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LINE３８９

第1話 - あ

2023年03月10日

#恋愛

結城真矢

コウ

ス~イ、久しぶり～♡

スイ

ん？久しぶり？

コウ

元気してるか？

スイ

元気だけど…誰？

コウ

俺様コウだわ！なんだ、俺の消してたのか？

スイ

コウって、あのコウ？俺様とかキモ。変わってないのね…

スイ

随分連絡してなかったから誰かと。

コウ

5年くらいか？大分連絡してなかったけどなぁ。

スイ

そりゃ忘れるわ。

コウ

忘れさせないよう、ネックレスやら買ってあげてたじゃねーかよー

スイ

そんなもの、もうとっくにリサイクルいきだよ。

コウ

嘘だろ！？あれ高かったのに！もっと使ってくれよー！

スイ

残念ながら、全く。

コウ

えー、ショックだなーコウくん。

スイ

勝手にショック受けてな。

コウ

ショック過ぎてもげそう…

スイ

で、用件は何？突然ラインとかさ。

コウ

今とか暇だったりする？

スイ

は？突然なんなのよ。

コウ

そんな言い方ねぇーだろー。

スイ

意味不明なこと言うからよ。

コウ

付き合ってた頃は、すぐ俺に飛びついてたじゃねーか。

スイ

昔の話。暇なわけないでしょう。

コウ

まだ好きだろ？大好きなコウ君がお暇かお誘いしてるぞ～？

スイ

いい加減にしたらどう？

コウ

つめてーじゃねーかー

スイ

くだらないのよ、あんたはいつも。

コウ

前の女とは別れてさー、寂しくなっちゃったわけ。

スイ

だからなに。

コウ

もっかい、俺と付き合お♡

スイ

あり得ない話しないでほしいわね。

コウ

十分アリな話してるのになぁ。

コウ

やっぱ俺とお前は、運命共同体ってやつなんだって♡

スイ

…

コウ

その反応はやめてくれません？

スイ

あー、思い出したくない過去を思い出しちゃったじゃない。

コウ

なんだよ、俺らの思い出したくない過去って？

スイ

ほんと、忘れたわけじゃないよね、冗談やめてよ？

コウ

えー？

スイ

同棲中にラウンジ嬢の小娘を連れてきたことは、今でも許せない事実よ。

コウ

はは！懐かしいなぁ！その件は本当にすまんね？

スイ

本当に反省してないのね…

コウ

反省って言ったってな？俺悪いだなんて思ってねーし。

スイ

やっぱくそだわ…

スイ

当時、彼女が家にいたにもかかわらず、よく言えたもんね…

コウ

汚ねー言葉遣いしてるスイよりも、何百倍も綺麗だったよ、その子。

スイ

じゃ。

コウ

あー!ごめんごめん、嘘だって～！

コウ

用件伝えるから待って！

スイ

一応伝えるけど、私今結婚してるから、それも踏まえて言ってね。

コウ

え…！そうだったの！？結婚！？

スイ

で、何を伝えようとしてたの？

コウ

えー、うっそん。信じられんコウ君。そんな情報信じられません。

スイ

だから、私とヨリを戻そうだなんて甘い考えは通用しないよ。

コウ

俺らとの愛は、そんなちっぽけなもんじゃなかったじゃん？

スイ

十分ちっぽけな恋愛でした。

コウ

まだまだやり残してたことたくさんあるの、思い出したわ…

スイ

今更、「俺優男ですよ雰囲気出しても遅いわ。」

コウ

そんなつもりはございませーん。

スイ

ほんとかしら？自分の隣に、女切れするのが怖いだけじゃ？

コウ

スイが俺のことを好きだと確信してるから、わざわざ誘ってるんだぞー？

スイ

話が通じないみたいなんだね…

コウ

俺が悪うございました…

スイ

あれ、ちょっとはわかってるじゃない。

コウ

浮気する男には興味はございませーんってことだろ？

スイ

ま、それも一つの理由だけど。

コウ

なぁ、もう一回聞くけど、俺とやり直せん？

スイ

却下。

コウ

ほんと、つめてー。

コウ

まぁいいわ。なんとでも言えー

コウ

また連絡するー。じゃね。

～数日後～

コウ

今お前の家に向かってるぞー

コウ

家にいるかー？実家にまだいるだろ？

コウ

そろそろ着くぞー

スイ

は？

スイ

え、私んちに向かってる？

コウ

親御さんの介護、今もしてるよな？

スイ

まだしてるけど…

コウ

俺たちの結婚に向けて、挨拶したいからさ。

スイ

