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らんくんのもう一人の存在ってなんなんだろう
rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 暴力表現注意⚠️ 二次創作
rara🎼
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rara🎼
第46話『侵食する影』
朝。
曇り空から射す光は弱く、部屋全体が灰色の膜で覆われているように見えた。
らんはベッドの上で浅く呼吸を繰り返していた。
夜は眠れなかった。
瞼を閉じるたびに「影」が割り込んできて、夢と現実の境を曖昧に溶かしてしまう。
らん
耳の奥でざわめく低い声。
鏡の中に立っていた“もう一人の自分”の囁きだ。
らん?
らん?
らん?
らん
掠れた声で呟くと、喉がひりついた。
まだ朝なのに、すでに一日が終わるような疲労感が全身を蝕んでいる。
洗面所に向かい、鏡を覗き込む。
そこに映るのは、ひどく青白い自分の顔。
――その唇が、意志とは無関係に動いた。
らん
血の気が引いた。
反射的に蛇口を捻り、冷たい水を顔に叩きつける。
息を吸う。
吐く。
だが胸のざわめきは消えない。
午前。
リビングには、いるまが座っていた。
テーブルに書類を広げ、淡々と視線を走らせている。
らん
いるま
いるま
苦笑いを返しながら、らんはソファに腰を落とした。
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
こさめ
こさめ
明るい声とともに、こさめが姿を現す。
一瞬で、空気が変わった。
いるまはちらりと視線を上げただけで、すぐに書類へ戻る。
らんは胸の奥がざわつくのを必死に押し隠した。
こさめ
こさめ
らん
らん
こさめ
心配そうに覗き込んでくる笑顔。
その距離の近さに、胸が締めつけられる。
――だが。
視界の端に、黒いノイズが滲んだ。
音もなく、もう1人が囁く。
らん?
背筋が凍る。
昼下がり。
三人で軽く食事をとったあと、こさめがリビングで笑いながら話をしていた。
いるまはほとんど相槌を打つだけ。
らんは頷こうとするたびに、視界が二重にぶれた。
――食卓の向こうに、別の光景が重なる。
汗をかきながらステップを踏む仲間たち。
笑顔のこさめ。
レンズ越しに映す自分。
それが真実だと直感する。
だが同時に、もう1人の声が頭の奥を抉る。
らん?
らん?
らん?
らん
思わず小さく声が漏れた。
こさめ
こさめ
こさめが不思議そうに首を傾げる。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥で何かが切れた。
――視界が暗転する。
次に意識を取り戻したとき。
らんの手は、こさめの肩を強く掴んでいた。
こさめ
こさめの瞳が大きく見開かれる。
その目には恐怖と困惑、そして涙が滲んでいた。
自分の意思ではない。
体を動かしているのは――もう1人の自分だった。
らん?
らん?
低く、冷たい声が喉を震わせる。
自分の口から出たはずなのに、自分の言葉ではなかった。
らん?
らん?
その瞬間、こさめが震える声で叫んだ。
こさめ
こさめ
必死に腕を掴み返す。
小刻みに震えながら、涙をこぼし続ける。
こさめ
言葉は途切れ、嗚咽に変わった。
胸の奥で何かが揺らいだ。
その震えが波のように広がり、もう1人の冷たい声をかき消していく。
らん?
らん?
頬を伝う熱いものに気づいた。
涙。
自分の涙だった。
らん
叫んだ瞬間、意識が反転する。
重苦しい影が引きはがされ、体が自分のものに戻る。
目の前には泣きじゃくるこさめの顔。
そして、その隣で腕を組みながら、じっと観察しているいるまの姿。
こさめ
こさめが怯えたように名を呼ぶ。
らん
らんの声は震えていた。
だが、記憶はない。
ほんの数秒前に何をしようとしたのか、真っ白に塗り潰されていた。
らん
自分でも聞き取れないほど小さく呟く。
だが、震えは止まらない。
いるまが低く言った。
いるま
その目には驚きも怒りもなく、ただ冷たい分析の光だけが宿っていた。
夜。
一人ベッドに横たわったらんの耳に、遠くから雨の音が届いていた。
瞼を閉じると、暗闇の中で声がした。
らん?
もう1人の舌打ち。
悔しげに、だがまだ余裕を残した響き。
らん
震える胸を押さえながら、らんは薄暗い天井を睨んだ。
涙の跡は消えない。
こさめの声だけが、かろうじて自分を現実へ繋ぎ止めていた。
第46話・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡470
rara🎼
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