すとぷりーまん ～働く王子様と働くお姫様の大人な恋～

突然のキスに

腰が抜けそうになる

そういうと俺の好きな人は

キャリーケースを引きずって

走っていってしまった

『大好きなんだけど』

このモヤモヤを抱えたまま

過ごす3週間は

彼がいないこともあり

長く感じる

俺もずっと好きだったのに

好きって言えないまま

どこかに行っちゃうの…

そう思うと怒りと哀しみが同時に押し込めてきて

行動せずにはいられなかった

俺はすぐに着替えて

新幹線のチケットを取り

彼の実家である

新潟県に向かった

着いたのは深夜

今日はこの駅でホテルをとる予定

その日は全然寝れなくて

結局始発に乗ることにした

今日の起床も5時過ぎ

農家の朝は早い

ただ、久しぶりに母さんの朝ごはんを食べた

今日は父さんと田植えの日

俺は機械の免許を持ってないから

自分の持分を自分で田植えをする

少しだけ暑い緑が広がる道を歩きながら

少しだけ後悔する

歩き続けて4時間

彼の実家に1回行ったことあって

しかも道も覚えてるけど

彼の実家に行ったら

彼のお母さんが

『田植えをしに行った』って

今、すごく探してる

ふと横を見ると

ピンク髪で服が泥まみれの

好きな人がいた

何も考えず走り出していた

彼の胸に頭を疼くめる

彼からの告白

彼はまた

泥の着いた俺の服に涙をつける

俺の目から

自然と涙が溢れてくる

昼の1時から

涙を流し合う

20代後半の男2人

周りから見ればただの変な人だけど

俺らにとっては

幸せすぎる最高のひととき

顔を上げて笑った彼の口に

1週間前と同じキスをした