9月───。
近年暑さは簡単には引かず、まだ少し蒸し暑く感じる。
それでも少しずつ自然の涼の風が吹き始め、段々と地上を占領していく。
文化祭を控えたさくらたちも、クーラーのある部屋で腕まくりをしていた日々は過ぎ去り
今やカーディガンやセーターを目にすることも少なくない。
ひら
さくら
さくらはヒラとともにロッカーから出てきて、身の回りを整えていた。
ヒラはローテを確認すると、レジを代わりに行き、こちらには佐野さんが来た。
佐野さん
さくら
佐野さん
さくら
さくら
佐野さん
さくら
佐野さん
さくら
佐野さん
さくら
言ってから、さくらは自分の言葉を繰り返した。
さくら
さくらは視線を泳がせ、付け加える
さくら
すると、フッと笑い声の漏れる音がして、さくらは顔を上げた。
佐野さん
さくら
佐野さん
さくら
気づいたころから、佐野さんはよく笑っているように思う。
そしていつも、その視線は優しい。
でも今日は違う。ちょっと、意地悪かもしれないと、さくらは思った。
さくら
思いながらも、さくらは今度はしっかり目を合わせて言う
さくら
佐野さん
さくら
そのしたとも限定です!みたいな絡みにさくらはまた一つ嬉しくなった。
颯真
パッと顔を上げると、キッチンを出たところにはその男がいた。
央生
央生
颯真
央生
颯真
颯真
颯真
央生
藤谷は既に聞いておらず、鼻歌を歌いながらキッチンへと入っていった。
一方佐野は一瞬立ち尽くし、そしてまた歩き出した。
央生
言いながら、佐野は考えていた。
佐野さんに来てほしくて!
央生
裏へ戻る途中、その笑顔が佐野の脳裏に浮かび、彼は頭をかいた。
さくら
ある日の朝──さくらは思わず声を上げた。
それとほぼ同時に、向こうのロッカーから珠理がこちらに来る
杏珠
さくら
さくら
さくら
さくら
杏珠
杏珠
さくら
杏珠
杏珠
さくら
さくら
さくら
さくらはウキウキで教室に向かう
さくら
さくら
ゆうめん
のあちん
湊
さかも
結舞
湊
湊
湊はため息を吐き、言葉を詰まらせる
さくら
のあちん
湊
結舞
さかも
ゆうめん
ゆうめん
のあちん
結舞
みんなできゃあきゃあ言っていると、話題は少しずつ移っていく
そういえば誰それも付き合っただとか、秋はやっぱりカップルが多くなるだとか、文化祭マジックについてだとか
間近に迫るイベントごとに、皆の期待値はマックスになっていた。
鈴華
さくら
鈴華
鈴華
愛莉ちゃん
鈴華
愛莉ちゃん
空太
バンドの話を色んな人にしていたところ、灯台下暗しと言ったところか
1年のとき親しくしていた友達の中に、バンドを組める人がいた。
空太
空太
愛莉ちゃん
そして愛莉の方はというと、誘ってみたところ、案外快諾してくれた。
ところが───。
愛莉ちゃん
さくら
愛莉曰く、自分を振る男に出会ったことがなく悔しいということで、極めて稀有なトゲトゲモードを発揮していた。
空太
愛莉ちゃん
2人はもはや仲良さそうに、いつも言い合いをしながら練習をしている
愛莉ちゃん
指が滑り、愛莉の手に血が滲んだ
愛莉ちゃん
空太
鈴華
愛梨は空太の気遣う言葉に、ムッとしながらも返事をしている。
それを見ているさくらはすぐに気がついた。
さくら
さくらは一瞬、そんな愛莉が自分のことをどう思っているのかと考えたが、それはあまりよくない気がしたのでやめた。
そもそも愛莉はそういうことを考える子でもなさそうだし
とにかく、愛莉は困っていたのを助けてくれて、可愛くって、優しい子だということが、全てである、と思ったのだ。
鈴華ももちろん気がついているようで、冷めたところのある彼女が「まあ、いいんじゃない」と
肯定の言葉を示した時点で十分だった。
愛莉ちゃん
さくら
さくら
愛莉ちゃん
鈴華
鈴華
異色のそのバンドは、少しばかり注目を集めていた。
コメント
1件
ねねねねね!?佐野さんのあのセリフ何!?藤谷さんがからかいたくなるのも分かるよ!?めっちゃ2人の今後の展開気になるんだけど😳💕 ええ!?ゆうめんちゃんと湊くん、ついに付き合ったの!?おめでとー!!そしてお幸せにー!! 好きな人との進展に、友達の恋愛成就、新しいバンドでの活動…楽しいことだらけだね!!