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あいされたい

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あいされたい

3 - 留守番

♥

620

2024年09月12日

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みんなが夕方出掛けに行った後、俺はぶるーくの部屋に行った。

編集作業を手伝って欲しいと言われていたのだ。

br

いや~ごめんね、スマイル~

sm

……ホントにな、何で俺なんだ?

sm

編集作業なら……きんときとか、シャークんの方が適任じゃないか?

br

あはは、まぁ細かいことは気にせずにさぁ

目の前の彼はそう笑って誤魔化した。

彼はいつもそうだ、いつもふわふわしてニコニコしてて……

でも、毎回仕方ないと許してしまうような雰囲気が彼にはあった。

sm

……で、何すればいいんだ?

br

えっとね、ここと……ここと…

俺は、彼に指示されたところを指示通りに編集し始めた。

約1時間後

sm

……おい

br

……ん?どうかした?

sm

これ、一人でどうにか出来る量じゃないか?

br

え、そお?

sm

うん……何ならぶるーくがやってた方が早く終わってるぞ、俺のやった作業

br

え~、そうかなぁ…

どことなく、彼のその喋り方が白々しい気がした。

sm

……お前、何か隠してるな?

br

……

彼は少し考えたような顔をして、口を開いた。

br

まぁ……そろそろいいか

br

……流石、スマイルは何でもお見通しだね

br

実はちょっとスマイルに話があってさ

sm

話……?

br

編集作業はその口実、スマイルの言った通り本来は僕一人で事足りる量だよ

sm

……じゃあ、その話ってのはなんだ?

br

あのね、その……

彼はしばらく口をもごもごさせてから、ぼそりと言った。

「スマイルって、シャークんのことどう思ってるの?」

思いもしない問いかけに、俺は思わず固まってしまった。

br

あの……別に、深い意味的なものはないんだけど……

sm

……俺が、

sm

シャークんをどう思ってるか?

br

うん、えっと……恋人として?

sm

……

sm

……何でそれをぶるーくが知りたいんだ?

br

え?えぇっと……あのね、実は……

br

シャークんが、最近本当に自分のことが好きなのか不安になってるらしくて……

sm

……え

br

僕、相談されたの

sm

……

br

シャークんが……直接には聞けないから、って……

俺は思考が停止していた。

sm

…ぶるーく、それ本当か?

br

う、うん

sm

……そうか

恋人失格だと思った。

自分が……シャークんを相談するほどまでに不安にさせていたなんて、 気付きもしなかった。

br

ス、スマイル……?

ぶるーくが心配そうにこちらを覗き込む。

sm

俺は……ばか、だ

気付けば俺は泣いていて、ぶるーくはそんな俺の背中を 優しくさすってくれていた。

br

……落ち着いた?

sm

…うん

俺はぶるーくが目の前にいるのに関わらず、独り言のように呟き始めていた。

sm

……シャークんのことは……だいすきだけど、

sm

俺……初めての恋人で、どうすればわかんなくって…

sm

恋人になってから、ますますどうしたらいいかわかんなくなっちゃって……

自分でも支離滅裂なことを言っている気がしたが、 彼は優しく相づちをうちながら俺の話を静かに聞いていた。

sm

おれがっ……シャークんを、不安にさせてたなんて……わからなかったし

sm

それって……恋人失格だよね…

br

……そんなことないよ、今シャークんのために泣いてるじゃん

br

今泣いてるってことは、それほどシャークんが大切なんでしょ?

俺は鼻をすすりながら頷く。

br

……じゃあ、もうだいじょうぶ。

br

スマイルは、やり方がわかってないだけ

br

それをシャークんに伝えれば、きっと彼も安心するよ

sm

……そうかなぁ、

br

絶対そうだよ!シャークんも、スマイル大好きだから

br

……頑張って、スマイル

sm

……うん

sm

ありがとう、ぶるーく

sm

俺……今夜、シャークんに言ってみる

br

そうそう、その意気だよ!

彼は笑って、俺の肩をバシバシと叩いた。

泣いたままのスマイルが部屋を出ていき、 僕は部屋で一人椅子の背もたれに寄りかかる。

br

あ~あ……

br

なぁんだ、スマイル……シャークん大好きじゃん

br

今回ばかりはなかむの予想も当たんなかったね、

僕は目から溢れる涙を手の甲で拭った。

彼の座っていたクッションがへこんでいるのを見て、僕は呟く。

br

馬鹿なこと、したなぁ

僕は二人が付き合う前から、スマイルが好きだった。

端正な横顔とたまに笑った時のあの笑顔が かっこよくて、それでいて可愛くて……

いつか想いを伝えようと日々を過ごしていた。

そんなある日、二人が付き合ったという報告を聞いた。

shk

告白したら、OK貰いました……

kn

おぉ!!おめでとう!!

kr

おめでとー!

nk

くそー、羨ましいなリア充が!!

br

……爆発しろーっ!!

