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🤖の視覚ユニットが故障する話。 🤖視点。 出演 🤖、🎶、🕶、🆔、🎣、🦅
最後にカメラが捉えたのは、鯵屋さんがパトカーで護送される所であった。
会長と、4人の構成員達と、868にしては珍しく大人数で飛行場を襲った。
お金の回収を皆さんに任せ、ヴォラタスで上空から支援する。
警察側はヘリが2台に車が5台。
遠くの方から応援の音も聞こえる。
かなり厳しい状況の中、金持ちのジョアさんが何とか脱出し利確したと報告が入った。
後は全員逃げるだけ。
だがそう簡単にはいかない。
1人、また1人と通信が途絶え、鯵屋さんを乗せたパトカーを追っている最中に、私のヘリもアタックされ爆発してしまった。
そこから視覚ユニットが全く機能しない。
どうやら部品が不足しているらしく、医者も整備士もお手上げ状態。
音鳴
ケイン
音鳴
視覚以外の情報から察するに、今は豪邸の玄関に立っている、と思う。
目が見えなければ刑務作業もまともに出来ないだろうと警察も気を利かせてプリズンを免除してくれた。
どうやら会長はしれっと逃げ切ったらしい。
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
会長に手を引かれ車に乗り込む。
エンジンの音的にスポーツカーだろう。
ケイン
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
体が後ろに傾く。
坂を登っているのだろうか。
大きな音に強い衝撃。
電柱にでもぶつかったに違いない。
ケイン
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
音鳴
視覚情報が無いとこんなにも恐ろしく面白いものなのか。
いつもは気にも止めない些細な音を音響センサーが拾う。
ケイン
音鳴
ガタンと何かに乗り上げたかと思えばグッと体が前に倒れ、やがてエンジン音が静かになった。
音鳴
ケイン
手探りで扉を開けゆっくり足を地面につける。
そして立ち上がろうとして車の天井に頭をぶつけた。
ケイン
音鳴
ギィィと金属が擦れる音を通り抜け、美味しそうな匂いが漂う部屋へ足を踏み入れた。
バード
鯵屋
バタバタと忙しない足音が近づいてくる。
これは紛れもない鯵屋さんの音だ。
ケイン
JD
音鳴
ジョシュア
また、今度は2人分の足音が近づいてくる。
ジョアさんとJDさんが刑務作業を投げ出して私の元へ来たのだろう。
バードさんは最初から近くに居たようで大人しい。
ケイン
バード
ケイン
鯵屋
JD
ジョシュア
グツグツ、トントン、ガチャガチャ。
真っ暗なはずなのに、誰が何をしているのか、CPUが情景を描く。
音鳴
ジョシュア
バード
JD
鯵屋
ジョシュア
トントン、グツグツ、ガチャガチャ。
トントン、グツグツ、トントン。
音が1つ減った。
JD
JDさんの声が近い。
刑期が終わったのだろう。
音鳴
鯵屋
音鳴
ジョシュア
JD
いつも通りの会話。
普段なら聞き流している会話を、今日は一言一句逃すまいと音響センサーがよく働く。
人間の感情で表すのなら、きっとこれは「楽しい」なのだろう。
ケイン
ジョシュア
ケイン
JD
ケイン
鯵屋
ケイン
音鳴
ケイン
バード
今皆はどんな表情をしているのだろう。
笑っている?首を傾げている?興味の目を向けている?
音を楽しむのも良いけれど。
やはり仲間の顔が見たい。
ケイン
鯵屋
ジョシュア
音鳴
バード
JD
音鳴
ケイン
JDさんとバードさんの音が遠ざかっていく。
ジョシュア
音鳴
鯵屋
ケイン
鯵屋さんに手を引かれ、会長の運転を体で感じ、今度はジョアさんに連れられて。
豪邸のソファに座らされた。
鯵屋
ジョシュア
音鳴
ケイン
会長、ジョアさん、鯵屋さんの音も消え、静寂が訪れる。
前に手を伸ばしテーブルを指でなぞっていると何かにぶつかり、それを掴もうとしたら倒してしまった。
シュワシュワと音を立てて冷たい液体が手を汚す。
ケイン
ケイン
ケイン
思ったことを口に出してもそれに応える者はいない。
自分の声だけが響いて消えるだけ。
さっきまであんなに賑やかだったのに。
人間はこれを「寂しい」と表現するのだろうか。
ガチャ。
タッタッタッタッタッ。
音鳴
ケイン
ジョシュア
ケイン
バード
ケイン
鯵屋
ケイン
JD
ケイン
帰ってくるなり私の元へ集まって、本来真っ先にするはずの報告を後に回し、ポンコツロボットの世話をしてくれる。
彼らの声を聞いただけで、部屋の空気が暖かくなった気がした。
これが「安心」というものか。
ケイン
ジョシュア
JD
ケイン
バード
ケイン
鯵屋
バード
鯵屋
遠くの方からヘリコプターの音が聞こえる。
優秀な医者がきてくれたのだろう。
ふと誰かに背中をポンと叩かれた。
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
音鳴
ケイン
会長の笑い声がすぐ隣から聞こえてくる。
音鳴
ケイン
ケイン
ヘリコプターの音が止み、扉を叩く音が聞こえる。
あと、もう少し。
END