赤い糸プロジェクトへようこそ
これは、初恋の人に必ず出会える
そして、これからの運命を共にできる
そんな素敵なアプリです
使い方は、チャット画面を開き
そのまま待っていれば
一週間以内に初恋の人が現れます
それではどうぞ、お楽しみください
お幸せに…
月華
って、友達に誘われてやってみたのはいいけど…なんかこれ胡散臭い。
月華
本当に初恋の人なんて来るのかな
月華
っていうか、まず根本的な問題なんだけど、私の初恋の人って誰だっけ?
いたっけ?初恋の人
いたっけ?初恋の人
月華
恋愛した覚えないから、わかんないんだけど…
手に持っていたスマホを ベッドに投げた。
月華
もう、何やってんだろ私
すると、間も無くスマホに 通知が一件入った。
月華
…赤い糸プロジェクトじゃん
恐る恐る、アプリを立ち上げる。
陸
こんにちは
月華
こんにちは
月華
えと、誰ですか?
陸
誰でしょう
陸
俺はもう分かりましたよ
陸
というか、入れた時点で誰かは確信してますけど笑笑
月華
え…とニックネームからいって…陸さん?ですか?
陸
そうですね。
陸
その様子だと覚えてなさそうな笑
月華
すみません…。
本名教えて頂けますか?
本名教えて頂けますか?
陸
僕は松下 陸、覚えてるかな
月華
松下…陸
月華
あ!もしかして、りっくん!?
陸
せーかい!中学生のりっくんだよ
月華
わぁ、すっごい久しぶりだね!!
月華
幼稚園以来?
陸
そうだね。
陸
久しぶり、なるちゃん
月華
なるちゃんって呼ばれるの、すごい久しぶりだー!!
月華
鳴滝って苗字、だれも呼んでくれないんだもん。
なるちゃんって呼ぶのりっくんだけだから、最初からなるちゃんって呼んでくれればすぐ分かったのに!
なるちゃんって呼ぶのりっくんだけだから、最初からなるちゃんって呼んでくれればすぐ分かったのに!
陸
ほんと?笑笑
月華
ほんとほんと!
陸
そういえば、いきなりだけど、なるちゃんはなんでこのアプリ始めたの?
月華
あー、私は友達に誘われてかな?
月華
好きな人できたことないって言ったら勧められてさ。
陸
そうなんだ
月華
りっくんは?
陸
俺?
陸
俺は、初恋の人に出会うためだな
月華
そうなんだー!
陸
待って待って、
そうなんだー!って…
そうなんだー!って…
陸
なるちゃん、このアプリのルール知ってる?
月華
ん?
月華
え?これ…ただのチャットアプリじゃないの?
陸
アプリ入れてからの冒頭のメッセージ読まなかったのか…笑笑
月華
ああ、読んだ!…けど読んでない気もする…
陸
まぁ、なるちゃんらしいけどさ笑笑
月華
ごめん読みとばしてた…
陸
これは…
陸
初恋の人に出会うためのアプリ
陸
だよ
陸
まぁ、鈍感ななるちゃんにもわかるように簡単な説明。
陸
要するに俺の場合は、なるちゃんが初恋の相手ってこと
陸
だから、このアプリが繋ぎ合わせたんだよ。
俺のアカウントと
なるちゃんのアカウントを
俺のアカウントと
なるちゃんのアカウントを
月華
月華
う…え!?
陸
どうやってAIが俺たちの初恋の相手を当ててるか謎だけど。
月華
じゃ、じゃあ私の初恋の相手はりっくんってこと?
陸
そこら辺のルールが難しくてね
陸
アプリ製作会社のブログに細かいことが載ってるんだけど
陸
俺もあんま文字読むの得意じゃないから、自分が理解できてる範囲しか説明できないんだよね笑
月華
そうなんだ…
月華
なんかごめん
陸
そこらへんは全っ然
気にしなくていいよ!
気にしなくていいよ!
月華
ありがと…^_^
陸
続けるね
陸
基本、その人の初恋な人のもとへ繋がるようになってるけど、
陸
もしそれが片想いだとか、初恋相手がすでに他の相手とチャットしちゃってたり、叶いようがなかったりすると、どうやら繋がらないらしいんだ
陸
俺の友達の体験談なんだけど
月華
そ、そうなんだ
月華
友達さん大変…
陸
ま、あのやんちゃなガキンチョりんたろーだけどね
月華
あー!りんちゃんか!
月華
なら大丈夫そうだね笑
陸
それは俺も思った笑笑
陸
陸
ねぇ…
いきなり話が戻るんだけどさ、俺期待してもいいの?
いきなり話が戻るんだけどさ、俺期待してもいいの?
月華
え?
陸
繋がったってことは、叶うかもしれない確率があるってことだよね
月華
た、たしかにりっくんの
説明ならそういうことになるけど…
説明ならそういうことになるけど…
陸
俺、頑張る
月華
な、何を?
陸
絶対月華を俺のものにしてみせる
月華
ちょっ、ちょっと待って!
月華
これって初恋の人を探すアプリだよね!?
月華
なら、初恋ってだけで、今は別に好きじゃなかったりもするんじゃないの?
陸
そういう場合もあるんだろうけど、
陸
これは久しぶりの出会いを楽しむためのアプリだと、俺は考えてるよ
陸
そして、全員が全員、その頃の初恋の恋情が消えてるってわけじゃ、ないと思うよ
陸
少なくとも、俺は今でもずっと月華のことが好きだっていう一人だ。
月華
う、あ、ありがと
陸
だから、絶対俺のものにしてみせる
陸
良いよね?
月華
え、う、あーお好きにどーぞ!!
陸
やった
陸
ありがとう、月華
陸
俺、今生きてきた中で一番幸せかも
月華
も、もう夜遅いし寝よ!
月華
また、別の日に話そ!
陸
だね
陸
じゃ、そうゆーことでよろしく!
陸
おやすみ
月華
お、おやすみ
私は枕に顔を埋めた
月華
わ、私の好きな人って…
月華
りっくんだったんだ…
月華
嘘だ…誰も好きな人なんていないって
月華
ずっと思ってたのに…
月華
りっくんが私のこと好きだったなんて
声にならない叫びをあげ続けた。