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第1話 - あ

2023年07月20日

#恋愛

結城真矢

ハナエ

仕事は終わった？

ナツキ

ああ、さっき終わったよ

ハナエ

今日もお疲れ様！

ナツキ

ありがとうハナエ

ナツキ

家に帰ってもハナエの手料理が食べられないのが寂しいよ

ハナエ

料理だけ？

ナツキ

勿論ハナエにも会いたいよ

ハナエ

私も会いたいよナツキ…

ナツキ

ごめんな、また出張になっちゃって

ハナエ

ううん、ナツキが私のために頑張ってくれてるって知ってるから

ナツキ

うん

ナツキ

それに、今後の家族のためにもね

ハナエ

今回の出張は短いんでしょ？

ナツキ

うん、短期出張だからね

ナツキ

かかっても1週間かな？

ハナエ

でも本当にナツキは多いね

ハナエ

友達の旦那さんは年に1回あるかないかって言ってたよ

ナツキ

うちは全国展開してるしね

ナツキ

手当もでるし、その分稼げるから

ナツキ

ハナエには寂しい思いさせてしまって本当に申し訳ないと思ってるけど…

ハナエ

私なら大丈夫だよ

ナツキ

本当に？

ナツキ

最初の頃は毎日電話して泣いてたのに？ｗ

ハナエ

そりゃあ最初の頃は寂しかったけど！ｗ

ハナエ

ナツキの頑張りを見てたら、そんなわがまま言えないよ

ナツキ

ありがとう

ハナエ

今日も疲れてるんでしょ？

ハナエ

シャワー浴びてーゆっくり休んでね

ハナエ

私はもう眠いから先に寝るね

ナツキ

わかった、おやすみ

ハナエ

おやすみナツキ

～翌日～

リュウジ

おい聞いたぞナツキ

ナツキ

なにをだ？

リュウジ

お前また取引先の人に気に入られたんだって？

ナツキ

そうなのか？

リュウジ

こっちじゃその話題で持ち切りだぞ

リュウジ

ナツキが出張でまたやりやがった、って

ナツキ

誰がそんな噂を…

リュウジ

でも実際気に入られていい条件で契約できたんだろ？

ナツキ

気に入られたかどうかは分からないけど、良い条件で契約できたのは本当だよ

ナツキ

向こうは最初結構頑固だったけど、粘り強く交渉してたら

ナツキ

段々軟化してきてね

ナツキ

最終的にはお互いに一番ベストな所に落ち着いたよ

リュウジ

やっぱすごいんだなお前

ナツキ

凄くないよ

ナツキ

精一杯、一生懸命やっただけだ

リュウジ

普通の人間はそれができないのさ

ナツキ

俺には家族がいるからな

ナツキ

家族のために頑張らないと

ナツキ

リュウジにもわかるだろその気持ち？

リュウジ

まあハナエちゃん可愛いもんな

リュウジ

それに比べてうちの嫁ときたら、まさに月とスッポンだよ

ナツキ

そんなことないだろ

ナツキ

お子さんもいるんだしさ、今何歳だっけ？

リュウジ

2歳と4歳だな

ナツキ

これからじゃないか！お互い仕事頑張ろうぜ

リュウジ

…そうだな

～数日後～

キヨシ

ナツキくん、ちょっと話があるんだが今大丈夫かね？

ナツキ

お義父さん、どうされましたか？

ナツキ

今電話ができないのでメッセージでも大丈夫でしょうか？

キヨシ

ああ大丈夫だよ

キヨシ

ハッキリと正直に言おう

キヨシ

孫を作る気はあるのかね？

ナツキ

え？

キヨシ

君がハナエと結婚してもう5年になる

キヨシ

ハナエも30歳になった

キヨシ

結婚当初はまだ若かったし、将来の事を考えて仕事に打ち込むのも分かる

キヨシ

だがもうそろそろ落ち着いて、将来の事を真剣に計画してもいいんじゃないかね？

