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脱ぎたがる馬鹿の群集心理とは恐ろしいもので
鴨川デルタにいた男共は
争うように衣服を脱ぎ散らかした
異常とも言える熱気が
賀茂大橋にいる馬鹿共に伝播していく
赤
黄
黄
黄
肉体の展覧会を目の当たりにした馬鹿共が
頭の悪い掛け声で頷き合う
そして
両側の土手から
パンツ一枚の男が水飛沫を上げ続々と鴨川デルタに駆け寄ってくる
追加投入された馬鹿共の群れに
桃は短い悲鳴をあげる
馬鹿と阿呆が入り乱れ
またたく間に鴨川デルタがパンツ姿の大学生で埋め尽くされる
変態の満員電車の如き地獄絵図はこの世のものとは到底思えず
発破をかけた張本人とはいえ予想以上の光景だった
桃
桃
桃
紫
紫
紫
桃
紫
紫
俺が断言すると
桃は深い溜息をついた
桃
桃
桃
紫
紫
桃
紫
紫
俺は翠の腕を掴み
ひしめき合う裸体の中心に突っ込む
戸惑う翠を無視して
高らかに主張した
紫
紫
裸体の男たちは
にわかにざわめき始める
赤
と期待を込めた眼差しを向ける者や
黄
とブーイングをする者
そして事の成行きを無言で見守る者
俺と翠は
様々な馬鹿と阿呆の注目を一身に浴びる
これで舞台は整った
紫
紫
鴨川デルタが
水を打ったように静かになる
嘲笑する者は一人もおらず
皆が真剣な眼差しを向け
言葉の続きをそわそわと待ち侘びていた
紫
紫
紫
紫
紫
紫
紫