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数ヶ月前……
黒瀬 母
毎年恒例の家族旅行 長期休みに入ると母はいつも楽しそうに旅行雑誌を見ていた。
父もそれを楽しんでいるようで、そんな母を見て微笑んでいる様子だった
俺も父と同じで、そんな母を好ましく思っていた
家族仲は至って良好だった。 何でも話せる安心できる場所 みんながお互いを愛していて居心地が良かった
この頃は俺も学校で何事もなく、高校生活を楽しんでいた時期だった
黒瀬 父
黒瀬 母
黒瀬 母
興奮した様子で雑誌をめくる。
母と父は今年の家族旅行はもう沖縄に行く気でいるようで、ついには飛行機の話にまで発展していた
黒瀬 父
黒瀬怜
黒瀬 母
黒瀬 父
父親がそう言って決済画面を開く
沖縄、高校の修学旅行で行く予定ではあるが、家族と行くのとクラスメイトと行くのでは話が違うだろう
家族ならではの楽しみがあるのは間違いない、楽しみだった。
そう、楽しみだったのだ……
心電図が直線になり、無機質な機械音が鳴る
トラックとの正面衝突
運転手が居眠り運転をしていたようで、センターラインを大幅に超え、ほぼ逆走のような状態だったようだ。
黒瀬怜
不思議と涙は出なかった
悲しさはあったがそれよりも、心がぽっかりと空いた気がした。喪失感と言うのが1番正しいだろう
沖縄旅行のために二人で買い物に行って、そのまま帰ってこなくなってしまった
楽しみにしていたのに……
黒瀬怜
幾ら目の前の2人を恨んでも起きやしない
あの優しい声で名前を呼ばれる事も、そんな母を愛おしそうに見る父の目も……全て
失ったのだ
黒瀬怜
高校生、自力出来るような歳ではない
法律上未成年、出来ることも限られる上、親戚も俺を引き取ってくれるような裕福な家庭を持っている人達は居ない
黒瀬怜
俺は運が悪かったようだ
叔母
叔母
黒瀬怜
親戚は子供を誰に押し付けるかどうかで話をしていた
勿論俺は厄介者で、皆嫌な顔をして俺を邪険に扱った。
母親は元々実家の空気が合わず、結婚を気に実家から抜け出してきたのだ。
父の親は無理矢理娘を盗まれたと騒いだ母方の親の言葉を信用し、父と縁を切った
その為、この意味の無い集まりに参加したのは母方の親戚のみ。
しかも実家を捨て、逃げた娘の子供
受け入れる事は期待していなかったし、何となくこうなることは予測が着いていた
叔母
そういう叔母の顔は歪んでいた
都合のいい奴隷が手に入って嬉しかったのだろう。叔母が俺に話しかけてきたのはこれが最後だった
黒瀬怜