雪の音

あぁ…言っちゃった、ｯ

心配かけたくないから、 言わないって決めてたのにｯ

なんとなくこの場に居たくなくて、 玄関の外に飛び出した。

俺を呼ぶ声から、 離れたかった。

俺が住んでるところは東京。 でも少し先に行けば自然豊かな場所もある。

久しぶりに走ったせいで、 息が荒くなる。

なんて、 独り言をこぼす。

実況社において、 色が判別つかないなんて致命的。

違うテクスチャならまだしも、 同じテクスチャだとぱっと見で判断できない。

これからやらなければいけないことが、 あまりにも自分の意思とは違くて。

まだ、全く別の色なら かろうじて判別ができる。

普段、細かい色の見分けなんてしないから、 違和感を感じるまで気づけなかった。

なんとなく近くのベンチに座り、 色を見たくなくて瞼を下す。

ｻﾜｻﾜｻﾜ……

心做しか、 色の判別ができない分、 耳が良くなった気がする。

急に飛び出してきてしまったから、 上着などもちろん持っていない。

ベンチにうずくまって、 今日はやり過ごすことにした。

ここに居ていいんだ

どうしても納得ができなかった。

今すぐにでも追いかけたい。 おんりーのそばで声をかけ続けたい。

そうじゃなきゃ、 どこか遠いところに行っちゃいそうで…

眼科に行った時もそうやった。

あの時はめんが落ち着かせてくれたんやっけ。

なぁ… 僕、おんりーのこと信じられてへんのかなぁｯ、？

ここに居るんでしょ、？

なんていい仲間を持ったのだろう。

あの時のリプ欄から、 僕を見つけてくれたのもおんりーで。

何かあった時すぐに気付いて、 声をかけてくれたのもおんりー。

そんな僕に対して、 ずっと暖かく囲んでくれてるのは。

今ここに居る素敵なメンバー。

“おかえり”って言うために。

もちろん！