ないこ
初兎もほとけもりうらも
泣き疲れて寝ちゃうなんて

ないこ
さすが子供組…って
この話は今はいいか

ないこ
下三人はみんな、
アニキの事思って
泣いちゃったんだよ

ないこ
泣いて、ただひたすら
苦しくて、

ないこ
それは、俺にも言える
ことだけどさ

ないこ
……みんなさ、
泣いてるんだよ

ないこ
アニキが、辛そうだから

ないこ
アニキが苦しんでるから

ないこ
……置いてかれる方の
気持ちも考えてよ

ないこ
アニキの、バカ

ないこ
大バカニキ

ないこ
……苦しくても、
辛くても、

ないこ
アニキはそれを俺らに
何にも言わない

ないこ
言ってくれない

ないこ
自分の中に辛さを
閉じ込めて、

ないこ
アニキは、それで

悠佑
…

ないこ
幸せだって言っても

ないこ
それはきっと、、
俺らがいるからって
意味なんでしょ

ないこ
俺らが生きているから
俺らが楽しそうだから

ないこ
アニキはそれを幸せって
呼ぶんでしょ

ないこ
……俺らは、俺は

ないこ
アニキが、アニキ自身が
幸せじゃなきゃいやだ

ないこ
幸せの基準なんて
人それぞれなんだろうけど

ないこ
でも、それでも

ないこ
アニキ、他でもない、
悠佑に、

ないこ
心から笑っていて欲しい

ないこ
それが本心だから

ないこ
心から笑えるなら
その相手は誰だっていい

ないこ
アニキが選ぶ相手なら
きっと、大丈夫だから

ないこ
……だから

ないこ
だから、俺らのことは
もう、気にしなくて
いいんだよ

ないこ
せめて、りうらが成人
するまでは気にして
ほしいけどね

悠佑
…

ないこ
アニキ、、

あったかくて、柔らかくて、
「ああ、生きてるんだ」って思えた
ないこ
何やってんだろうな…俺

ないこ
……ねぇ、アニキ
知ってる?

ないこ
アニキの…目の話

ないこ
これは俺しか知らないと
思うんだけどね

ないこ
……ふとしたときに

ないこ
アニキが底知れない
暗い目をしてた

ないこ
正直言えば、怖かったよ

ないこ
人にあんな目がきるんだって

ないこ
本当に、驚いたんだ

ないこ
人にビビるなんて
柄じゃないけどさ

ないこ
でも、でもね

ないこ
同時に、"救いたい"
とも思ったんだ

ないこ
救い…が何を意味するのか
俺にはよくわからないけど

ないこ
俺はアニキを
救いたい。

ないこ
その心の中にある辛さを
分けて欲しい。

ないこ
アニキが"兄貴"の責任を
全部背負ってるなら

ないこ
俺がそれを半分、いや
それ以上背負ってみせる

ないこ
俺もアイツらの
"兄貴"だからね

ないこ
だから、だからさ…

ないこ
お願い

ないこ
生きて

ないこ
そんで

ないこ
幸せになって

ないこ
そんだけで俺は
嬉しいから

ないこ
きっとアイツらも
そう思ってるから

ないこ
だからさ、もう…
無理しないで

ないこ
"兄貴"じゃなくていいから
俺らのアニキでいて。

ないこ
ただの悠佑でいて。

ないこ
このまま、"兄貴"
としていたら、きっと

ないこ
きっとアニキが……

ないこ
………そんなのは嫌だ

消え入るような声が徐々に
勢いを増して大きくなっていく
ないこ
悠佑がいなくなった世界は

ないこ
俺は見たくない

ないこ
消えてしまった抜け殻を
見るのも嫌だ

ないこ
……だから

ないこ
そんな日がもし来たら、
俺はアニキの影を追って

ないこ
そのまま泡になって
消えてやるから

ないこ
アニキのせいだって
ずっとあの世で
責め続けてやるから

ないこ
…覚悟しとけよ

ないこ
ニコッ

俺は力のこもらないアニキの小指に
自分の小指を当てて、歌う
ないこ
ゆびきりげんまん

ないこ
うそついたら

ないこ
しーんでやる

ないこ
ゆびきった!

ないこ
…これで大丈夫だね

ないこ
二人だけの約束だよ
