狐冴匁
『お邪魔しまーす!』

透千
いらっしゃい

狐冴匁
『うわっめっちゃきれい〜!!』

透千
そう?普通じゃない?

狐冴匁
『こさめの家はすごく汚かったからさ』

狐冴匁
『きれいな家見ると羨ましくなるんだよね〜』

透千
へぇ〜……

古そうな雨模様の着物をまとって、一本下駄を履いていることからけっこう昔の子なんだと思う
透千
(小天狗みたいだなぁ)

狐冴匁
『ねぇねぇ!すっちーはどこの高校の子なの?』

透千
え、こさめちゃんが現れたとこですけど…

狐冴匁
『あの幽霊をぶっ飛ばしたところ?』

透千
そうです

狐冴匁
『名前は〜?』

透千
六奏学園だよ

狐冴匁
『かっこいい名前だね』

狐冴匁
『こさめは幽霊追いかけてきただけだし、よく知らなかったんだよね』

狐冴匁
『でね!さっきの話しなんだけど』

透千
(自分から切り出すのね)

狐冴匁
『なんで幽霊を追い払えたか、だっけ?』

透千
うん、そう

狐冴匁
『それより前にさ、こさめのことについて話してもいい?』

透千
え、いいけど……

こさめちゃんのことを知らないのは事実なんだけどさ、
透千
私の頭の上をぐるぐる回らないでもらっても?

狐冴匁
『あ、ごめん』

透千
ソファ座りなよ

狐冴匁
『いいの!?』

透千
そりゃお客様だし

狐冴匁
『ありがとう〜!』

こさめちゃんはヒラリと舞い降りてきて、私のとなりに座った
狐冴匁
『まず何からがいい?』

狐冴匁
『こさめの出生についてとか、なんで幽霊になったのかとか』

透千
全部、聞かせて?

透千
こさめちゃんは他の幽霊と明らかにちがうから

狐冴匁
……りょうかい!

めんどくさいことには関わらないようにしてたけど、なんでか、こさめちゃんのことは気になって仕方ない
狐冴匁
『まずね、こさめは大昔に生まれたんだ』

透千
と、言うと?

狐冴匁
『平安時代!』

透千
平安時代!?

狐冴匁
『うん!たっくさんの兄弟がたくさんいたの!』

狐冴匁
『みんなで仲良く暮らしてたんだよ〜』

透千
へ、へぇー……

狐冴匁
『でね、こさめは7歳の時に死んじゃったの』

透千
7歳……

狐冴匁
『重い病にかかっちゃったんだ。当時は医療が発達してなかったから』

狐冴匁
『治療の見込みがなかったんだよね』

狐冴匁
『そして、なぜか現世に留まったってわけ』

狐冴匁
『なんの未練もないのにね〜』

透千
(なんの未練もない?)

透千
(7歳の子が?1番やりたいことある年じゃん)

狐冴匁
『幽霊になってからすぐはまだ未熟で、飛ぶことさえできなかったんだ』

狐冴匁
『でも80年くらいしたら人間さんたちを困らせてる幽霊を退治できるようになったの!』

狐冴匁
『そこからは、悪霊を見つけたら即成敗してるんだよね〜』

透千
す、すごいね

狐冴匁
『で、すっちーは?』

透千
ん?

狐冴匁
『なんで幽霊が見えるの?』

狐冴匁
『普通の人ならありえないことだよ』

透千
あー、私生まれた時から見える体質なんだよね

狐冴匁
『マジ!?すっご…』

透千
まぁ、体質的な?

狐冴匁
『ふ〜ん』

狐冴匁
『こさめ、幽霊になってから話せる人初めて!』

狐冴匁
『すっちー!!』

透千
は、はい

狐冴匁
『幽霊が見えるならこさめのお手伝いしてよ!』

透千
…………え?
