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ケン
お前もう帰ってこなくていいよ
ケン
どうせ俺のことなんてどうでもいいんだろ？
ケン
だから全然帰ってこないんだろ？
ケン
そんなことするならさ
ケン
俺にだって考えがあるぞ
スイ
え、どうしたの？
スイ
今こっち真夜中なんだけど通知で起きちゃった…
スイ
明日も朝早いから寝たいんだけど…
スイ
急に何？
スイ
何かあったの？
ケン
もう1人で待たされるのがうんざりなんだ…
ケン
いつもいつも俺をおいてお前は海外に行ってしまうだろ？
ケン
夫婦なのにおかしいよ…
ケン
寂しいんだよ…
ケン
いくらタワマンで設備が整っていると言ってもね
スイ
それは申し訳ないと思うけど…
スイ
これは結婚する前からわかってたことよね？
ケン
何がだよ
スイ
私が専門商社で働いていて
スイ
海外に駐在することが多いって
スイ
それでもいいから結婚しようって言ったのはあなたじゃない
スイ
待つのは得意だって
ケン
昔はそう思ってたかもしれない
ケン
最近転職活動中で俺が不安なのは知ってるだろ？
ケン
もう無理なんだ
ケン
とにかくもう
ケン
こんなに待たされて
ケン
辛いんだ
スイ
こんなにって…
スイ
今回の出張は２週間よ？
スイ
そんなに寂しくなるような期間じゃないと思うけど…
ケン
2週間もだよ…
ケン
お前にとっては短いかもしれないけど
ケン
俺にとっては長いんだ
スイ
いや、そう言われても
スイ
いつも大体２週間ぐらいで帰ってるし
スイ
３ヶ月に1回仕入れの関係で行くだけだから
スイ
そんなに寂しくなくない？
ケン
お前の物差しで全てを考えるなよ
ケン
自己中な女だな
ケン
俺は辛いんだ
スイ
けどあなたも出張って言って
スイ
国内で１ヶ月帰ってこない時もあったじゃない
スイ
それはどうなの？
スイ
私を寂しくはしてないの？
ケン
それは仕事だから仕方ないだろ？
ケン
我慢しろよ
スイ
いや、めちゃくちゃブーメラン…
スイ
自分の行動を見返してほしいわね…
スイ
大丈夫そう？
ケン
何を言ってるんだ…
ケン
とりあえずもうお前みたいに妻として失格なやつ
ケン
帰ってこなくていいから
ケン
帰国してきたら自分の実家に帰ってくれ
スイ
ちょっと…！
スイ
なんでそんなことを言われないといけないのよ！
スイ
私たち2人の家じゃない…！
ケン
悪いのはお前なんだから仕方ないだろ？
ケン
俺を寂しがらせた代償だと思えば安いもんだ
スイ
何よそれ…
スイ
そこまで言われるなら結婚する前に言って欲しかったわよ…
ケン
なんだ？
ケン
結婚したのを後悔してるのか？
スイ
そういうことじゃないけど…
ケン
別に俺はいいんだぞ？
スイ
何がよ？
ケン
離婚しても
スイ
は？
スイ
どういうことよ
ケン
家を頻繁に留守にするような妻は
ケン
いてもいなくても変わらないからな？
ケン
別にいなくなっても悲しくないわ
スイ
ちょっと…
スイ
本気で言ってるの？
ケン
本気だよ？
ケン
だから言ってるんだよ
ケン
帰ってこなくてもいいって
スイ
なんでそんな結論になるのよ…
スイ
自分が寂しくなるから帰ってこなくてもいいし
スイ
離婚してもいい？
スイ
離婚した方が寂しいんじゃないの？
ケン
それはそれ
ケン
これはこれだよ
ケン
とりあえずそういうことだから
ケン
じゃあな
スイ
ちょっと！
スイ
何結論づけてるのよ！
スイ
私が帰国して帰ったらこれは話しましょう！
ケン
もういいよ…
ケン
帰ってきても家に入れないからな？
ケン
じゃあな
スイ
ちょっと！
スイ
本当に入れないつもりなの！
〜1週間後〜
スイ
ちょっと！
スイ
本当に入れないんだけど！
スイ
一体どういうこと…？
ケン
ん？
ケン
なんだお前か
ケン
一体なんのことを言ってるんだ？
スイ
今日日本に帰ってきて
スイ
家の様子を見にきたら
スイ
入れなくなってるんですけど！
スイ
エントランスから進めなくなってる…
スイ
一体どういうことよ！
ケン
あーそれね？
ケン
この前言っただろ？
ケン
もう帰ってこなくていいって
スイ
言ってたけど…
ケン
あれだけ言ってもさ
ケン
どうせお前、帰ってこようとするだろうと思って笑
ケン
業者に行って
ケン
鍵を変えてもらったんだよ
スイ
は？
スイ
なんでそこまでするのよ！
