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なくしたあなた

7 - 「最強の二人組!」

♥

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2023年12月07日

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買い物へ家を出た二人

※以下Broooockの「」は、LINEやメモで意志疎通をしている (現在はきんときの個人LINE)

br

「何が足りないの?」

kn

えっとね、~~と、~~と……

そうやってスマホを見る彼の横顔を見て、 僕は緊急事態ながらも美しいと感じた。

こんなこと思ってる場合じゃない、場合じゃないけど……

つい見とれてぼうっとしてしまう。

僕はなんとか気を紛らわそうと、違う話題を振った。

br

「家にいるみんな、大丈夫かな」

br

「置いて来ちゃったけど、きりスマコミュニケーションとれないよね?」

br

「何もないといいなぁ」

kn

……そうだね

彼も何だか浮かない顔をしている。

kn

そういえばぶるーく、

br

kn

本当に俺は何も無いのかな?例えば、見た目的には

彼はそう言うと、両腕を上げた。

この症状の統一性を考えるなら、見た目的な異常はないと思うけどなぁ

でも一応、僕は彼の全身に異常がないか確認した。

……やっぱり、ないなぁ。

首を振って、異常がないことを伝える。

kn

そっか……これといった変なところも無いから、本当に俺には何も無いのかな……

確かに他の五人には異常が見られて、 きんときだけ異常がないのも不思議な話だ。

br

「でも僕はきんさんに何も無くて良かったよ!」

br

「それはもう幸運だったってことでしょ」

kn

…!ぶるーく……!!

kn

えへへ、ありがとう

kn

そう言ってもらえると、何か気分が軽くなるよ

彼はそう言って弱々しく微笑んだ。

彼はもしかしたら、自分だけ何も無かったことに 心のどこかで罪悪感を感じていたのかもしれない。

…気にすることなんてないのに。

僕はそう思って、彼の横顔を眺めた。

買い物の帰り道

僕達二人は必要な食材などを買った袋を抱えて、店を出た。

kn

買い忘れはないかな?

僕は袋の中身を今一度覗いて買い忘れたものが無いのを確認して、 首を縦に振った。

kn

よし!じゃあ帰ろ

そうして、帰ろうとしたその時

br

!!

店に忘れ物をしてきてしまったことを思い出した。

kn

…?どうしたの、ぶるーく

br

~~!

kn

…??どうしたのか、スマホか何かで教えて

br

~~!!

僕は必死で首を横に振る。

手で四角を作って、伝えようと試みる。

kn

……あ、まさか

kn

スマホ忘れてきた?

僕は申し訳ない気持ちでいっぱいに、首を縦に振ったのだった。

きんときには、買い物の荷物を持って貰って先に帰るように伝えた。

br

(多分ここら辺に……)

きんときはしばらく渋ったが、家で待つ四人が心配だからと説得した。

kn

……一人で取ってくる…?

kn

そんなの危ないよ。いくら喋れないだけだからって、一人で行くのは流石に……

きんときのスマホを借りて、僕は先に早く帰っていて欲しい旨を伝える。

br

「帰りがこれ以上遅くなったら、家にいる四人に心配かけちゃうかも」

br

「誰かと話す訳でも無いし、僕は大丈夫だから」

彼の目を見て、メッセージを見せる。

kn

……わかった

kn

くれぐれも気をつけて、なるべく急いで戻って来てね

br

br

「うん!」

br

(あった!)

僕のスマホは誰かに触られることもなく、そこに置いてあった。

br

(よかった、誰かが届け出てなくて……)

今更気づいたが、誰かが僕のスマホを届け出していたら、 僕は喋らなくてはならないところだったのだ。

やっぱりきんときと一緒に来た方が不安要素がなかったかもしれない…。

br

(頭があまり、まわってないな)

そう思いながら、スマホが自分のものであることを再確認し、 僕は店を再び後にした。

急いで帰ろうと急ぎ足で歩いていると、知らない人に声をかけられた。

知らない人A

ねぇそこのお兄さん

br

…?

