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ざぁ ざぁ
悲鳴が聞こえる
逃げなきゃ。
逃げなきゃ。
逃げなきゃ、
早く、逃げなきゃ。
みんなが____
エリメス
エリメス
酷く呼吸が荒れている。 冷や汗で服が濡れている。
エリメス
ベットから這い出て、軽く着替える。勿論、普段着に。
エリメス
ふと窓の方を見た。 未だ青々としている花冠は 窓の外でこちらを見ている満月に 照らされて、とても綺麗。
着替え終われば、窓の外を見る。
丘の方。暗くてよく見えないが…
エリメス
今思えば、心配のベールの中の 好奇心だったのかもしれない。
静かにドアを開けて、行ってきますを誰にも向けず呟いた後、
敷地の外へ、丘へ飛び出した。
_嫌な予感がする。
_____
_
心配してるんだよォ? やめてください…! ……
ラソル
エリメス
辿り着けば、知らない男の人と、 抵抗するラソル。
男は黒い帽子を深く被っていて、 月光でやっと見える口元は髭まみれ、肩からかけたバックが半分空いている。
大丈夫です…!ひとりで… そんな事言わずにさァ…… …………
ラソル
エリメス
考える隙、 理性が入る隙間など無かった。
ラソルが引き摺られた瞬間、言い ようのない憤怒が心を支配した。
ラソルと男の手を引き剥がし、
一緒に丘の上まで逃げた。
男は突き放したと同時に転倒し、 帽子が取れて擦り傷ができていた。
それでも構わず追ってきた。 絶対に離さんというような 執着すら透けて見える。
…?
男は殴りかかろうとしてきている。
帽子が取れてわかったが、 怒りの余りか、酒でも飲んだのか 顔が赤い。
どちらにせよ、 判断力が正常じゃないのは確か。
エリメス
横に逃げて、足を引っかければ 男は簡単に転んだ。
その拍子に半空きのバックから 刃物が転がり出てくる。
脅しでもしようとしていたのか、 転がり出た刃物を拾おうとする男を 遮るように刃物を奪った。
しゃがみ込み、 ゼェゼェと息を切らしながら 男が喚く罵詈雑言の数々。
悪態を喚くその顔も 手を振りあげれば みるみる内に青ざめて、 命乞いになった。
神様もこの男に慈悲は与えない。
きっとその時の私は酷い顔を していたと思う。
気がつけば、草花は 生々しい赤に染まっていた。
_
男はもう動くこと無く 地面に倒れている。
人を殺めた実感はあるのに、 何故か酷く冷静でいられる。
エリメス
息が切れている。 服が赤で汚れてしまった。
ラソル
声のした方に目を向ける。 疲れのせいか声が出ず、 ただ、嗚咽が喉を伝った。
ラソル
ラソル
ラソル
エリメス
げほ、と1度、咳をしてから、 埋めよう、あとは着替えたい。と 2つ伝えたら、 いいよ、と言ってくれた。
丘の下、少し歩いた所にラソルの家がある。 小さな家で、誰も居なかった。
庭に、園芸用の小さなシャベルで、時間をかけて穴を掘って男を埋めた。
土と共に拭っていたら 血も少し誤魔化せた。
その後、ラソルの家のシャワーや 服を借りて、一通り綺麗になった。
お泊まりみたい、 なんてはしゃぐ元気は無かった。
エリメス
ラソル
_______…
ラソル
丘の上、少し休もうと ぼうっとしてたら 不意にラソルに声を掛けられる。
今までなかなか呼んでくれなかった 愛称に、少し反応が遅れる。
ラソル
はく、と息を着いているうちに、 ラソルは話始めている。
ラソル
ラソル
月は私たちを見下ろすように 光で照らして微笑む。
エリメス
ラソル
隣に座っていたラソルが立ち上がり、前へ出た。
____嗚呼、気が付かなかった。
ラソル
今まで夜に会う事が無かったから。
ラソル
真珠のようなクリーム色の髪の毛と 紫に淡く光る瞳の
目の前に立つ、その姿。 魔性とも呼べる立ち振る舞い。
ラソルは、月華によく映える。
嗚呼、見惚れてしまう。
嗚呼、まるで____
____まるで
月から零れた孔雀石のよう。