ケン
なんでって…
ケン
この前も言っただろ？
ケン
俺のことを悲しませた罰だよ
スイ
それでここまで本当にするなんて…
スイ
信じられないわ…
ケン
これでようやく理解できたか？
ケン
俺がどれだけ本気で今回のことを考えているかってことが
スイ
まさか本当にここまでするなんて…
スイ
本当に家に入れてくれる気はないのね？
ケン
あぁ、ないね
スイ
そう…
スイ
わかったわ…
スイ
とりあえず今日は実家に帰るけど
スイ
そういうことならこっちにも考えがあるわ
ケン
はぁ？
ケン
なんだよ考えって
ケン
こっちが主導権握ってるんだよ
ケン
お前は大人しく頭でも冷やしとけよ
ケン
旦那を置いて海外で悠々自適に過ごしやがってよ
スイ
仕事で行ってたんだから別に悠々自適ではないわよ…
ケン
どうせ向こうで男でも作ってるんだろ？
ケン
だから好き好んで海外に行ってるんだろ？
スイ
何よそれ…
スイ
寂しくさせたみたいな話はまだ分かるけど
スイ
男がいるかっていうのはまた別じゃない
スイ
ひどい…
ケン
ひどいのはお前だろ
ケン
とりあえず１ヶ月は帰ってくるなよ？
ケン
わかったな？
スイ
わかったわよ…
〜１ヶ月後〜
ケン
おい
ケン
どうだよ？
ケン
１ヶ月経ったけど
ケン
反省したか？
ケン
俺のことをあんなに寂しい思いさせて
ケン
自分がいかに妻として不出来かを実感しただろ？
ケン
離婚されても仕方ない
ケン
そう感じたんじゃないか？
スイ
あら
スイ
随分久しぶりね
スイ
どうしたの？
ケン
どうしたもこうしたも
ケン
反省したのかって
ケン
そう聞いてるんだよ
スイ
反省？
スイ
誰が？
ケン
お前に決まってるだろ？
ケン
なんだ？
ケン
もう１ヶ月前のことを忘れたのかよ？
ケン
お前がいかに妻として旦那を心配させるか
ケン
妻としての仕事を放棄して海外に遊びに行っているのか
ケン
それをちゃんと自覚しただろ？
ケン
反省するべきなんだよお前は
スイ
あーそのことね？
ケン
なんだよ今更白々しい反応しやがって
ケン
お前がな
ケン
どうしてもっていうなら
ケン
ちょっとは考えてやっても
スイ
反省なんてしてないわよ？
ケン
へ？聞き間違いかな？
ケン
今なんて？
スイ
反省してないわって言ったのよ
スイ
LINEなんだから聞き返す必要ないでしょ
スイ
ちゃんと読みなさいよ
ケン
ど、どういうことだよ…
ケン
あんなにひどいことをして
ケン
少しも反省してないっていうのか？
スイ
ええ
スイ
だってあなたがどういうつもりで
スイ
あんなことを言っていたのか
スイ
この１ヶ月で理解したんだもの
ケン
は？
ケン
ど、どういうことだよ？
スイ
あなた不倫してるでしょ？
ケン
へ？
ケン
な、なんでそんな話に…？
ケン
ふ、不倫してるのはお前だろ！
ケン
海外で好き勝手しやがって！
スイ
だから何度も言ってるけど
スイ
私は不倫なんてしてないわ
スイ
むしろあなたよ
スイ
不倫してるのは
ケン
ど、どういうことだよ…
ケン
全然何を言ってるのか…
スイ
リカ
ケン
へ？
スイ
聞き覚えあるでしょ？
ケン
だ、誰だよ…
スイ
あら？
スイ
覚えてないの？
ケン
は？何をだよ？
スイ
私の友達よ？
スイ
家にも来た事あったし
ケン
あ、あぁ
ケン
そういえばそんな子がいたような…
ケン
あの病院で働いている子だろ？
ケン
結構可愛い感じだったよな？
スイ
へぇーよく知ってるのね？
ケン
そりゃうちに来てるならそれぐらい
スイ
嘘よ
スイ
うちに来たことなんてないわ
ケン
は？
ケン
お、お前！
ケン
適当なこと言ってはめやがったな！
スイ
騙される方が悪いんでしょ？
スイ
なんで病院で働いているって知ってたのかしらね？
スイ
確かに彼女は病院勤務だけど
ケン
そ、それは…
ケン
お前がなんかの時に言っていたのを
ケン
覚えてたんだよ…
スイ
そう？
スイ
まぁそういうこともあるかもね
ケン
そ、そうだろ？
ケン
だから知ってたんだよ
ケン
そうそう
ケン
可愛いっていうのもお前が言ったんだよきっと…
スイ
そうなのね
ケン
そう
ケン
会ったことなんてないわよく考えたら
スイ
家によんでるのに？
ケン
へ？
ケン
な、なんのこと？
スイ
家に頻繁に来てるじゃない
スイ
それこそここ１ヶ月は毎日いるようね？
スイ
あとは私が出張に行ってる間も来ていたようだし
