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これ以上居たら明日に響くから、と 服を貸してもらったまま帰ってきてしまったが、
…あの事があった手前、 上手く寝ることができなかった。
エリメス
まだ夢だったと信じていたい様な、耐え難い記憶に唇を噛み締める。
昨日借りて、壁に掛けた服の内、 黄色いローブがよく目立っている。
なんだか、自分の身が酷く汚れているように感じてしまって、
修道服に身を包む事を少し躊躇った。
エリメス
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もやもやと思考を引き摺りながら、 箒を握りしめて掃除をしていたら。
ローズ
いきなり背中に重みが乗った。
エリメス
どうやら、ローズさんが寄りかかって来たらしい。
エリメス
ローズ
いつまで経ってもこの人は元気で、私にも楽しさを分けてくれる。
…その優しさは、 今だけはなぜかとても苦かった。
モスフィ
エリメス
ローズ
モスフィ
エリメス
…ほんと、するどい人たち。 少し早まった心臓の鼓動を 抑えるように返事をして。
他の仕事ができてしまったから、と 足早にその場を去った。
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やってきたのは図書館。ここも教会の管轄内にある建物の1つ。
エリメス
がらんと広がる本の森の中に、 まばらと人が立ったり、 椅子に座っていたりする。
箒で、さぁ、さぁと掃除を_ ……といっても、集中が散って まともに出来やしないが。
エリメス
その中で1冊、 ふと目についたモノがあった。 思わず手に取ってみる。
エリメス
魔女。この世界で長く人類に害を及ぼすとされている、魔族の一種。
美しい翼を持つ天使が堕ち、 その成れ果てとして 生まれ落ちた子孫が魔族。
魔族は人間へと広い害をもたらし_
その魔族から護る術を 『天使様』から授かる ……というのが、 神話と、この教えの成り立ち。
エリメス
そして、たった今手にした本は。
『魔女の歴史』。 …主に魔女に受けた これまでの被害や、その内容。 そして現在わかっている脅威などが 歴史に合わせて書かれた本。
エリメス
建前なら、 対抗手段や敵の情報を知る為に。
本音なら、 私たちの村の犠牲は無意味になっていないかという、興味と疑い。
手が動くのは早かった。 箒を本棚に立て掛けたまま、 ぱらぱらと頁を巡る。
____███年、___村の__
使う魔法_魅了____
千里眼____他人にも__
__全て__焼き尽く___
____これらの魔法を使う
人は呼___“月華美人”___
月桂樹の名_冠する魔女__
“Laso_____
……?
リサン
エリメス
リサン
エリメス
名前を呼ばれていたのに 気がつけないぐらい、 集中してしまっていたようだ。
リサン
リサン
エリメス
リサン
そっと本を棚に戻して、 箒を手に取る。
エリメス
リサン
リサン
…暇なら手伝って欲しい、 って所だろう。
無口だけど、分かりやすいな。
エリメス
リサン
リサン
エリメス
カツカツと、 靴と床が打ち付けられて 2人分の足音となる。
_月桂樹____
…気のせいなんだ。きっと。
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____くす、くす。