医者
…疲労ですね。
如月 鈴
疲労…。
まだベッドで眠っているお父さんの手を握って、 先生の話を聞いた。
如月 鈴
ごめんね…ごめんねお父さん。私が、いらない心配させたんだ…。
如月 鈴
私が…もっとしっかりした娘だったら…!
お父さん
…(ピク
如月 鈴
えっ…
お父さん
ん…あれ、鈴…戻ってきてたんだ…おかえり。
如月 鈴
あ、ぁ…お、父さん…
お父さん
あれ、なんで泣いてるんだい…というかここは…病室?
ここはあまりいい思い出がないんだけど…。
ここはあまりいい思い出がないんだけど…。
如月 鈴
うぅっ…ごめんね、お父さん…ごめんなさい…。
お父さん
鈴…謝らないでくれ、君のことを何も理解していなかった
僕が悪いんだよ。
僕が悪いんだよ。
如月 鈴
違う…違うよ、私はただ…素直になれなくて、変に意地張って…。
如月 鈴
それで、お父さんに沢山迷惑かけて…それで、それで…。
"鈴"
如月 鈴
ッ…
お父さん
…こっちに来てくれるかい?寝起きで目がしょぼしょぼでね、
顔がよく見えないんだよ。
顔がよく見えないんだよ。
如月 鈴
…うん。
お父さん
うん…よく見えるよ。
そう言って、お父さんはそっと私の手を握った。 どうすればいいかわからなくて、とりあえず私も握り返す。
お父さん
鈴、僕はね…また失うのが怖いんだよ。
如月 鈴
ぇ…?
お父さん
カッコ悪いって思うかもしれないね、そうだよ。僕は凄く、弱くて情けない、カッコ悪い大人なんだ。
お父さん
はは、鈴にはこう育ってほしくはないかなぁ。
如月 鈴
お父さん…ううん、お父さんはカッコ悪くなんかないよ…。
優しくて、こんなどうしようもない私を愛してくれる…
優しくて、こんなどうしようもない私を愛してくれる…
お父さん
違うんだよ、鈴…。
お父さん
僕が…君を見捨てられなかったのは、楓に怒られるような気がしたから、楓が悲しむような気がしたから…。
お父さん
君からしたら大切に育てられていたように見えても、
僕は決して、君を愛してはいなかった。
僕は決して、君を愛してはいなかった。
如月 鈴
ッ…!
お父さん
恨んでいるかい?いいよ、思う存分恨んでくれ、全部、
僕にぶつけてくれて構わない。
僕にぶつけてくれて構わない。
お父さん
僕は、楓という人が傍にいたっていう事実を忘れたくなくて、
失うのが耐えきれなくて。
失うのが耐えきれなくて。
お父さん
君という存在で、楓の代わりを埋めようとしただけ、
それで僕は、ずっと気付いていないフリをしていた。
それで僕は、ずっと気付いていないフリをしていた。
お父さん
楓の代わりはいないってことも、君の代わりもいないことにも。
ホント、馬鹿だよ。大馬鹿者だ。
ホント、馬鹿だよ。大馬鹿者だ。
お父さん
そしていつしか、君への接し方が分からなくなって、
どんな距離感で、どんな態度で話せばいいのかでさえ、
分からなくなって。
どんな距離感で、どんな態度で話せばいいのかでさえ、
分からなくなって。
如月 鈴
お父、さん…。
なんて言えばいいんだろう。
"私は愛されていない" きっとどこかで、分かっていた。 でも気付かないフリを、ずっと続けてた。
だけど今、やっとそれを認めれた気がする。
なら、もういい。
如月 鈴
(お父さんがそんなに言うなら、私だって話すよ。)
如月 鈴
(私の思ってること、全部…!)
如月 鈴
…ねぇ、お父さん。
お父さん
…?
如月 鈴
私も、お父さんは好きじゃない。これでいい?
お父さん
ッ…!
お父さん
あぁ…それで、いい。僕に縛られなくていい。
無理に好きにならなくて、いい…。
無理に好きにならなくて、いい…。
如月 鈴
そっか…そうだね、私は…。
"いつも無理して笑って、無理して働いて、カッコ悪いところを全部隠そうとするお父さんが大っ嫌い。"
お父さん
っ、え…?
如月 鈴
もう隠さないでよ…私も、もう隠さないからさ…。
如月 鈴
私は…弱いところも全部見せてくれるような、優しいけど時々カッコ悪い、そういうお父さんを好きになってみたい。
お父さん
、鈴…?
如月 鈴
お父さんはさ、ヘタレなんだよ!
お父さん
ぅぐっ…
如月 鈴
…まぁ、私もあんま変わんないんだろうけどさ、なんてったって、
お父さんの娘だし…。
お父さんの娘だし…。
お父さん
…僕の、娘。
如月 鈴
そうだよ?それ以外の何者でもないでしょ。
逆になんだと思ってたの?
逆になんだと思ってたの?
お父さん
ぃや、えぇと…
如月 鈴
私も愛す努力をする。
お父さん
えっ…?
如月 鈴
私もお父さんを、ちゃんと父親として愛す努力をするからさ、
お父さんも、私を娘として愛す努力をしてって言ってるの!
お父さんも、私を娘として愛す努力をしてって言ってるの!
如月 鈴
それでも互いに難しかったら、そうだなぁ…また家出するから!
お父さん
やめてくれ、今度こそ穴が空く。
如月 鈴
そもそも、私を拾ったのはお父さんでしょ?
如月 鈴
じゃあ私がどんなにわがまま娘に育っても、
それはお父さんの責任だよね?てか親ってそういうものでしょ。
たぶん。
それはお父さんの責任だよね?てか親ってそういうものでしょ。
たぶん。
お父さん
う、うーんまぁ…そうなのかな?僕も子育ては分からないけど…。
如月 鈴
ふふ、じゃあどっちも同じ?
お父さん
…まぁ、同じ、かな…僕は子供じゃないし、
君は大人ではないけど。
君は大人ではないけど。
如月 鈴
細かいことは気にしないのー。
お父さん
言うほど細かくはないような気もするけど…。
如月 鈴
それで、どうなの?努力してくれるの?
お父さん
…怒らないのかい?
如月 鈴
さっきまで家出してた私に怒る権利はないと思う。
如月 鈴
むしろ私が怒られるべき。
お父さん
…ふふ、それじゃあ帰ったら愛の説教でもしようか。
如月 鈴
あ〜…お手柔らかに…。
お父さん、こんなわがまま娘でごめんなさい。 そして、私をここまで育ててくれてありがとう。
これからはちゃんと、親孝行するから、待っててね。
如月 鈴
最後まで見てくださり、ありがとうございました!
如月 鈴
はい、終わりが見えません。
如月 鈴
物語書いたことないのに、初作品がファンタジー系とか
馬鹿ですね。魔法要素うっすいし。
馬鹿ですね。魔法要素うっすいし。
如月 鈴
まぁ、なんとか納得のいく形で締めれるよう
頑張っていくつもりです。どの作品でもね。
頑張っていくつもりです。どの作品でもね。
如月 鈴
では、次回もお楽しみに。