春。
呪術高専に今年も 転入生がやってきた。
01 迷子
漆間恋姫
( あれ、ここどこ…? )
はじめまして、 ウルマコヒメ 私は漆間恋姫。
今日から呪術高専に 転入してきたんだけど、
高専の敷地が広過ぎて 絶賛迷子です。
どうにか校舎には 入れたものの、
職員室が見つからず うろうろと惑う。
誰かに尋ねようにも 人が見当たらないし、
何より私は人との コミュニケーションが苦手だ。
漆間恋姫
( どうしよう… )
校舎の中は珍しい 和風な造りで、
どの部屋も同じような 扉になっている。
勝手に開けるのも どうかと思うし、
かと言って職員室が 何階かも分からず…。
そう困り果てていると、
ふいに後ろから 肩を叩かれた。
狗巻棘
驚いて振り返ると、
そこには口元を覆い隠した 男の子がいた。
狗巻棘
ツナマヨ
漆間恋姫
💦
つ、ツナマヨ…?
相手の言っている事も 分からなければ、
自分も"話せない"。
私は慌ててスマホを ポケットから取り出して、
音声読み上げ機能で 文字を打った。
漆間恋姫
『職員室に行きたいのですが迷ってしまって…』
狗巻棘
しゃけ
状況を理解した様子の 男の子は頷くと、
踵を返して手招きした。
どうやら 案内してくれるようだ。
漆間恋姫
( よかった… )
廊下を進む男の子に 着いて歩いて、
私達は職員室に向かった。