ナツキ

それは…

キヨシ

君も知っていると思うがハナエは子供が大好きでね

キヨシ

長男に子供が生まれた時は自分の子供のように喜んだものだ

キヨシ

将来は保育士になろうかと考えてたこともあるぐらいだ

ナツキ

はい、それはハナエから聞いています

キヨシ

では聞くが、君はハナエとの間に子供を作る気はあるのか？

キヨシ

聞けば出張ばっかり言ってるそうじゃないか

キヨシ

そういう事をよく任されるのなら

キヨシ

君が会社や上司に信頼されているという証拠なんだろう

キヨシ

実際、君の会社での業績は良いとハナエから聞いた

キヨシ

だが出張にばかり行っていてはいつまで経っても子供が作れないだろう

キヨシ

まさかとは思うが、出張先に女がいるわけじゃないだろうな？

ナツキ

そんなことありません！

ナツキ

僕が愛しているのはハナエただ一人です

ナツキ

ただ、会社での信頼を勝ち取るには人の倍は努力しないといけなくて…

キヨシ

それは私も分かっている

キヨシ

問題は君に子どもを作る意志があるかどうかだ

ナツキ

勿論、あります

ナツキ

ハナエとの幸せな将来を望んでいます

キヨシ

…そうか、わかった

キヨシ

君のその言葉を信じよう

ナツキ

ありがとうございます

～翌日～

ハナエ

ナツキ、ごめんね

ハナエ

お父さんがまた何かいらない事言ってきたでしょ

ナツキ

いや、大丈夫だよ

ナツキ

お義父さんのいう事ももっともだったから

ナツキ

お義父さんはいつも俺たちの事を心配して言ってくれてるんだし

ハナエ

そうだけど…

ハナエ

お父さんになんて言われたの？

ナツキ

それよりハナエ、大事な話があるんだ

ハナエ

なに？

ナツキ

しばらくの間、長期の出張は断ることにしようと思う

ナツキ

短期出張もできるだけ断って、最低限の量にしようと思う

ナツキ

それこそハナエのお友達の旦那さんが言っているような、年に1,2回くらいに

ハナエ

急にどうしたの？

ナツキ

そろそろ…俺たちも、子どもを作ってもいいんじゃないかと思ってさ

ハナエ

え…？

ハナエ

本当に？

ナツキ

本当だよ！ずっと考えてたんだ

ナツキ

もう俺たちも30歳だ

ナツキ

お金も結構貯まってきたし、そろそろいいんじゃないかと思うんだ

ハナエ

ナツキ…私嬉しい！

ハナエ

早速、今度帰ってきたらスッポン料理作らなきゃねｗ

ナツキ

初日からハードだなｗ

～1年後～

ハナエ

ねえナツキ、今大丈夫？

ナツキ

今ちょうど休憩中だよ

ナツキ

どうしたの？

ハナエ

大事な話があるの

ナツキ

なに？

ハナエ

実は…少し前からアレがこなくて、もしかしてと思って産婦人科に行ったんだけど

ハナエ

今、3か月目だって

ナツキ

え？まさか…

ハナエ

うん…私たちの子供、だよ

ナツキ

本当に？

ハナエ

うん！私たちの子供ができたんだよ！私達もお母さんとお父さんになるんだよ！

ハナエ

どっちに似てるかな？名前はどうする？あ、そっか画数とか調べなきゃいけないんだ

ハナエ

お父さんとお母さんにも名前の事相談したいな…

ハナエ

あ、もちろんナツキのお義父さんお義母さんにも聞いてみようね！

ハナエ

子育てのアドバイスとかも欲しいし、そうだ今度お兄ちゃんに色々聞いてみよっと！

ハナエ

ねえ、聞いてる？

ナツキ

勿論聞いてるよ

ナツキ

あまりの嬉しさにちょっと頭の中が真っ白になっちゃってｗ

ハナエ

わかるｗ私も病院でそれ聞いた時数秒固まっちゃったもんｗ

