だなぁっとは思うけどよぉ?」
遊翔
「私もどこか懐かしい感じがします」
カズエ
「私、キミ子お姉ちゃんのこと覚えてるよ」
カズエ
「赤羽 滝斗兄ちゃんのことも」
きとら
「えっ?」
きとら
「覚えてるって?」
カズエ
「前の世界のこと」
サチ
「そっか、カズエちゃんの場合はそうなるのね」
きとら
「なるほど……」
阿野さん
「来宮 喜美子の名前に関して盛り上がってるとこすまんが」
阿野さん
「来宮 喜美子さんではない」
きとら
「えっ、違うのですか?」
阿野さん
「そろそろ、時間だ」
テルキ
「はじめまして皆様」
テルキ
「私の名前は『来宮 輝希』です」
きとら
「えっ、まさか!」
サチ
「もしかして…」
カズエ
「わー!」
テルキ
「はい!」
テルキ
「来宮 喜美子の娘です!」
―テルキ―
キミ子の娘。
名前:来宮 輝希
(きのみや てるき)
現在、中学の14歳
テルキ
「そして、お目覚めの時間です」
サキエ
「……!」
サキエ
「キミ子……!」
テルキ
「どうやら、無事思い出せたようですね」
きとら
「でも、君は何者なんだ?」
きとら
「どうやってここに?」
テルキ
「聞きたいことはたくさんあると思いますが」
テルキ
「まずはその袋を開けて中身を出してくれませんか?」
阿野さん
「あぁ、そうだな…」
サキエ
「これって…」
テルキ
「それは母と連絡がとれる」
テルキ
「唯一の『輝結晶』です」
快斗
「“かがやきけっしょう”だぁー?」
快斗
「どうやって使うんだよぉ?」
テルキ
「ここでは使いにくいので」
テルキ
「部屋にいきましょう」
テルキ
「それじゃ、その中央のボタンを押してください」
サキエ
「えぇ…」
サキエ
「えっ、ここどこ?」
快斗
「なんだぁー、ここはぁ?」
遊翔
「なるほど、ここは前の世界か」
カズエ
「すごーい、キレイ!」
きとら
「ここは、あのときの…」
サチ
「そうだね」
サチ
「それと、そこにキミ子さんがいますよ」
キミ子
「待ってたよ、みんな!」
キミ子
「テルキ」
キミ子
「連れてきてくれて、ありがとうね」
テルキ
「私の役目はここまで」
テルキ
「あとは、お母さんが説明して」
キミ子
「うん!」
サキエ
「キミ子なの……?」
キミ子
「うん、そうだよ!」
快斗
「それにしてもよぉ、何で大人の姿なんだぁ?」
キミ子
「それはねぇー」
キミ子
「きとらくんに答えてもらおうかなー!」
きとら
「おそらくですが」
きとら
「キミ子さんが作り出した新世界は」
きとら
「あなたが生まれるはずだった」
きとら
「15年前の5月17日からやり直したのではないですか?」
きとら
「前の世界… ここ“旧世界”では」
きとら
「そのままの時が流れるから」
きとら
「キミ子さんは、もう大人の女性の一人だ」
快斗
「マジかよ!」
きとら
「そして、ここに残った滝斗さんもまた28歳になってるはずです」
キミ子
「やっぱり、すごいね!」
キミ子
「全部当たってるよ!」
サキエ
「15年間ずっと滝斗と2人で?」
キミ子
「2人じゃないよ」
キミ子
「私達の子も入れて4人だよ」
サキエ
「もう一人いるの?」
キミ子
「うん、四人家族だよ!」
サキエ
「あんた、すごいわね…」
キミ子
「いやー、それほどでもー」
サキエ
「ほめてはないけどね」
快斗
「それよりよぉー、なんのために呼んだんだよぉ?」
遊翔
「そうですね、そろそろ本題に入ってもいい頃じゃないだろうか?」
キミ子
「おぉー、そうだった、そうだった!」
キミ子
「さてさて、この場に集まってもらったのは」
キミ子
「今日がサキエの15歳の誕生日だからです!」
サキエ
サキエ
「……えっ?」
快斗
「はぁあぁぁあー?!」
サキエ
「その為にこの世界に連れてきたの?」
キミ子
「うん!」
キミ子
「もともと、誕生日会する予定だったでしょ?」
キミ子
「だから、まぜてもらおうかと」
遊翔
「何か、事件でもあるかと思えば… 」
きとら
「それが、キミ子さんらしいですけどね」
キミ子
「さてさて、テルキがテーブルとケーキ」
キミ子
「遊翔とカズエちゃんが作ったフルーツジュースもこっちに持ってきてくれたから」
キミ子
「バースデーパーティーしよう!」
サキエ
「って、いつの間に!」
サチ
「というよりここでするの?」
テルキ
「そうですね」
テルキ
「キミ子さんはここから出られませんから」
きとら
「そうなんですか…」
快斗
「てかよぉ?」
快斗
「滝斗はどうしたんだよぉ?」
キミ子
「滝斗は訳あって出ることはできないけど」
キミ子
「ケーキはあとで渡すから大丈夫だよ」
きとら
「出ることができない?」
キミ子
「うん」
キミ子
「まぁ、それは今は置いといて」
キミ子
「みんな席について」
キミ子
「さぁー、みんなで歌おう!」
キミ子
「さて、みんな!」
キミ子
「そろそろ、時間だよ」
