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クローンドック「プロローグ」〜ニ〜

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クローンドック「プロローグ」〜ニ〜

1 - クローンドック「プロローグ」〜ニ〜

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2020年12月29日

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田川 航

出だしは、好調だった。

田川 航

夏休み前の朝ということもあり、ぼくはいつになくさわやかに目が覚めた。

田川 航

雲ひとつない夏の空を見上げたぼくは、今日も何事もなく過ごせる予感に包まれていた。

田川 航

学校までの足取りも好調だ。しかし、油断は禁物。

田川 航

昇降口に入った僕は、素早くあたりを見回して、クラスの中で一番嫌いな野崎勇輝のげた箱を確認した。

田川 航

げた箱の中には上履きではなく、すでにスニーカーがあった。もう登校している証拠だ。

田川 航

上履きに履き替えた僕は、いっしゅん迷ったが、ぬいだ自分のスニーカーをげた箱の中に入れることにした。

田川 航

迷ったのは、くつを入れないで教室に持っていくかどうか考えたからだ。ぼくのくつは、このげた箱からよく消える。

田川 航

クラスの悪ガキ大将の勇輝とその一味が、ここで脱いだスニーカーをどこかへ隠してしまうのだ。

田川 航

くつがなくなったと、ぼくが先生へ言いに行くと、いつのまにか、くつはげた箱に元通りになっている。

田川 航

そんなことが数え切れないほどあった。
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