ケン
な…
ケン
何を根拠にそんなことを言ってるんだよ！
ケン
言いがかりも大概にしろよ！
ケン
自分が責められているのを
ケン
逆転しようと適当に言ってるんだろ？
スイ
いいえ？
スイ
ちゃんと証拠もあるわよ？
ケン
な、なんだよ証拠って…
スイ
防犯カメラの映像
スイ
ちゃんと残ってるのよ
ケン
は？どういうことだよ…
スイ
彼女がエントランでインターホンを鳴らして
スイ
そのあとうちまで来ているのが
ケン
な…
ケン
なんでお前がそんな映像を見れるんだよ！
ケン
プライバシーの侵害だぞ！
スイ
はぁ…
スイ
あなた忘れたの？
ケン
何をだよ？
スイ
私たちがどうやってその部屋に住むことになったのか
ケン
そんなこと覚えてるわけないだろ？
ケン
結婚してバタバタしながら
ケン
引っ越してきたんだから
スイ
そう…
ケン
なんなんだよ！
ケン
なんだって言うんだよ！
スイ
このタワマン
スイ
私の父親のものなの
ケン
へ？
ケン
お前の父親？
ケン
そ、そうだったっけ…？
スイ
そうよ？
スイ
だから私もこのマンションのオーナーみたいなものなのよ
ケン
そうなのか…
スイ
だから管理人さんが教えてくれたのよ
ケン
か、管理人さんが…？
スイ
私が実家にいるときに電話が来て
スイ
あなたが女を連れ込んでるようだけど
スイ
大丈夫ですか？って
ケン
そ、そんなことが…
スイ
びっくりしたわよ
スイ
本当はダメだけど
スイ
オーナーの権限で監視カメラの映像を見たら
スイ
リカがうちの部屋をインターホンで鳴らす映像と
スイ
あなたと仲良さそうに部屋に入っていく映像が映っていて
ケン
く、くそっ…
スイ
それで悟ったわけ
スイ
あなたがなんで今更あんなことを言ってきて
スイ
私を部屋から追い出そうとしているのかをね
ケン
そ、そんな…
スイ
適当なことを言って私を追い出して
スイ
彼女を部屋に住ませて
スイ
離婚して部屋をもらうつもりだったんでしょ？
スイ
傷つけられた、妻としての仕事を放棄してる
スイ
とか言って
ケン
そ、そんなつもりは…
スイ
嘘ね
スイ
私知ってるのよ？
スイ
あなたが引っ越し業者をよんで
スイ
私の荷物を運び出して
スイ
彼女の荷物を運び入れているのを
ケン
そ、それも映像で見たのか…？
スイ
そうよ？
スイ
だからもう証拠は十分
スイ
確信犯よ
ケン
く、くそっ…
スイ
逃げられないわよ
ケン
こ、こうなったらこんな部屋を置いて
ケン
どこか遠いところに逃げないと
スイ
それに今ちょうど部屋の前にいるから
ケン
へ？
スイ
リカも中にいるんでしょ？
スイ
話しましょうよ
ケン
な…
スイ
あなたのご両親も一緒にいるし
スイ
リカのご両親もいるわよ？
ケン
そ、そんな…
スイ
知り合いだからね
スイ
一緒に来てもらったわ？
ケン
く、くそっ…
スイ
それに
スイ
リカの旦那さんもいるわよ？
ケン
へ？
ケン
だ、旦那さん…？
スイ
そうよ？
スイ
あら？
スイ
あなた知らなかったの？
スイ
リカは既婚者よ？
スイ
それを承知で会ってるのかと思ってたわよ
ケン
し、知らない…
ケン
そんな…
スイ
相当怒っていらっしゃるわよ？
スイ
慰謝料を請求するって
ケン
そ、そんな…
ケン
今転職活動中で
ケン
収入がないのに…
ケン
そんなたくさんの慰謝料…
ケン
払えるわけないじゃないか
スイ
知らないわよ
スイ
そんなこと
ケン
そんな…
スイ
覚悟するのね？
スイ
自分勝手に人を追い出して
スイ
愛人を連れ込んで
スイ
挙句の果てには離婚して家を奪おうとするなんて
ケン
くそっ…
〜後日談〜
スイ
その後、ケンとその両親、リカの旦那、両親
スイ
全員を交えた話し合いになり
スイ
ケンと私は離婚して慰謝料をケンに請求
スイ
リカとその旦那さんは離婚はしないけど慰謝料をケンに請求
スイ
ケンはご両親から感動を言い渡され
スイ
結局ケンは独りぼっちになり慰謝料を支払わないといけないことになりました
スイ
今は安アパートに1人暮らしてバイトをしつつ日々を凌いでいるそうです
スイ
私は無事部屋に戻りしばらくの独身貴族を楽しむことにします
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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