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ワッフルカフェ到着
ガラス張りのおしゃれなカフェの前に車が停まると、麗央はじっと窓の外を見つめていた
白と木目を基調とした、明るい店内
飾られた季節のドライフラワーや、ショーケースに並ぶ色とりどりのスイーツに目を奪われる
麗央
運転席の龍牙がエンジンを切ると同時に、麗央が小さく声をもらした
龍牙
龍牙が笑いながら振り返ると、零斗は後部座席のドアを開けながら肩をすくめる
零斗
麗央
麗央はぷいっと視線を逸らしたが、頬がうっすら染まっているのは隠しきれていない
零斗
麗央
朔矢
零斗と朔矢に笑われ、麗央はむっとした顔のまま店に入っていく
そんな麗央の背中を、蓮が微笑ましそうに見送りながらついていく
カフェのドアをくぐると、ふわりと甘い香りが出迎えた
店内には数組の客がいたが、奥のソファ席がちょうど空いていた
広めのL字型ソファに、4人のヤクザとその真ん中にちゃっかりおさまる麗央――
麗央はメニューをめくるなり、パァッと表情を輝かせる
麗央
麗央
龍牙
龍牙が笑いながら、テーブルのメニューをのぞき込む
麗央
麗央
朔矢
朔矢が言うと、麗央は少しだけ唇をとがらせた
麗央
だが、どう見てもその目は嬉しそうで――
麗央の膝の上で、メニューの端を指でくいくいとつまむ仕草さえ、どこか楽しげだった
注文タイム
龍牙
零斗
龍牙と零斗がメニューを手にそれぞれ選び終えると、蓮が店員を呼んだ
蓮
麗央
麗央は眉を寄せてメニューをぐるぐる見回している
蓮
麗央
朔矢がくすっと笑って、蓮の肩越しにメニューをのぞき込んだ
朔矢
麗央
麗央がぱっと顔を上げる
蓮は苦笑しながら、「贅沢なやつ」と小さくこぼして、結局はそのとおり注文した
しばらくして、テーブルいっぱいに甘いワッフルのプレートが並べられる
果物が山のように盛られたもの、チョコがとろけているもの、生クリームの花が咲いたような一皿
麗央はじっとそれらを見つめたまま――ふと、隣にいる龍牙の袖をそっとつまんだ
麗央
龍牙
麗央
麗央が小さなフォークでベリーのワッフルを指すと、龍牙は少しだけ目を見開いてから、ふっと笑う
龍牙
麗央
文句を言いながらも、麗央は素直に口を開けた
龍牙が差し出したワッフルを一口食べると、目を細めて幸せそうに微笑む
麗央
零斗
零斗が笑いながらも、目元がゆるんでいる
そのとき――
朔矢
朔矢の声に、麗央がぽかんと顔を上げる
麗央
朔矢がすっと身を乗り出して、麗央の口の端についたクリームを指でぬぐった
そして、指についたそれを――何気ない仕草のように、自分の口に運んだ
朔矢
麗央
麗央が目を見開いたまま固まる
朔矢は、あえて何事もなかったような顔で、涼しい顔のまま次のワッフルを口に運んでいた
麗央
朔矢
麗央
真っ赤になった麗央に、隣の零斗が「どっちが赤ちゃんかわかんねーな」と笑う
そんな微笑ましくも過保護な空気のなか、朝の甘すぎる時間は、さらに甘さを増していくのだった――
皿の上のワッフルがほぼきれいに片づけられた頃には、麗央は椅子に深くもたれて、うっとりとした顔で天井を見つめていた
麗央
零斗
零斗が呆れ顔でグラスの水を飲み干しながらも、目線はどこか優しい
朔矢
朔矢がからかうように頬をつつけば、麗央は「べ、べつに……普通でしょ」と小声で返す
蓮
蓮が静かに席を立ち、みんなもそれに続くように椅子を引いた
麗央は少し名残惜しそうにテーブルを見てから、ゆっくりと立ち上がった
蓮
蓮の声に、麗央がふっと笑って、4人と並んでカフェのドアをくぐった、そのとき――
ふいに、背中に視線を感じた
何気なく振り返った麗央の目に、向かいの歩道、雑踏の中に立つひとりの男が映る
(……あ)
すぐに思い出した
あのとき、中庭で――背後から声をかけてきた、あの目
柔らかい笑みを浮かべていたくせに、どこかゾクリとするような冷たい気配をまとった、男
黒のロングコートに身を包み、通行人にまぎれるようにして立つその姿は、まるで最初からそこにいたかのように自然だった
でも――違う。視線は、確かに、こっちを見ている
麗央
麗央の足が、ほんの少し止まる
蓮
蓮がふと振り返る
麗央
そう言って、麗央はそっと視線を外した
香月の姿は、もうどこにもなかった
まるで――最初から、いなかったみたいに
だいふく
だいふく
コメント
18件
もっと香月の登場みたいです!
麗央くんかわい笑 だいふく様様様様様様様も最高だす
かーみーさぁーまぁー