ナツキ

そうか、俺たちについに子供が…

ナツキ

これから、もっともっと頑張らないとな！

ハナエ

そうだよ、一緒に頑張ろう！パ～パ！ｗ

～数日後～

ナツキ

ハナエごめん、今回の出張ちょっと長引きそうなんだ

ナツキ

帰るの遅くなると思う

ハナエ

本当？珍しいよね長引くなんて

ハナエ

今までそんなことなかったのに

ナツキ

今回の相手は難敵なんだよ

ナツキ

最初はOKって言ってたのに急にNG出してきて難航してるんだ

ハナエ

ねえ、本当に出張行ってるんだよね？

ナツキ

どういうこと？いってるよ、今同僚と熊本だよ

ハナエ

浮気してないよね？

ナツキ

浮気！？そんなのしてるわけないだろ！？

ハナエ

なんか、前に妊娠報告した時もそこまで嬉しそうじゃなかったから…

ナツキ

そんなことないよ！あの時は本当に頭の中が真っ白になっただけなんだよ

ハナエ

そうだよね、ナツキが浮気なんかするわけないよね

ナツキ

そうだよ考えたこともないよ

ハナエ

ごめんね、変なこと言って

ハナエ

私もう寝るね、おやすみ

ナツキ

大丈夫？

～数日後～

キヨシ

おいナツキくん、一体どういうことだ！！

ナツキ

お義父さん、どうされたんですか？

キヨシ

娘が、君が浮気してるかもしれないと言ってふさぎ込んでいるんだ！

ナツキ

えぇ！？その事については話し合ったはずなんですが

キヨシ

娘と結婚しておきながら浮気しているのか！

ナツキ

しているはずがありません！ハナエの誤解なんです！

キヨシ

もし本当に浮気していたらただじゃ済まさないぞ！

キヨシ

とにかくもう一度話し合え！分かったな！！

～翌日～

ナツキ

ハナエ、話があるんだ

ハナエ

どうしたの

ナツキ

昨日お義父さんから連絡があったんだ

ナツキ

俺が浮気してるかもしれない、ってふさぎ込んでるって

ハナエ

だって、少し前からナツキの様子がおかしいから…

ハナエ

電話もあんまりしてくれなくなって、メッセージでのやり取りだけだし

ハナエ

結局出張もたくさん行ってるし

ハナエ

もうあんまり行かないって約束じゃなかったの？

ハナエ

やっぱり…浮気してるの？

ナツキ

浮気してるのは…ハナエ、君の方だろ？

ハナエ

へ？

ナツキ

俺、お義父さんに子供の事どう考えてるんだって聞かれた時真剣に考えたんだ

ナツキ

それで、ハナエとの子を作りたいって思った

ナツキ

だから念のため病院で調べたんだよ

ナツキ

そしたら俺…子供ができない身体なんだって

ハナエ

え…？

ナツキ

そういう病気だったらしい、生まれつき

ナツキ

だから俺びっくりしたよ

ナツキ

ハナエから妊娠してるって連絡がきたとき

ナツキ

俺は子供ができない身体、なのにハナエが妊娠しした。それってつまり…

ナツキ

俺は興信所に依頼したんだ

ナツキ

それで、この1年のハナエを調査してもらった

ハナエ

そんな…

ナツキ

ハナエ…リュウジと浮気してたんだな

ナツキ

確かにハナエは俺と付き合う前からリュウジと仲が良かったけど

ナツキ

まさか浮気までするなんてな…

ハナエ

じゃあ、全部知ってたっていうの！？

ナツキ

だからわざと出張もこれまで通りに行ってたんだ

ナツキ

俺が出張に行ってる間は毎日のようにずっと会ってたみたいだね

ハナエ

だって仕方がないじゃない！

ハナエ

愛する人が何度も何度も出張に行くのよ！？

ハナエ

私だってまだ若かいし、女盛りなのに！

ハナエ

そんな妻を置いて出張に行く夫の方が悪いわ！

