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美夜子

ねぇ、幸貴

幸貴

ん?

美夜子

私、……私ね

幸貴

あ、ごめん

幸貴

電話だ

美夜子

あ、……うん

最近、彼の様子がおかしい。

成り行きで付き合い初めて、早3年。

私は26歳で、彼は30歳。

お互いにそろそろな年頃なんだけど、

……やっぱり、私が一方的に好きなだけで、彼は何とも思っていないのかもしれない。

だって酔った勢いとは言え、先に告白したのは……、

私、だから

幸貴

ごめん、なんだった?

美夜子

あのね、

美夜子

ちょっと聞いてもいい?

幸貴

うん

美夜子

……私のこと、どう思ってる?

幸貴

え?

美夜子

だって、酔った勢いで私が一方的に気持ちを押し付けた訳だし、

美夜子

それにもう、3年経つんだよ?

美夜子

もし、もしも、こんな私を重荷に思ってるなら、

美夜子

我が儘だけど……、今、思ってることを教えてほしいの

幸貴

……わかった

一息溜め息をついて、彼が立ち上がる。

そしてなにも言わず、部屋を出ていってしまった。

……ほら、やっぱりそうじゃない

こうやって何でもネガティブに考えてしまうところも、

酔うとまるで別人のように、彼に限らず誰かに甘えてしまうところも、

私が、彼の笑顔を好きって、例え行為中でも思った事を口に出してしまう癖も、

みんな、みんな、……この3年間は、

彼の人生にとって、今までで一番の重荷だったのかもしれない。

そう、思ったら、本当に泣けてきた。

彼がいなくなった部屋で、大粒の涙を溢しながら、やっぱり大好きな彼の事を想いながら、

幸貴

……何泣いてるの

美夜子

……え

ぐっ、と抱き締められて、彼の体温が私の全身を包む。

え、何で、さっき、部屋を出ていったんじゃ……??

そうは思っていたが、嗚咽で言葉にはならず、うえっ、と変な声が出てしまうだけ。

幸貴

ほんとに、鈍感なんだな

美夜子

……、なにが?

幸貴

俺がこの3年間、美夜子を傷つけないように理性を我慢してたのに、

幸貴

……逆に、そんなに泣かれちゃったら、

美夜子

え、どういうこと?……んっ

そう言って、彼が私の大粒の涙を優しくキスで拭ってくれて、

一瞬、きゅっと目を瞑っている間に、首元にを何か違和感を感じた。

美夜子

??……これ、ネックレス?

幸貴

よーく、見てみて

美夜子

ん、クリスタルのストーンが入った……、

美夜子

……指輪?

ネックレスに付いていた指輪は、アクセサリー用としてよく見る大きさではなくて、

軽く宙に掲げた状態で試しに指を通してみると、

なんと、見事にすっぽり嵌まった。

幸貴

見れば分かると思うけど、

幸貴

それちゃんとした指輪ね

美夜子

いつの間に、

幸貴

それは買った日?それとも指のサイズ?

美夜子

……両方

そう俯いて答えたら、また抱き寄せられて、今度は一緒にそのまま横に倒れこんだ。

顔を上げると、彼は今までに見たことがないくらい、切なそうに私を見ていた。

幸貴

買ったのは、ほんの数日前

幸貴

指のサイズは、

幸貴

……勘

美夜子

それは、嘘でしょ

幸貴

まぁ半分嘘で、半分本当

幸貴

自分の指の太さを知ってれば、

幸貴

指を絡めたときに、大体のサイズは分かるだろ?

美夜子

!!!

美夜子

……いじわる

幸貴

?何も苛めてないよ?

美夜子

ほんと、そういうとこ、

美夜子

……鈍感なんだから

幸貴

お互い様

美夜子

ふふっ

美夜子

でも、

美夜子

大好き

幸貴

俺も

幸貴

後言いたいことは分かるよね?

美夜子

そこはちゃんと言葉で言ってくれないと、

美夜子

ね?

幸貴

じゃあ、

幸貴

一度しか言わないから、

幸貴

よく覚えておいて

美夜子

すぐ忘れちゃうもんね笑

私の嫌味を軽く笑いながら、ぎゅっと引き寄せられて、耳元で囁かれる。

出会えてよかった、

これからも、俺の隣で支えて欲しい。

……愛してる。

彼に言い切られる前に、私は先手を打ってキスで応じたけれど、

後日聞いてみたら、男としては最後まで言わせて欲しかった、と冗談めかしに笑いながら教えてもらった。

たとえ鈍感でも、

お互いに気持ちが通じあっている事くらいは、

言葉じゃなくても、伝わってほしかったから。

Fin.

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