サキエ
「時間?」
サキエ
「もう会えなくなるの?」
キミ子
「そんなことはないよ」
キミ子
「今、阿野さんが持ってる“輝結晶”があれば」
キミ子
「“1年間以内”ならいつでもここにこれるよ」
キミ子
「まぁ、その代わり電池が一時間しか持たないから」
キミ子
「そろそろ戻らないとね」
サキエ
「1年間?」
キミ子
「あー… 寿命の話……」
サキエ
「輝結晶の?」
キミ子
「まぁ、そうなるね」
サキエ
「……?」
キミ子
「あと、充電の仕方は 24時間明るい場所に置いとけばできるから」
きとら
「1日もかかるのですか」
キミ子
「おっと、輝結晶のボタンが赤くチカチカしてるよ」
キミ子
「これはすぐに切れるよ」
カズエ
「そっか!」
カズエ
「キミ子お姉ちゃん、またね!」
キミ子
「うん、またね!」
遊翔
「キミ子さん、それではまた」
キミ子
「遊翔くん、うんまたね」
サチ
「キミ子さんと話せて楽しかったです」
きとら
「そうですね、サチとして出会うのははじめてでしたね」
サチ
「そうなんですよね、前世は幸(コウ)だったので」
サチ
「いつか話してみたいと思っていました」
キミ子
「私も楽しかったよ」
サチ
「それじゃ、また会いましょう」
キミ子
「うん!」
きとら
「それじゃ、私もこれで」
キミ子
「バイバイ、きとら!」
快斗
「来宮 喜美子さんよぉ?」
快斗
「今度、滝斗にも会わせろよぉ?」
キミ子
「うん、どうにかするよ」
サキエ
「どうにか?」
キミ子
「まぁ、そこら辺は置いといて」
快斗
「まぁ、よくわからんが」
快斗
「とりあえず、じゃあなぁ」
キミ子
「じゃあね」
キミ子
「それと、サキエのことよろしくね」
快斗
「なっ、それはどういうこったぁあ?!」
サキエ
「よろしくね!」
快斗
「お前まで… 」
快斗
「……おっ、おうよ!」
キミ子
「じゃあね、快斗!」
快斗
「おう……!」
阿野さん
「それでは、来宮さん」
阿野さん
「また、お会いしましょう」
キミ子
「うん、阿野さんまたね!」
サキエ
「ねぇ、キミ子」
キミ子
「何?」
サキエ
「あなた、私達に隠し事してるでしょ?」
キミ子
「うん、してるね」
サキエ
「隠し事をしてることを隠そうとしないのは相変わらずね」
キミ子
「えへへ」
サキエ
「でも、今は話せないんでしょ?」
キミ子
「そうだね、少なくとも1年ぐらいはね」
サキエ
「1年って…」
サキエ
「まぁ、1年以内にバレそうな気がするけど」
キミ子
「それ、滝斗にも言われた」
サキエ
「でしょうね!」
サキエ
「滝斗がここに出られない理由も関係してるんでしょうね」
キミ子
「鋭いね~」
サキエ
「あなた、本当に気をつけなさいよ?」
サキエ
「ただでさえ、聞かれたことを嘘偽りなく」
サキエ
「馬鹿正直に答えるんだから」
キミ子
「そうだね、気をつけるよ!」
サキエ
「残り10秒もないから行くね」
キミ子
「うん!」
キミ子
「またね、『サキエ』――」
サキエ
「またね、『キミ子』――」
キミ子
「やっぱり、サキエには気づかれちゃうかー」
キミ子
「多分、きとらも隠し事してることは気づいてると思うけどね」
キミ子
〈ビクッ!〉
キミ子
「何だ、滝斗か」
キミ子
「脳に直接、声かけないでよ~」
キミ子
「ビックリしたよ!」
キミ子
「まぁ、別にいいけど」
キミ子
「わからない」
キミ子
「でも、ギリギリまで隠し通すよ」
キミ子
「それに私と滝斗が死んじゃう前に方法を見つけるよ」
キミ子
「私達が生き残る方法を――」
キミ子
「あと、滝斗がいなくなっちゃったら」
キミ子
「次の『あの方』を決めないとね」
キミ子
「そうそう」
キミ子
「そう言っても候補は娘達だけどね」
「輝きの能力(ちから)を持っているのはあいつらだけだからな」
キミ子
「それじゃ、二代目」
キミ子
「この二つの世界のバランスを保ってね」
キミ子
「テルキは、あのお店ところ」
キミ子
「そうみたいだね」
テルキ
「いかがでしたか」
テルキ
「この物語は…」
あなた
「………」
テルキ
「そうですか」
あなた
「二人はどうなったんだ?」
テルキ
「二人は一年後に皆に見守られて」
テルキ
「静かに消えていきました」
テルキ
「……でも、どこかで私を…」
テルキ
「私たちのことを見守っている気がします」
あなた
「もしかして、物語に登場するキミ子と君の関係って」
あなた
「親子か?」
テルキ
「正解です」
あなた
「えっ、まさか実話?」
テルキ
「さぁー、どうでしょうね?」
テルキ
「この話を最後まで聞いてくれたのは」
テルキ
「”あなた”だけです」
テルキ
「最後に“あなた”と出会えて良かった」
あなた
「そうか、ここも閉店か…」
テルキ
「またどこかで会えますよ」
あなた
「あぁ、またはどこかで…」
テルキ
「ありがとうございました」