テラーノベル
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帰宅して手洗いうがいを済ませて、なつ の部屋に連れ込まれてお互いに満足するまで口付けを交わした。
家に帰ってから三時間近く なつ の部屋に居たため気付いていなかったが、既に全員帰宅していたらしい。
玄関の靴を横目に見て目的の部屋に入った。
らん
目を細めて室内を見渡す。
ここはパパの自室、と言うよりも書斎と言った方が正しいのかもしれない。
パパが亡くなってから すち たちが軽くものを捨てたが“アレ”は残っているだろうか…。
書斎机に近付いて鍵のケースから一つ鍵を取り出し、鍵の掛かっている引き出しを開ける。
一つのアルバムと、一つのビデオカメラ。それから充電コードも入っていた。
ビデオカメラを充電して電源を付けて見れば、多くのフォルダが存在していた。
そのどれもこれもに、幼い前髪ピンクの少年が映っている。
試しに一つ、再生してみる事にした。
らん
兎のぬいぐるみを抱えながらベッドの上でペタリと座って歌をうたう幼い子供。
らん
父
らん
父
らん
慌てたのかカメラがブレた。カメラを持つパパはホッと安堵した様で再びカメラを幼い子供…らん に向ける。
らん
父
らん
ぎゅう、と兎のぬいぐるみを抱きしめて笑顔を零す。
らん
父
らん
パパは何も答えられなくなり沈黙が数秒だけ襲う。だが らん が小さく歌い始めた。拙くて、優しくて、悲しい歌声だ。
らん
父
らん
父
そこでビデオの内容は終わり。
これは確か らん が幼稚園児になったばかりの頃の事だろう。
体調を一気に崩してほとんどを病院で過ごしていた事を覚えている。
カチカチと操作して色々なフォルダを見る。
いつの間にこんなに撮っていたんだろう…。
らん
父
らん
父
らん
らん
父
らん
らん
父
らん
父
らん
小学の二年生で悟った。中身も外身も全てを理解して愛してくれていたのはママとパパだけだったのだ、と。
らん
父
らん
らん
でも、それでも悟ってしまったのだ。
全ては、パパ と らん の思い出。
あんまり思い出したくも無くて探そうとはしなかった、パパの宝物。
パタン、と閉じて膝の上に置く。
椅子に深くもたれ掛かった時、不意に抱きしめられて目を見開いた。
なつ
らん
なつ
なつ
らん
らん
きちんと閉めれて無かったらしい。
やらかしたな……と思いながらもそのまま抱擁を受け続ける。
すち
すち
丸聴こえだったと言う事は、他も聞こえていたのは察していた。
あー……本当にやらかした。
昔の映像も写真も何もかも見せたくはなかったのに、聞かせたくはなかったのに。
らん
らん
らん
すち
すち
らん
昼食時に、なつ と ないこ が、らん の過去写真の話をしていた時に思い出して何となく確認したかっただけなのだ。
なつ の腕を払ってビデオカメラと充電コード、それからアルバムを持って立ち上がり、書斎机の引き出しに仕舞って鍵を掛け、鍵を元の位置に戻して面々を見る。
こさめ
らん
らん
なつ
らん
小児科医だったが、パパも医者だったのだ。
当然六奏総合病院に入院しているに決まっている。
まぁ、こさめ とは病室も全然遠かったので病院内で会う事なんて無かったからな…。
らん
昼食で二時間取られたので帰宅したのは15時頃。
そこから なつ の部屋に居たので現在時刻は18時を過ぎたくらいだろう。
すち
みこと
……火事になっていないと良いけど……。
呆れた様に笑って、慌ててキッチンへと戻って行った すち と みこと を全員で追いかけた。
#シクフォ二
さなめ
109
みちょ
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コメント
1件
第17話、読み終えたよ…。 らんの幼い頃の映像、パパとのやり取りがすごく刺さった。特に「心が死ぬまで役を演じる」って小学2年生で言い切るの、見てて胸がぎゅっとなる。パパだけが本当のらんを見てたんだね。なつたちに全部聞かれてしまうところも、らんの気持ちを思うと切なかった。でも最後に家族で鍋の火事を心配する日常に戻る感じ、そのギャップがまたいい…。