ちょ、勝手なことしないでよ！

コウ

常識だろ、失礼しないためなんだから。

スイ

あいさつとかなに？私もう結婚してるし、やめてよね！

コウ

そんな照れんなって。

スイ

照れてない！

コウ

俺とやり直したら、前よりももっと幸せになるぞ？

スイ

いやいやいや、マジで怖いから帰って！

コウ

なんでそんな止めるんだよー。

スイ

当たり前でしょ！やってることほんとストーカー行為だからね！？

コウ

なんでそういう言い方しかできないわけ？

コウ

愛しい彼が求めてるのに…、ないわー。

スイ

もう、あなたの言動が怖いわ。

コウ

今家にいないのか？

スイ

私は今出かけてていないの。

コウ

ま、それでも問題ないぞ。

コウ

近くのコンビニで暇つぶしてるから、家に帰ったら連絡してちょー

スイ

あんたに問題なくても、私にあるからやめてほしいわ！

スイ

とにかく、私が帰っても連絡しないからよろしく。

コウ

はー？

スイ

だから、早急にご自身の家にお帰りください。

コウ

どうしてそういうこと言うかなー。

スイ

ただのストーカーにしか見えないからです。

コウ

そんな怖いことしません。

スイ

やってる人ほど、自分がどういう人間かわかってないのよ。

コウ

俺は自分のことぐらいよーくわかってるつもりだ。

スイ

何回言っても無駄なようね…

スイ

今すぐお帰りください。

コウ

コンビニ着いたぞ～。

スイ

その連絡もいらないってば。

コウ

とりあえずここにいるから、家に着いたら教えてな。

スイ

一生そこに居座ってろ。

コウ

絶対連絡しろよな。

コウ

ってかなんだ、まだ家にいないのか？

スイ

もう、どんな状況だろうがお伝えすることはございませーん。

コウ

おいおい、そういうのやめろ！

コウ

とりあえず、家に向かっちまうからな！

～数十分後～

コウ

着いたぞ

コウ

懐かしいなぁ

コウ

俺も、何回か来たこの家

スイ

え！ちょっとガチで来たの！？

コウ

ガチに決まってるさ。

スイ

ほんと帰って！

コウ

ここまで来て帰るアホはいねぇだろ。

スイ

知らないからね…！

コウ

どういうことよ？

スイ

勝手にすれば。

コウ

意味わかんねぇわ。

コウ

インターホンならしまーす

コウ

おい、なんか男が出たぞ！

スイ

あーあー

コウ

こいつ誰なんだ？

スイ

「こいつとか言わない方が、身のためだと思うよ。」

コウ

は？お前、俺以外の男と何イチャついてるんだよ！

スイ

だから、何回も言わせないでよ！

スイ

それあたしの旦那だから、当たり前！

コウ

お前、マジで結婚してたわけ！？

スイ

言ったでしょ！正真正銘の旦那だわ！

コウ

いつからだよ！

スイ

あんたと別れて一年後？

コウ

意外とすぐじゃねぇか…

スイ

気が合う相手って、即決しないともったいないからね♡

コウ

あのさ、一つ聞いていいか？

スイ

なんなの？

コウ

俺の会社の知り合いの声に似てたんだが、まさか…

スイ

だから帰ってって言ったのに。

スイ

あんたの会社の社長よ？

コウ

へ？

スイ

ほんとバカよね。

スイ

言動には注意したほうがよさそうよ。

コウ

嘘だろ、え、ちょ待って待って

コウ

社長！？

スイ

ええ、そうよ。

コウ

え？めちゃくちゃ金持ちじゃねぇかよ…

スイ

は、そこ？

コウ

ああ、それもそうなんだけどよ。

スイ

ほんと…あんたは変なところに目が行くのね…

コウ

失礼な言い方だぞ。

スイ

バカの発想力はよくわかんないわ…。

コウ

おい、一言多いぞ？

スイ

本当のことだし。

コウ

なんか、危険なにおいがプンプンするから、やっぱ帰ることにするわ…

スイ

ああ！待って待って！ストップ！

コウ

なんだよ。

スイ

ちょっとお願いがあるんだけどいいかしら。

コウ

なんだ？

スイ

旦那がさ、あんたと今ラインしてること言ったら、

スイ

ちょっと俺もトークに入れろって。

コウ

は！？

コウ

なんでわざわざ、ライン？

スイ

直面するのが面倒だって。

タカ

コウ君、こんにちは。

コウ

しゃ、社長！？

コウ

ほ、本物ですか？

タカ

本物に決まってるじゃないか（笑）

コウ