思わず立ち止まってその人の方へ向き直ると、 そこには若い女性二人がいた。

知らない人B

もし暇だったら、私達とお茶しない?

これって……いわゆるナンパ……ってやつなのか?

br

……~

br

~ッ…

断ろうにも声が出ず、僕は戸惑った。

どうしよう、誰かに話しかけられるとは思わなかった。

知らない人A

どうしたの?そんなにおどおどして…

知らない人B

こういうの初めてかな?

br

(なんだ、この人たち)

小さな子供をなだめるように優しいその声は、どこか不愉快に感じた。

知らない人A

かわいいね~

br

…っ

…そんなの、お前に言われたくなんてない。

その言葉を僕にかけていいのは、彼だけだ。

知らない人B

甘い物は好き?

知らない人A

パンケーキの美味しいお店が近くにあるんだけど、どう?

僕は喋れないもどかしさと、僕の気持ちを無視して話を進める二人に 静かな怒りを感じ始めた。

そんな時、僕の肩にポンッと手が乗った。

kn

俺の連れに何か用?

br

…!

br

(きんとき…!!)

そう言って彼女ら二人に言うきんときは、どこか怒っているような気がした。

いつもの柔らかい表情とはうって変わって、 冷徹で笑みのひとつ無いその表情に、僕は少しドキドキした。

kn

俺ら用事あるから。じゃあね

知らない人A

あっ……

二人が言葉を返す隙も与えず、きんときは僕の腕をぐいっと引き寄せて、 歩きだした。

あれからしばらく歩くと、きんときが口を開いた。

kn

だれ?あの人たち

僕は首を横に振る。

br

(知らない人!!)

kn

知らない人?

kn

急に話しかけられたの?

今度は、首を縦に振る。

kn

そう、

彼はほっとしたように言って、それまで少し強張っていた表情が緩み、 いつもの優しい表情になっていた。

kn

何もなくてよかった…

kn

やっぱり一人は危ないよ、ぶるーく

br

「きんさんごめんね…」

僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになって、 その文字を打った画面を見せた。

kn

いいよ、もう過ぎたことだし

kn

ホントに、ぶるーくに何もなくて良かったよ

そう言って彼は優しく笑った。

……本当にきんときは優しい。

やっぱり僕は彼が【大好き】だ。

br

「あの時助けに来てくれてありがとう」

今度は僕も笑って、その画面を見せる。

kn

ふふ、どういたしまして

彼も再び笑う。

br

(…かっこよかった)

これも打とうと思ったが、文字にして形になると 何だか恥ずかしくなったので入れなかった。

…でも、今感じてるこの感情は伝えよう。

br

「僕今、何でもできる気がする!!」

kn

wwどこから湧いたんだその自信

br

「きんさんと一緒なら」

kn

……俺と

この気持ちも本当だ。

br

(だってこんなに優しくてかっこいいきんときが一緒なんだから)

僕はそう思いながら、彼の顔をこちらに向ける。

kn

な、なに//

彼は突然の事に、頬を赤く染める。

br

(あ~かわいいなぁ)

br

【だいすき】

そう口をパクパクさせた。

ちゃんと伝わるように、しっかりと。

彼はへにゃっとした笑顔で、こう言った。

kn

おれも、

kn

だいすき

僕は今、世界でいちばん「最強の二人組」になったような気分だった。

……

俺は本当にこのままで良いのだろうか?

これは一瞬の気の迷いであり、俺の我儘で身勝手な行動である。

でもそんな突発的な間違った行動で変わってしまったこの生活に、 まだすがっていたい自分がいる。

今のままなら……彼が、俺をずっと頼ってくれるかもしれないから。

………でも、察しの良い彼らなら、じきに気付いてしまうかもしれない。

そもそも予想外の事が起きすぎている。

……俺は、

俺は今、どうすべきなのだろうか…?

……

kn

ぶるっくのばか……

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コメント

3

ユーザー

きんさん…? きんさんが何かやったの? 初コメ失礼しました!

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