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冬恋

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冬恋

1 - こばかぶで、華太視点。アオハル

♥

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2023年01月22日

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冬は嫌いだ。

元々が体温が低いので、この寒さは殊更堪える。

極道は面子が命、モコモコと着ぶくれするなど軟弱な真似は出来ない。だから、冬でも羽織っても外套までで、特に厚着はしない。

しかし、いきった所で寒いものは寒い。

悴む手に、はぁー、と白い息を吹き掛ける。一瞬は暖かいが、なしのつぶて。

小林幸真

よぉ、華太ぉ~今帰りか~?

背後から声を掛けられ、振り向くと小林の兄貴が立っていた。

小峠華太

小林の兄貴、お疲れ様です。ええ、今、守代の徴収が終わったところです。

小林幸真

ふ~ん

小林の兄貴の視線が、俺の手に注がれる。

小林幸真

華太ぉ~、お前、手の色わりぃーのな。まるでお化けみてぇ~

小峠華太

冬になるといつもです

血流が滞るため、華太の手は何時もよりも、一層白さが際立っている。

小林幸真

今日、そんなに寒いか?俺は平気~平気~

兄貴は外套すら羽織ってないが、特段寒そうな様子でもない。筋肉量の違いなんだろうな。俺も鍛えている方ではあるが、明らかに小林の兄貴とは筋肉量の差に開きがある。

ひとしきり俺の手を繁々、見つめていた小林の兄貴が

小林幸真

と、短い言葉と共に手を差し出してきた。

手をとれという事か?差し出された手に手を重ねると、小林の兄貴はそのまま手を握りしめ、重ねた手と共に小林の兄貴のポケットに仕舞われてしまった。

小林幸真

帰んだろ?俺も事務所に行くところだったからな~

それは嘘。

本当は、このまま速水と飲みに行く予定だったでしょ?さっき、速水から泣き言メール入ってたので、俺、知ってますよ。

小林の兄貴の反対のポケットから、速水からの着信だと思われる振動音に気づないフリをする。小林の兄貴の不器用な優しさを無下にするのは、不粋というものだろう。 速水には悪いが、少し待ちぼうけして貰おう。

握られた手から伝わる温もりよりも、顔の方が火照って暑い。

小峠華太

小林の兄貴、帰ったらホットココアいれますね

小林幸真

頼むわ。とびっきり甘~いやつな

小峠華太

はい

冬の寒さは嫌いだ。 けれど、小林の兄貴と一緒なら、少しだけ冬も好きになれそうだ。

おわり

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