赤
桃くんっ!
百
急に呼び出してごめんな
赤
全然!どうしたの?
百
......
百
赤
赤
ん?
百
......
百
...俺、末期の胃がんだった
赤
え...
赤
いや!嘘はいいって!そんな...
百
いや、本当なんだ
真っ直ぐな目でそう言う百ちゃん。
赤
本当...なの?
百
うん
赤
でも、治療すれば治るんでしょ?
百
...いや、治んない
赤
へ...?
百
俺は...あと3ヶ月しか生きられない
赤
3、ヶ月...?
百
絶対幸せにするって言ったのに...
百
本当にごめん...!ポロポロ
赤
...
赤
もしかして...
赤
練習に行かなくなったのも...
百
うん...
百
時々腹が痛くなってたんだ
赤
そんな...
百
.....
百
だから...別れようポロポロ
赤
...!
嘘だって言ってほしかった。
いつもみたいに笑い飛ばしたかった。
できればずっと、 黙っていてほしかった。
でも...
もう元には戻らないことなんて、 お互いわかりきった様子だった。
「別れよう」と言う百ちゃんの言葉が 脳裏に浮かぶ。
永遠なんてない。
わかっていたはずだった。
いつか別れが来る。
わかっていたからこそ、百ちゃんと 出会うまで、人と関わらない人生を 歩んできた。
それなのに。
百ちゃんのことを好きにさせた彼は、 俺を置いていこうとしている。
ずるい。ずるすぎる。
赤
...ずるいよ
赤
好きにさせた責任くらいとってよ...
百
......
赤
俺を置いていかないでよ!
赤
1人にしないで...!
赤
別れるなんてやだ...!ポロポロ
百
でも...
赤
でもじゃないもん!ポロポロ
赤
百ちゃんがいないと生きてる意味なんてない...!ポロポロ
百
......
赤
それくらい...大好きなのポロポロ
赤
愛してるの...ポロポロ
百
...ごめんポロポロ
赤
...ポロポロ
百
...赤
百
幸せに生きろよ
赤
そんな...最後みたいなこと...ポロポロ
夕日がムカつくくらい綺麗な光で 俺たちを照らす。
百
...この夕日より、赤の方が、綺麗だよ
赤
...!ポロポロ
赤
ありがとう...ポロポロ
百
赤...ポロポロ
百
...大嫌い
赤
...!
そう言って百ちゃんは俺に イエローアパタイトのネックレスを 渡し、走っていってしまった。
赤
待って...!行かないで...!ポロポロ
そんな俺の声は誰にも届くことなく、夕日だけがイエローアパタイトの ネックレスを悲しいほど 綺麗な黄金色に染めていた。