ナツキ

それが君の言い分か…

ナツキ

心底幻滅したよ

ナツキ

まず謝罪じゃなく、開き直りなんだね

ナツキ

どんな理由があろうと不貞は許されざる行為なのに

ハナエ

あの人の事は愛してなんかない！愛してるのはあなただけよ！

ハナエ

信じて！本当の事なの！

ハナエ

あなたが出張に行って寂しい思いをしていた時、たまたま彼から連絡があって

ハナエ

久しぶりに2人で飲まないかって…最初は私も普通に飲んで帰るつもりだったの

ハナエ

でも彼に口説かれて…久しぶりにお酒を飲んだから私も酔っちゃってて、それでその場の勢いで…

ナツキ

リュウジは既婚者だろ！？結婚式にも2人で出席してお祝いしたじゃないか！

ナツキ

そもそもリュウジの奥さんをリュウジに紹介したのもハナエのはずだろ！？

ナツキ

君たちのその安易な行動で、一体どれだけの人が不幸になると思ってるんだ！？

ハナエ

ごめんなさい…

ハナエ

でも本当に信じて、彼とは割り切った関係だったの

ハナエ

本当に愛しているのはナツキだけなの！

ナツキ

信じられるわけないだろ！？

ハナエ

お腹の子があの人の子供だというならおろすわ！

ハナエ

私はあなたとの子だと思ってた…愛するあなたとの子だと！

ナツキ

君は自分の都合で平気でそんな選択ができるんだね…

ナツキ

じゃあもし俺が病気じゃなくて浮気にも気付かなかったとしたら

ナツキ

君は、君たちは何も言わないまま墓場まで持っていくつもりだったのか

ナツキ

お互いのパートナーを裏切っておきながら

ナツキ

何事もなかったかのような顔ができるってことなのか！

ハナエ

許して！あなたの事を愛してるのナツキ！

ナツキ

愛というのは信頼そのものだよ、ハナエ…

ナツキ

そしてそれを壊したのも君だ

ナツキ

俺たちは離婚する、勿論君とリュウジに慰謝料も請求させてもらう

ナツキ

リュウジの奥さんからも請求されるだろうけど、精々支払い頑張ってくれ

ハナエ

ねえ待ってナツキ！私別れたくない！あなたと一緒にいたいの！

ハナエ

ナツキ！お願い許して！ナツキ！

ナツキ

これからは弁護士を通して連絡してくれ

～後日談～

ナツキ

ハナエが頑なに離婚したがらなかったため裁判は難航したが

ナツキ

最終的に首を縦に振り、俺たちは離婚する事になった

ナツキ

慰謝料はハナエとリュウジから合わせて700万円ほどになった

ナツキ

そのお金を基に俺はホテル暮らしをすることにした

ナツキ

元々出張が多かったからその方が性に合ってる

ナツキ

リュウジは奥さんと離婚し、俺に合わせる顔がなくて会社にも居辛くなったのか退職していった

ナツキ

リュウジの奥さんはこの業界では有名な大手企業の社長さんで

ナツキ

きっともう戻ってこれないだろう

ナツキ

ハナエは俺と離婚した後実家に戻ることになった

ナツキ

両親に毎日怒られまくりながら農業を手伝っているらしい

ナツキ

離婚する前にハナエの両親が頭を下げに来てお金を渡そうとしてきたが断った

ナツキ

もう彼らに関わり合いたくなかったからだ

ナツキ

俺の離婚話はあっという間に社内に広がり、何度も同情された

ナツキ

ありがたい事に前から俺に好意を持ってくれている人がいて、今はその人とお付き合いしている

ナツキ

仕事の成績も上々で、幸せな毎日だ

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結城真矢

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