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家から一番近い (といっても三十分かかるのだが)
バス停に私はいた
特に誰もいなかったので 次の時間を確認して ベンチに座った
今日は何をしようかと 空を見上げて考えていると
ブーンブーンブーン
隣で声がした
「一体誰なのだろう」 気になって隣を見ると
男の子
五、六歳ぐらいだろうか 小さな男の子がベンチの端っこで オモチャのバスを走らせていた
ベンチは三枚の板が 間隔を開けて並んでいるタイプだったので
どうやら彼は その板一枚一枚を道路に見立てて 遊んでいるようだった
思わず私は声を掛けた
男の子
男の子
男の子
彼はそう言うと目を輝かせた
私は特にやる事もなかったし 周りに誰もいなかったので 彼と遊ぶ事にした
男の子
駅名…駅名…
とりあえず知っているものを 言えばいいか
男の子
再び男の子はオモチャのバスを 走らせた
男の子
男の子
男の子
男の子
私に一喝入れると 彼はお手本を見せてくれた
男の子
男の子
彼のオモチャのバスは ゆっくりと速度を落とした
止まるかと思ったら
男の子
そう言ってスピードを上げた
それからいくつ駅名を言っただろう
江野町 佐々見 田島 大山 ・ ・ ・
しかしある駅名で 彼のオモチャのバスは止まった
男の子
男の子
その瞬間、目の前にバスが止まった
男の子
男の子
男の子
彼は今日の太陽の様に 明るく笑うと
「黄泉駅行き」と書かれたバスに 勢い良く飛び乗った
プシュー
バスが行った時 慌てて時間を確認した
この時間はどうやっても バスは来ない
それを知った時
恐怖よりも
得体の知れない彼と遊べた事に 感謝していた