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それから十亀くん達と別れた私達は 風鈴高校に向かっていた

鈴蘭

……はぁ

桐生

緊張してる?

鈴蘭

うん…

お前でもそんなのあるんだな

鈴蘭

あるよ

鈴蘭

……

…まぁ気抜けよ

少なくとも俺たちはお前の味方だ

梅宮や柊だってきっとそうだ

桐生

そうだね

桐生

それに、俺らのクラスの全員そうだと思うよ?

鈴蘭

…そうかな

お前が信じてやらなくてどうすんだ

あいつらは絶対信じてくれる

鈴蘭

……桜くん、変わったね

なっ……なにがだよ!

鈴蘭

人の見方が全然違う

っ…あっそ!!

つーかなんでお前、俺がここに来た時のこと知ってんだよ

鈴蘭

あぁ、たまにここ来てたからね

鈴蘭

見たことない子がいるなーと思ってたけど、まさかクラスメイトになるなんてね

鈴蘭

まぁでも、桜くんの言う通りか

鈴蘭

私が信じなきゃダメだよね

鈴蘭

ありがとう、桜くん

っ……!!

か、感謝なんかいらねぇよ…!!

桐生

わぁ〜、顔真っ赤だね〜

鈴蘭

…あの

3年

なんだ?あのこ

3年

あれじゃね?最近入ってきたっていう…

3年

てことは1年か?

鈴蘭

登馬…………柊さんいますか?

3年

あぁ、あいつよんでるのか

3年

ちょっとまってて

3年

柊〜!

…なんというか、度胸あるな

鈴蘭

え?

桐生

そうだね〜

桐生

なかなかないよ、3年のところに直接来るの

鈴蘭

そうかな

鈴…?

桜に桐生まで……

どうしたんだ?

鈴蘭

あぁ…うん、その…

鈴蘭

話さなきゃいけないことがあって

…俺にか?

鈴蘭

登馬もだけど、梅や先輩達にも

集めるか?

鈴蘭

そうして貰えると助かるかも

わかった

やっぱりあそこがいいか

鈴蘭

うん、ありがとう

気にすんな

じゃあ、また後で

鈴蘭

うん、またね

桐生

うわ〜、久々だね

鈴蘭

そんなでも無いでしょ

先輩って、何人くらいだ?

鈴蘭

えーと……登馬と梅入れて6人かな

桐生

ほぇ〜…もうそんなに仲良くなってるんだね

桐生

そういえば、一緒にいる?

鈴蘭

ううん、大丈夫

桐生

本当?

鈴蘭

うん

鈴蘭

皆に言う時だけ、隣にいてほしい

桐生

わかった

桐生

じゃあ、終わったら連絡して

鈴蘭

うん

鈴蘭

2人ともありがとう

桐生

気にしないで

別に感謝なんかいらねえよ

桐生

じゃね〜

鈴蘭

またあとでね

登馬や梅は きっともうわかってる

だけど、先輩達はどうだろう

過度に期待してそれが叶わなかったら きっと先輩達を恨んでしまう

それは嫌だ

鈴蘭

早かったね

まあな

椿野

鈴〜!

楠見

(手を振る)

鈴蘭

先輩達も、ありがとうございます

榎本

気にすんな

……

梅宮

そんで鈴、話ってなんだ?

そう言われ無意識に体に力が入る

でも決めたから

自分に言い聞かせ、深呼吸をする

鈴蘭

…私のことを

鈴蘭

話してみても、いいですか

全部話した

事故から今までのことを、全て

いつもはなんて事ない静寂が 今はとても痛かった

引かれるかもしれない

もう前みたいに話せないかもしれない

それを全て受け止める覚悟は出来てる

そう思ってたはずなのに

先輩達の顔を、見ることが出来ない

段々と視線が下がっていく

あぁ、ダメだなぁ

梅宮

鈴蘭

…どうしたの?

梅宮

ありがとな

その言葉に私は思わず視線を上げた

鈴蘭

っ……!

私の目には梅達の笑顔が映っていた

梅宮

正直言うと、俺と柊は知ってた

梅宮

まぁ病気のことだけなんだけどな

梅宮

鈴は話さなくてもいいと思ってた

梅宮

それで苦しくなるなら元も子もないからな

梅宮

だけど、言ってくれた

梅宮

ありがとう

鈴蘭

…な、なんで…?

鈴蘭

なんで、ありがとうって…

鈴蘭

私感謝されることしてない

鈴蘭

それに、迷惑じゃないの…?

なんで迷惑なんだよ

鈴蘭

だって、こんな…

めんどくさくて 喧嘩ばっかで人の期待に答えられない

挙句の果てに人殺しの私を

鈴蘭

……どうして…

それはお前が決めることじゃない

鈴蘭

え……?

楠見から聞いた

お前、虐待されてたんだろ

鈴蘭

虐待…って…

それを認めない限り、お前は一生苦しむことになる

鈴蘭

違う…っ!

咄嗟に出た私の声に 梅達が目を見開いているのが見えた

鈴蘭

…違うんです

鈴蘭

確かに、お母さん達は私を助けてくれなかった

鈴蘭

水に顔を沈められたり

鈴蘭

何回も蹴られたりした

鈴蘭

でも、育ててくれたのは事実です

鈴蘭

……人殺しだって言われていた私を引き取るのは、デメリットが多すぎる

鈴蘭

それでもあの人達は引き取って、ここまで育ててくれました

それはお前を思ってじゃない

鈴蘭

私のことを思ってなくたっていいです

ただの道具だろ

鈴蘭

道具でもいいです

鈴蘭

あの時引き取られていなかったら、きっと私は先輩達に会えていなかったし

鈴蘭

何より、登馬達とまた話をすることはなかった

鈴蘭

それは引きこもるからじゃなくて

鈴蘭

あのままだと私は自殺していたから

鈴蘭

独りで怖かった日々を少しでも一緒にいてくれたなら

鈴蘭

それが例え、世間で言う毒親だったとしても

鈴蘭

私はその人達に感謝しかないです

いいのか、お前はそれで

ここ数年間お前は鎖に繋がれていたようなものだ

それはお前が1番分かってるだろ

鈴蘭

いいよ

だって私は

鈴蘭

登馬と梅に会えて、桜くん達や先輩達に会えて

鈴蘭

私、今すごく幸せだから

鈴の笑顔は 紛れもなく本物だった

鈴蘭

それに、何かあったら

鈴蘭

登馬が助けに来てくれるんでしょ?

…………!

もし鈴に何かあったら

絶対に助けに行く

登馬が助けに来てくれたら

わたし、安心しちゃうな

ありがとう、登馬

……嗚呼

今度は絶対助ける

もうあんな顔はさせたくない

鈴蘭

……!

鈴蘭

うん、ありがと

椿野

ねぇ、鈴

鈴蘭

はい

椿野

今度一緒にお出かけしましょ!

鈴蘭

…え?

椿野

楽しいこといっぱいしよう

椿野

もう辛いことなんか無くなるくらいね

鈴蘭

っ…!

椿野さんは、私の病気を治すために 提案してくれたんだ

椿野さんだけじゃない

梶さんも楠見さんも榎本さんも もちろん、登馬や梅だって

皆、私を見てくれてる

私のためにこんなに考えてくれる

梅宮

鈴?

鈴蘭

……はい

鈴蘭

ぜひ、行きたいです…!

その声に届くまで

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