私の母の口癖は 「男の子が欲しかった」 だった
母は昔ながらの考えをする人で
家の跡継ぎが〜とかよく口にしていた
故に、私は男の子として育てられた
同年代の女の子が着ているような ヒラヒラしたワンピース
ふわふわした髪飾り
刺繍の入ったブラウス
それらは着ることが許されず
私服はズボン
ショートカットの髪型
習い事はサッカーや野球
幼い頃は外で遊ぶのが楽しい!という 気持ちでやっていたが、今では憂鬱だ
そんな生活が続いて数十年 中学3年生の時
受験生という事で志望校を 見繕っていた時
母親
そう言って差し出されたパンフレットは私立のそこそこ難関高に入る高校
幸い、勉強は好きな方だったので 私の偏差値ではいける高校だが……
母親
通ってる中学校では男子は学ラン 女子はセーラー服と決まっている
母は制服ですら私がスカートを 履いているのをよく思っていなかった
ユウキ
私立の高校は授業や設備が 充実している分お金がかかる
たかが制服ぐらいで 決め手になることではないが
母親
母親
母にとって制服は"たかが" ではないらしい
それにサッカーを続ける気は もうなかった
母にその事を伝えても 理解も納得もしてくれず
三者面談で言い切られ私立校を 受験することに決まってしまった
父も母の言う事は正しいと 思っているのか関わるのが面倒だと 思っているのか干渉してこない
私は自分の中で何かが プツリと切れる音がして
気づけば電車に乗っていた
持って出たリュックの中には 約1週間分の荷物
向かう先は父方の祖母の家
祖母とは数回会ったことがある
母が田舎は嫌いだからと行ったことは なかったが住所は知っている
ガタンゴトンと揺れる電車に 身を任せながら私は駅に着くまで 窓から外を眺めていた
ユウキ
電車に揺られて2時間
夏休みという事もあり混んでいるかと思ったがこんな所まで来る人は いないのか電車は貸切状態だった
祖母の家はまだ遠い
バスの時刻表を見るが 次に来るのは1時間程後
ユウキ
流石にこの暑い中歩く気力はなかった
大人しく待つのが得策だろう
駅のベンチに腰掛け 鞄から本を取り出した
そろそろバスが来る頃だろうか
腕時計に視線をやると後10分程
本を鞄に直し立ち上がった所で 人がいることに気づいた
ユウキ
ピンク色のふわふわした髪の毛
可愛い髪飾り
刺繍の入ったブラウス
ヒラヒラしたスカート
私が思い描いていた 可愛い女の子の理想像をした子が
そこに目の前に佇んでいた
コメント
6件
男が欲しいからって自分の子の自由を奪うんじゃないよ! おい父!関われ!助けろ!何してんだ! 女の子…まふまふ…妙だな…(?)
男の子が欲しかったからって 女の子として生まれてきたユウキちゃんを 男の子のように育てるなんて…… それにサッカーや野球も…本人の意思も 聞かないなんて…本当は髪の毛もかわいい 髪飾りもヒラヒラしたスカートだって 履きたかっただろうに…… そしてユウキちゃんの前に佇んでいた 女の子……もしかして! 続き楽しみにしています!
お金が結構かかっても制服のためとかどんだけ男の子にしたいんだよ… ユウキちゃん?(呼び方がちゃんで良いのか、)の前に佇んでた人とは…? 可愛い女の子の理想像ということはもしかして…!? 続き楽しみに待ってるね!