爽
お母さん
お母さん
母親は、少し俺に気遣うようにそう言った
今日は、2年前に死んだ夏音とその兄の命日なのだ
8月15日
この日は、本当に呪われている
去年もこの日に1人の女子高生が自殺し、ニュースになっていたのだ
今日も、きっと誰かが死ぬ
誰かが傷つく
もう、生きていることなんてどうでもよくなりそうだった
【昼】
俺は、信じられないニュースを聞いた
うちの学校のそばの中学校の生徒が、トラックにはねられて死んだらしい
またうちの学校の生徒も、自動車とトラックにはねられて死んでしまったのだ
...やはり、この日は呪われている
周りの生徒は、休日なのに学校に行かせるから、学年ごとに下校時刻をずらすから
などと喚いているが、結局何がどうなろうと誰かが死ぬのは分かっていたことだった
爽
俺は、午後の授業が残っているというのに、教室を出た
靴を履いて外に出ると、空は晴れ渡る快晴だった
爽
俺は、この大きな世界を変えることも、立ち向かうこともできない
自分の無能さに自分で呆れる
本当に、俺は何にもできないから
後に気づいた、“大好きな彼女”のことも気づくのが遅すぎた
好きだと
人一人助けられない俺が、今ここでどう足掻いても何もできない
もういっそ空の一部にでも慣れればいいのにな
一人、道路に座り込んでいた時だった
春人
春人
そんな言葉を、何にも屈せずに言ってのけた少年
彼は、信じられないことを全て語った
『世界を変える』
案外それは、身近にあったりするものだ
爽
爽
夢が、現実になる
今この瞬間に、5人の選ばれし少年少女が集まった
未緒
明人
正輝
春人
正輝
明人
春人
明人
未緒
爽
爽
危機感のないこの状況に、少し笑えてしまう
だって、みんな目は笑っていなかったから
学校の屋上に着き、俺らは街を眺める
爽
明人
明人
未緒
正輝
春人
春人
爽
爽
明人
春人
ふざけてそういう俺たちは、案外ふざけていないのだ
爽
爽
みんなの声は高らかに重なる
『カゲロウデイズへ』
俺たちは、黒い大地へ身を投げた
終わり?
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