大会への調整も終え、 俺たちの夏合宿は最終日を迎えていた
一色 翼
一色 翼
早乙女 愛来
浅野 唯月
一色 翼
浅野 唯月
一色 翼
浅野 唯月
目に見えて不機嫌だ… まぁだが、理由はだいたい想像できる
合宿の間、ずっとアイツらといたからな 大方それで嫉妬してるってとこだろ
まぁだが 一色にかまけてられるほど、俺も暇じゃない
この後は アイツらと人生ゲームをする予定だからな─
若狭 蓮
浅野 唯月
浅野 唯月
入浴中、急に恋バナを振られた
正直、この手の話題はあまり得意では無い
ゲイだってことは、 誰にも言っていないからだ
もちろん、こいつらにだって例外じゃない
浅野 唯月
浅野 唯月
冬弥 雪
浅野 唯月
冬弥 雪
浅野 唯月
浅野 唯月
若狭 蓮
そう若狭が言いかけた瞬間
わざとなのか。 たまたまなのか。 一色の使っていたシャワーが落ち、 若狭の顔面にお湯をぶちまけた
若狭 蓮
若狭 蓮
碓氷 凛華
若狭 蓮
若狭 蓮
一色 翼
若狭 蓮
こいつら…1人でもうるさいのに 揃うと余計うるさいな…主に若狭が。
碓氷 凛華
一色 翼
冬弥 雪
早乙女 愛来
ちょっとしたハプニングはあったが 入浴を終えたみんなは、合宿最後の夜を楽しんでいる
浅野 唯月
俺はと言うと、 下駄箱の鍵を無くして旅館中を探し回っていた
とっくに消灯時間を迎えた旅館内を テコテコと歩き、若狭たちの待つ部屋へ 戻ってきた俺は、ドアが少しだけ 空いていることに気がついた
浅野 唯月
若狭 蓮
浅野 唯月
少し空いた襖の隙間から聞こえた言葉に 一瞬耳を疑った
だけどその疑いは一瞬にして確信へと変わり 俺の心を、深く、暗い所へ沈めた
早乙女 愛来
冬弥 雪
…何の話だよ…
俺がいらないって……何………
若狭 蓮
ズレてる…?何が…?
碓氷 凛華
浅野 唯月
浅野 唯月
その瞬間、開きかけていた襖は完全に開かれ さっきまでの会話の主達と目が合った
若狭 蓮
浅野 唯月
若狭 蓮
気づいた時には走り出していた
とにかく遠くへ
逃げるように
隠れるように───。
一色 翼
一色 翼
浅野 唯月
一色の言葉で初めて、 頬を伝う生ぬるいものに気がついた
浅野 唯月
吐き捨てるように言葉を紡ぐ
我ながら酷い強がりだと分かっていても こいつに弱いところは見せたくない
一色 翼
そう言うと一色は俺の手を引き、 月明かりに照らされた浜辺へ座らせた
浅野 唯月
一色 翼
一色 翼
浅野 唯月
弱味なんて握られたら、 何の脅しに使われるか分からない
絶対に、泣けない
そのはずなのに……
浅野 唯月
一色 翼
気持ちとは裏腹に、涙はどんどん溢れてくる
浅野 唯月
浅野 唯月
一色 翼
浅野 唯月
力のない声で返事をすると 少し怖い顔をした一色が、乱暴に俺を抱き寄せた
浅野 唯月
一色 翼
浅野 唯月
沈黙が流れる
強い力で抱き締められ、身動きのとれない中 必死で言葉を探す
一色 翼
浅野 唯月
一色 翼
浅野 唯月
本心か。。それとも───
一色 翼
咄嗟に出た言葉に、 一色は落ち着いた声で返してくれた
一色 翼
浅野 唯月
一色 翼
一色 翼
一色 翼
一色 翼
一色 翼
一色 翼
真っ直ぐで偽りのない。熱を帯びた瞳
時の流れが遅く感じるほど、丁寧で優しい言葉
こいつはいつだって、真剣だったんだ
浅野 唯月
鼓動がいつもより早い。こんな感覚…知らない…
一色 翼
浅野 唯月
一色 翼
寂しいなんて…そんな顔…してないくせに…
火照った体を冷ますように、大きく深呼吸をした
その時
強い懐中電灯の光が俺たちを照らした
若狭 蓮
若狭の声に反応した3人が、ぞろぞろと 俺を囲む
早乙女 愛来
冬弥 雪
若狭 蓮
碓氷 凛華
若狭 蓮
口々に話し出す4人から俺を庇うように 一色が前へ出る
一色 翼
若狭 蓮
一色 翼
碓氷 凛華
一色 翼
一色の怒りが、肌にひしひしと伝わってくる
揉め事は避けたいが、 俺には一色を止めることなんてできない
若狭 蓮
若狭 蓮
浅野 唯月
若狭 蓮
若狭 蓮
若狭 蓮
浅野 唯月
思ってもいなかった反応にスっと力が抜け、 止まったはずの涙が溢れてくる
若狭 蓮
浅野 唯月
若狭 蓮
若狭 蓮
腑抜けた顔で俺に手を差し伸べてくる若狭
その表情にも行動にも、 全く悪意は感じられなかった
浅野 唯月
浅野 唯月
若狭 蓮
若狭 蓮
冬弥 雪
早乙女 愛来
碓氷 凛華
浅野 唯月
浅野 唯月
そうして合宿は終わり また1つ友情を重ねた俺たちは
夏の県大会で全力をぶつけ合い
見事優勝の旗を掲げ、 この夏を終えたのだった──。
COCKTAIL