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第五話
『終わりの始まり』
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#ご本人様には一切関係ございません
らびゅ🫶💕〜!
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大我
床に崩れ落ち子供のように泣きじゃくりながら本番を乞う俺の姿にメンバーたちは息を呑んだ
誰もが「休ませるべきだ」と分かっている
だけど今ここで大我のプロとしての誇りをへし折ってしまったら本当に彼の心が二度と戻らなくなってしまうのではないか
そんな恐ろしい予感が楽屋を支配していた
樹が深く深くため息をつき北斗と視線を交わした
北斗は俺の腕を掴んだまま苦しそうに目を閉じた後静かに手を離した
それが彼らの苦渋の決断だった
北斗
北斗
北斗の声は信じられないほど低く引き締まっていた
樹もスタジオに向かって歩き出しながら俺の背中をポンと強く叩く
樹
大我
俺は急いで涙を拭いひび割れた仮面をもう一度無理やり顔に張り付けた
お腹の激痛も過呼吸気味の肺の苦しさも全部恐怖の裏返しだ
ステージに戻ればきっといつも通りの俺に戻れる
そう信じて再びきらびやかな照明が灯るスタジオへと戻った
スタッフ
イントロの音が鳴り響く
カメラの赤いランプが点灯し俺は満面の笑みでカメラの向こうの『世界』を見据えた
マイクを口元に寄せ自分のパートを歌おうとしたその瞬間
客席のカメラのレンズの奥の何千何万という顔の無い悪意たちが一斉に牙を剥いて俺に襲いかかってきた
大我
声が出ない
脳裏を埋め尽くすアンチコメの声がスタジオの爆音をかき消して鳴り響く
『やっぱり戻ってきた』
『消えろ』
『目障りだ』
北斗
隣にいた北斗の悲鳴のような声が聞こえた
視界が急激に真っ暗になり俺の身体は今度こそ糸が切れた人形のように冷たいステージの床へと激しく崩れ落ちていった
『大我ーーーっ!!』
誰かの張り裂けそうな悲鳴がスタジオに響き渡った
ステージの真ん中で意識を失い冷たい床に激しく崩れ落ちた俺の身体
テレビ局のスタッフがパニックになり「収録中止!」「救急車呼んで!」と叫ぶ怒号が遠くの方でかすかに聞こえる
だけど俺の意識は深い泥の底に沈んでいくみたいに二度と浮き上がってはこなかった
樹
真っ先に俺を抱き起こしたのは樹だった
いつもどんな修羅場でも冷静にグループを引っ張る樹が見たこともないくらい顔を涙でぐしゃぐしゃにして俺の身体を強く強く揺さぶっている
その手はガタガタと激しく震えていた
樹
樹
樹
樹のガラガラな声が静まり返ったステージに虚しく響く
そしてその場から一歩も動けずに立ち尽くしていたのが北斗だった
北斗は俺の頭を支える樹の横で膝から崩れ落ちるように床に手をついた
北斗
北斗の唇から血が滲むほど強く噛み締められた声が漏れる
北斗
北斗
北斗
普段は冷静で感情を滅多に表に出さない北斗が胸の奥を引き裂くような声を上げてボロボロと涙を流した
最後の最後に彼のプライドを尊重して「本番に戻る」ことを許してしまった自分への猛烈な怒りと絶望が北斗を完全に打ちのめしていた
ジェシーが必死に北斗の肩を抱き慎太郎と高地が涙を堪えながら救急隊員を誘導するためにステージの扉を開け放つ
誰もが俺のために泣いていた
誰もが自分を責めて胸を痛めていた
救急車のサイレンの音がテレビ局の冷たい夜空に響き渡る
運ばれていく俺のストレッチャーの横を5人は離れようとせずただ俺の冷え切った手を握りしめていた
あんなに温かくてあんなに大切だった6人の世界が俺の心に刺さった『見えない悪意の刃』のせいで今音を立てて粉々に崩壊しようとしていた
コメント
2件
お疲れさまです、第6話「終わりの始まり」を読ませていただきました……。 ステージに戻る大我を許してしまった北斗の「俺のせいだ」という言葉が、本当に胸に刺さりました。普段冷静な彼が自分を責めて涙を流すシーン、そして樹が涙で顔をぐしゃぐしゃにして大我を揺さぶる姿……それぞれのメンバーの反応の違いが、6人の絆とその崩壊の瞬間を生々しく描いていて、読みながら息が止まりそうになりました。 見えない悪意に蝕まれていく心の描写が切なくて、でも温かさも確かにあって。続きが気になります……!