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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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私は今薄暗い部屋でこの手記を書いている

影に潜んだ「彼女」の視線をずっと感じながら。

楠木

(僅か人口数百人の辺境『 咒隠し』の噂を耳にすることが無ければ、訪れる機会もなかっただろう。)

坂井

運転代わりましょうか

楠木

きにするな

ギアを切り替えようとした瞬間黒い鳥が目の前を横切る。

ブレーキに大きく車体が揺れた

坂井

まあゆっくり行きましょう。
あそこの退避帯があるから、一度休暇しませんか

楠木

……ああ

山並みに向けて早速一眼レフカメラを構え始める。

坂井

こいつは、中々だ

楠木

おいあまり時間がないぞ

坂井

分かってますって。
もう少し上がれば、いいアングルで一帯が見渡せそうなんで。

楠木

吸い終わるまでに戻ってこいよ

楠木は倒木に腰を下ろし火をつける

楠木

(会議室で私の告げた、国代の言葉を思い出す)

国代

乾のことには、あまりこだわらん方が良い

楠き

どうしてです。

国代

お前だって分かっているだろ、楠木。あいつはフリーだ。

楠き

だからって…

乾は今も行方不明なんですよ

国代

乾の親族からも捜索願いが出されているんだ。これ以上俺らにどうすることも出来ん

楠き

しかし………

国代

そもそも近くの山ではやつの車が見つかっただけだ、今回の取材と乾の失踪は別の話だ。

国代

それだけは肝に命じておけ

楠き

……

机の企画書を乱雑に握りしめ、私は席を立った。

楠木

……ふう

紅緒

どこに、行くの

驚いて振り返ると、そこには赤い着物を着た1人の少女が立っていた 私は、思わず口籠ってしまう。

楠木

あ、ああ……。
この辺の子かい?

紅緒

野晒し村

楠木

野し晒村………野指村のこと?

訊ねると、少女は表情を変えずに山の向こうに側に視線を移す。 人形のように無機質なその瞳、 私は怪しまれないように笑顔を作る。

楠木

僕達は雑誌を作っていてね。その本に載せる話を、村の人たちに聞きに行くつもりなんだ。

冷ややかな視線を向けた少女は大人びた口調でこう告げる

紅緒

やめておいた方が良い。もし千咒峡に足を踏み入れたら、きっと戻れなくなる

楠木

千咒..…峡?

楠木

その千咒峡って……どこにあるんだい。野指村の近く?

だが娘は私の質問には答えず、木の枝に掴まって斜面に身を乗り出す。

楠木

あ、危ないよ!

坂居

どうしたんですか、楠さん

楠木

坂井女の子が……

だが再び振り返ったときは、少女の姿は無かった。

楠木

おまえみなかったか。このくらいのの身長で、赤い着物の

坂居

いやあ、上からカメラで覗いていましたが見えませんでしたよ。

楠木

坂居

惜しかったですね。写真に撮れれば、いわくつきの村謎めいた娘、なんて見出しが付けれたかも

楠木

あまりセンスのあるタイトルじゃないな

坂居

いいんですよ、俺は写真が仕事なんですから。

楠木

だが、実際に超常現象のひとつも見たことが無いけどな

坂居

オカルト雑誌の記者の割に

楠木

実際、現実の方が有り得んことが多いのさ

*

坂居

ちょっと村の外観、撮っときますね

草の茂るあぜ道に車を止め坂井がカメラを構え始める

坂居

楠木さん……あれ、なんですかね

古びた社殿と藍色の鳥居が見えた。

楠木

神社だろ田舎にはどこだってある

坂居

いやその向こう側。
高いやぐらみたいなのが立っている所……

カメラの望遠レンズをズームした坂井が、思わず手を止める。

坂居

な、なんだよ……あれ

楠木

ちょっと見せてみろ

楠木

な……

やぐらに首を吊るされた……人間の姿だった カメラ越しに死体と目が会合い思わず手の力が抜ける。

坂居

ちょ、ちょっと楠木さん

楠木

死体首吊りの

坂居

い、行ってみましょう、ここに居ても仕方ない

楠木

………あ、ああ

なされるがままにエンジンを掛ける

少女の告げた「野晒村」という言葉が頭の片隅をすぎた。

高台のふもとに車を止め、私たちは急いで石段をかけ上がる。

坂居

あんなの、首吊りっていうより……

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