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おじさん

ユウさん、もう準備はできた?

ユウ

…もう少し待ってください

おじさん

ああ、いつまでも待つよ

おじさん

気持ちの踏ん切りがつくまでね

長い間積もったゴミの山を、おじさんに渡された手袋越しに掘り返す。

掘り返す度に、見慣れた茶色の虫がカサカサと逃げていき

それを見て、おじさんが飛び上がりそうになるのを必死に我慢している。

私に気を遣っているのかも知れないし、いい人なのかも知れないけれど

その様子が、私とおじさんは生きる世界が違うとハッキリさせる気がして少し嫌だった。

ユウ

…!

掃除と一緒に私の大事な物を探して欲しい、とおじさんに言われながら掃除をしていると

あるものが目に入り、私の手が止まった。

おじさん

それは何かな、ユウさん?

ユウ

ユウ

宝物

ユウ

…だった、もの。

もう元の色すら分からないほどに汚れてしまった、昔の流行りのアニメのぬいぐるみ。

あいつがカレシとうまくいってた頃だったっけ、仕事も保育園も休みの日に行ったお店で

「ユウ、なんでも好きな物を買ってあげる」って珍しく笑顔で話しかけてくれた事を思い出した。

おじさん

宝物、だった?

おじさん

お母さんとの思い出の物かな?

おじさん

もしユウさんが施設に持っていきたいなら、申請して許可を得ることが出来たら持っていけるよ

おじさん

刃物とか危ない物でもないし、ゲームとかとも違って盗難とかのトラブルも起こりにくいから大丈夫だと…

ユウ

いいです

おじさん

…え?

おじさん

でも、あんな事があったとはいえ1人だけの…

ユウ

あんな人お母さんじゃない

ユウ

私なんてほっぽってカレシと遊んでばっかで

ユウ

家に帰っても、動物のエサみたいにお金やパンを私に投げつけたらぐーぐー寝ちゃって

ユウ

結局「チジョーノモツレ」で相手を刺しちゃう人なんてさ

ユウ

だからこんな汚れたぬいぐるみなんて…

腕を掴んでゴミ袋に投げ入れようとした時に、どことなく私と髪型が似ている彼女と目が合った。

ユウ

ユウ

…ごめんね

ユウ

私達に買われなければ、こんな汚い家で埋もれちゃう事なく可愛がられたかも知れないのに

おじさん

おじさん

そうか、ごめん…

ユウ

バイバイ、ぬいぐるみさん。

ユウ

…そして、お母さん。

思い切ってゴミ袋に押し込み、施設のおじさんと一緒に、持っていく荷物作りの続きに没頭する事にした。

TELLER文芸部 ベロニカさん案

テーマ:手放す 追加お題:準備をする描写

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