二人は照れ臭そうで、でも二人とも幸せそうだった。

……あぁそうだ、スマイルはずっと……シャークんが好きだったんだ。

最初からずっと、お似合いの二人だったんだ。

そんな報告を受けて、数ヶ月が経った頃のことだった。

br

……どうしたの、話って……

僕はなかむに呼び出されて、近所の公園に来ていた。

nk

あのさぁ……

nk

あの二人……どう思う?

br

え?あの二人って?

nk

シャークんと……スマイル

二人の名前を聞いて、胸がずきりと傷んだ。

そろそろ失恋の傷も癒えそうだったのに、 と僕は八つ当たり気味に返事をする。

br

いや、お似合いの二人だと思うけど?

nk

……そうかな

br

僕は驚いてしまった。なかむらしくないことを言っていると思ったから。

nk

報告があってからも二人で出掛けることもないし、二人が喋ってるのもあまり見たことがないし

彼は何を言いたいのだろう、と困惑しながら僕は言葉を返す。

br

そりゃ、恋人になったからといって……すぐイチャイチャする訳じゃないでしょ

br

それは……二人のペースの問題じゃない?

nk

……でも、付き合う前と後、大差ないじゃん

nk

しかもここ数ヶ月ずっとだよ?

br

……な、何が言いたいの?

僕は耐えきれなくなって彼に聞いた。

すると、彼は俯いて静かに呟いた。

nk

俺ね……シャークんが好きだったの

br

……え

nk

二人が付き合った後もなかなか諦められなくって、

nk

最近シャークんが元気ないのもずっと見てた

br

(…言われてみれば、シャークん元気なかったかも)

nk

俺……許せなかった

nk

シャークんをずっとほったからして、不安にさせてるスマイルが

nk

……もう、シャークんに冷めてるみたいに思えるし

br

……

nk

……ぶるーくってさぁ、スマイル好きだった?

br

……えっ!?

nk

あはは、図星?

br

ま、まぁ……そうだけど

そんなにわかりやすかったかなぁ、恥ずかし……

nk

じゃあさ……ちょっと協力しない?

br

きょ、協力……?

nk

うん

「二人を別れさせるの」

br

……え!?

nk

そしてそれぞれ、好きな人と付き合えばいい

br

ダメダメ、絶対ダメだよ!!

br

こんな、僕達の私情みたいな理由で……

nk

スマイルと、恋人になりたくない?

br

う……

僕はこの時、しっかり断って彼を止めるべきだった。

でも僕は、スマイルと付き合えるかも、という淡い期待が胸の奥にあり 心が揺らいでいた。

なかむの言葉を否定しつつ、実は僕も二人があまり上手くいっていないことを わかっていたのかもしれない。

そして二人が別れてくれないかな、とも……思っていたのかもしれない。

……こんな風にしてスマイルと付き合えても、嬉しくないのに。

こうして僕は、彼の協力に応じてしまったのだった。

なかむはシャークんと二人の時間を作り、二人が別れるようにする。

僕はその詳細を聞いたが、上手くかわされてしまった。

大まかに言うと、買い物や夕食に誘い上手く二人きりの時間を作るそうだ。

あまり周りから怪しまれないよう、一応他のみんなにも夕食に誘い ただの"外食"を装う。

ただスマイルが居てはやりづらいため、 僕はその日スマイルを家に引き留める役割を言い渡された。

それが、あの日だった。

僕は必死にスマイルを引き留める方法を考えて、 編集作業の手伝いという口実を思い付いた。

しかし実際にはあまり長く続かなくて僕が焦っていると、 スマイルに嘘を見破られてしまった。

そして、予定にもなくスマイルに話がある、と言って シャークんについて聞いてしまった。 (シャークんから相談を受けた、というのも嘘だ……)

……もしかしたら、シャークんと別れたがってるかもとかいう 最低な希望を抱いて。

でも結局、スマイルは想いの伝え方がわからないだけだった。

だから、僕の淡い期待は全て打ち砕かれてしまったのだ。

気付けば、彼の座っていたクッションはもう元通りになっていた。

br

(どれくらい泣いてたんだろ、僕)

br

……さよなら、僕の初恋……

br

…幸せになってね……

br

スマイル……

とても悲しいはずなのに、僕は何だか清々しかった。

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