そうでしたか。失礼しました。

タカ

会社でのお前の様子はよく知っているが、まさかプライべートで…

タカ

それも、ライン上では初めてだね。

コウ

お、お疲れ様です。

タカ

今はプライベートだ。お疲れ様とかいらんいらん。

コウ

あ、はい、すみません…

タカ

ああ、さっき嫁である、スイとの関係を先ほどちらっと聞いた。

コウ

はい、元彼女になります…

タカ

元彼女ということは、彼女にまだ好意があるっていうことか？

コウ

えと、それは…

タカ

そうだとすれば、すまんが引き下がってくれ。

タカ

俺の妻であり、パートナーなんだ。

コウ

申し訳ありませんでした…

タカ

一つ質問だ。

コウ

はい。

タカ

過去に酷いことをしていたと聞いたが、どうなんだ？

コウ

あ、いや！そんな失礼なことなんてしたことありませんよ。

スイ

どうして、私本人がいる中で、そんな嘘が付けるのかしら？

コウ

ちょ、今は社長と話してるんだから、邪魔しないでくれ！

タカ

俺がいることを忘れないでほしいが？

コウ

あ、申し訳ありません…

タカ

もう一度聞くが、スイの扱いが酷かったということは、事実か？

タカ

正直に答えてくれ。

コウ

えっと…その…

コウ

酷いことといいますが、よろしくない行動をしたことは…事実です…

タカ

そうか。

コウ

はい。すみませんでした…

タカ

認めるんだね。

タカ

ラウンジ嬢のことは聞いたが、他にも暴力をふるったりしていたのか？

コウ

え、あ、その…

タカ

これも事実なのかね？

コウ

えと…はい…

コウ

事実でございます…

タカ

そうか。

コウ

本当に申し訳ありませんでした。

コウ

昔はあほみたいな男でしたが、今ではそんなこと一切していません。

スイ

嘘言わないで。

スイ

さっきまで、私とヨリを戻そうって言ってた人はどこ？

コウ

いや、それは単純に、今の俺ならいけると思って

スイ

女と上手くいかなかったから、私とヨリを戻したいんじゃあ？

コウ

ちょ！それを言うなって！

タカ

また、俺の存在を忘れていないか？

コウ

あ、社長、そんなこと…

タカ

君は反省してないっていうことが、十分わかった。

タカ

つまり、私の嫁を誘拐、連れ去ろうとしていたってことだ。

コウ

いや、そんな犯罪なようなことをしようだなんて…

スイ

事実でしょう、認めなさいよ。

コウ

えと、はい…そうです…

タカ

わかった。

タカ

お前、明日から仕事場には来るな。

コウ

え！

コウ

ど、どういうことですか！？

タカ

会社の名誉に傷が付く前に。ここで言わせてもらう。

コウ

ちょ、ちょっと待ってください！

タカ

すまんな。

タカ

いろいろと噂が広まってからじゃあ、後に面倒なんでな。

タカ

話は以上だ。俺は抜けるぞ。

コウ

え、ちょ、マジかよ…

スイ

どんまいね。

コウ

嘘だろ…

スイ

これも、自業自得よね。

コウ

俺、明日からどうしろって…

スイ

私もこれまで、あんたのことをちらほら話題に出すことはあったけど

スイ

本当に家まで来るなんて予想もしなかったわ。

スイ

素行が悪かったんだから、それなりの反省が必要ってところね。

～後日談～

スイ

コウはその後、会社で異動という形になった。

スイ

ただし、それはただの異動ではなく、遠い都会から離れた場所へ。

スイ

いわゆる、片田舎というところへ飛ばされました。

スイ

これまで遊んでばかりだったであろう、コウに取ったら、

スイ

うってつけの場所になったんじゃないかしら？

スイ

私の旦那である、社長とのラインのやり取りが大きく影響したせいか、

スイ

今では少し素行の見直しをし、反省をしているらしい。

スイ

そして、”大好きな女性”　が全くいないところへ、一人寂しく暮らしてるんだとか。

スイ

反対に私は、社長であるタカと以前よりもラブラブしています。

スイ

タカの会社も、コウがいなくなったことで人員不足で大変かと思いきや

スイ

それ以上にできる同僚が増えたらしく、全く問題ないという。

スイ

私たち夫婦も、順調に幸せに暮らせています。

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