若井滉斗side
鳥の声
鳥の声で目を開けると窓からは朝日が差していた
昨日、公園から帰ってきてすぐに寝てしまったらしい。
今日は悪夢にうなされることなくゆっくり寝れた気がする。
今日の予定を確認するために携帯を手に取る
そしてぎょっとした。
右手の小指がなかったから。
そして思い出した
自分が透明病だということを。
鏡で全身をよく見てみると顔は透明化していないもののお腹や腕、足…所々はもう透明化が進んでいた
昨日のことが、原因だろうか
そう思いながら服を着る
右の小指は元貴達にバレるかな
まぁ、バレるほど元貴たちと喋りはしないか。
だって俺はもう必要ないもんね、笑
食欲がないので朝ごはんは飛ばし。靴を履いて荷物を持つ
今日は天国のレコーディングがあるみたいだった
昨日の今日元貴達と会うのは気まずいけど、仕事だから、と自分に言い聞かせる
無言でレコーディングルームの扉を開けると元貴が座っていた
涼ちゃんの姿がない。
おかしい。
いつも二人は一緒に来ているはずなのに。
元貴が俺に気づいてこっちを向いた
大森.
若井.
大森.
若井.
大森.
元貴がこちらを見ずにいう
元貴は携帯を触りながら立ち上がった
“関係ないじゃん” か。
確かに、涼ちゃんのことは俺に関係ないか。
大森.
元貴がそう言って俺の方を向いた
その時だった
元貴の目線が俺の右手に注がれる
大森.
大森.
俺の右手を指差して元貴がいう。
俺は咄嗟に右手を見た
小指がないだけ
それは俺が透明病になったから。
透明病になったのは元貴と涼ちゃんが無視するから。
若井.
大森.
若井.
元貴たちのせいで、とは言わなかった
言ったら、負けると思ったから。 なにに負けるか、わかんないけど。
元貴は俺の言葉を聞くなり顔を顰めた
そして一回立ったはずの椅子にもう一度座る
大森.
若井.
大森.
若井.
元貴はその言葉を聞いてえ、と呟いた
元貴はそれから十秒間、なにも話さなかった
レコーディングルームに外の雑音だけが響いてくる
元貴はなにを話そうか悩んでいるみたいだった
大森.
若井.
元貴は眉間に皺を寄せた
そんな顔しないでよ
俺はそんな顔させようと思って言ったんじゃない
大森.
元貴は会話を放棄してレコーディングルームを出て行った
若井.
元貴が出て行って、足音が遠のいてから、俺は一人で笑い泣きをした
なにが、悲しいんだろう
なにが、面白いんだろう
今の元貴になにを期待していたの?
元貴なら、信じてくれると思ったの?
馬鹿。本当に馬鹿だった
冷たく見えるけれど、繊細で、優しい元貴なら、信じてくれるってどこかで思っていた
信じたかっただけかもしれないけれど。
でも、元貴が違った
俺の話を嘘だって決めつけて、涼ちゃんが待っている家に帰った
もう、あの頃の優しい元貴はもういないんだ
ほんと、なにに期待していたんだろう
その日の夜、俺は元貴が優しく笑いかけてくれる、そんな夢を見た
こんにちは✨
1000いいねありがとうございます😭 コメントもありがとうございます😭
この作品もいいねと感想よろしくお願いします🤲
投稿遅れてすいません💦 次の話は多分大森さんサイドです✨
それではまた!
コメント
8件
続き楽しみすぎます
ほんとに泣いた(´;ω;`) もっき〜ちゃんとしてくれ…