結衣
(絵美ちゃん!出て!)

絵美
結衣ちゃん・・・

絵美
濡れちゃったね。入って

結衣
絵美ちゃん、元気そうだね!これなら明日は来れそう!

絵美
うーん、わかんない。朝起きるとお腹痛くなっちゃうから

結衣
そしたら、明日朝休んでからちょーゆっくり来れば大丈夫じゃない?

絵美
結衣ちゃん、私いいの。明日、行けないならそれでいいって思ってるの。

結衣
なんで?岡田待ってるよ?あ、グループの男子も

「恋バナじゃなくて光秀グループのことだよ」というふうにあわてて付け足した。
絵美
だって私のところは頭のいい人がやればいいんだもん

結衣
(頭のいい人ってきっと岡田のことだ)

結衣
そんな事ないよ

絵美
それにね、岡田の顔もう見たくないの

結衣
なんで?絵美ちゃん、岡田のことあんなに・・・

絵美
イヤなの。岡田のこと見たくないの。だから学校も行きたくないの

結衣
なんで?岡田のこと嫌いになったの?

絵美
嫌いっていうかイヤなの。それに本当の私を知ったら結衣ちゃん、今度こそ私のこと嫌いになる

結衣
そんなことない。絵美ちゃん、なにがあったのか話して?

絵美
・・・結衣ちゃんは私のこと優しいって思ってくれてるけど、ちがうの。ちっとも優しくなんてない

絵美
恋は戦い、奪ったり奪われたりするもの。本当に好きなら自分のものにしたい!・・・あの2人が言ってるのをきいて気がついちゃった。本当は自分もそう思ってるんだって

結衣
そう思うのはふつうだよ

絵美
でも、その事を美咲ちゃんは正直に言ってる。なのに私は、見てるだけでいいなんて言っていい子ぶって、どれが本当の私なのかわからない

結衣
絵美ちゃんは絵美ちゃんだよ

絵美
私は私?こんな私、いてもいなくても同じなのに?

結衣
そんなことない!

絵美
だって岡田は、さくらちゃんのことしか見てないんだよ!

絵美
・・・結衣ちゃん帰って、またお腹痛くなってきちゃった

結衣
大丈夫?なんか温かいものを・・・

絵美
お願い、帰って!

結衣
これを言うのは2回目だね。絵美ちゃんのこと、嫌いだなんて思ってない。一生懸命戦ってる絵美ちゃん、私は好きだよ

結衣
じゃあ帰るけど、これだけは聞いて。光秀グループの壁新聞、今も、細川ガラシャのスペース、真っ白なままになってるよ

絵美
えっ?

結衣
明日、絵美ちゃんが来るのを信じて待つことにしたんだって。だから、それ以外のところは、ちょー完璧にしておくんだって。

絵美
だって、ガラシャのことは私がいなくても、もう岡田だってじゅうぶん知ってるはず・・・

結衣
絵美ちゃんじゃなきゃダメなんだって

絵美
・・・

結衣
絵美ちゃんのこと、待ちたいんだって

絵美
・・・!

結衣
明日、待ってるから

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先生
では、朝の会を始めます

絵美
ハァハァ

結衣
絵美ちゃん!

岡田
よかった、俺たちセーフ!

岡田も笑顔でそう言った。
「絵美ちゃん、逃げなかったんだね」私は心の中で、そう話しかけた。
グループ1
これで僕たちの発表を終わります。

発表は順調に進んでいき最後に光秀グループの発表になった。
壁新聞をひろげると紙一面にびっしりと書かれていた。
発表が進んでいき絵美ちゃんの番。
絵美
ここでいったん、光秀の娘、細川ガラシャについてのお話をします。

絵美
・・・・ガラシャの辞世の句に、このようなものがあります。

絵美
「散りぬべき、時知りてこそ、世の中の、花も花なれ、人も人なれ」

結衣
(よかったよ、すごかったよ絵美ちゃん!)

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絵美
結衣ちゃん

絵美
帰りの会終わったら、すぐに話したいことがあるの

結衣
うん、わかった。

結衣
話ってなーに?

絵美
結衣ちゃん、私、もう逃げない

結衣
うん

絵美
岡田が、どんなにさくらちゃんを好きなのかわかってる。でもやっぱり岡田が好き

結衣
うん

絵美
それでね、私、岡田に自分の気持ちを伝えようと思うの

結衣
・・・!それって告白するってこと?

絵美
うん、もちろん、奪おうなんて思ってない。付き合ってほしいなんて言わない。ただ、自分の気持ちを伝えようと思うの。

結衣
いつ?

絵美
もうすぐ。話したいことがあるから裏庭で待っててって言ったの

絵美
散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ

結衣
花も人も、散りどきを知ってこそ美しい

結衣
(絵美ちゃん、告白をして散ろうとしているの?)

結衣
絵美ちゃん、どうしても?

絵美
岡田に覚えていてほしいの。散るのはわかってる。
だけど、好きだから

絵美
もう行くね

結衣
絵美ちゃん、頑張って!

絵美
うん!

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さくら
結衣ちゃーん

さくら
絵美ちゃん知らない?

結衣
さ、さぁ

さくら
あのね、裏庭に行ったのを見たって人がいるんだけど

さくら
裏庭っていえば告白とか?

結衣
えっと、そうなんだ

男子1
ねー岡田知らない?

男子2
外行くとこ見たぞー

男子1
えーでも俺、校庭から入ってきたぞ

男子2
校庭じゃなかったら裏庭じゃん?

男子1
あーそーかも、サンキュー

さくら
結衣ちゃん、大変!

さくら
男子、裏庭に行っちゃうかも。止めなきゃ!

結衣
うん!

結衣
さくら、そこ、気をつけて

さくら
うん。結衣ちゃんも頭、出てるよ

結衣
あ!さくら、ちょっとストップ。静かに

さくら
結衣ちゃん、大変

さくら
ごめん、スカート引っかかっちゃった

岡田
それで、絵美の話ってなに?

絵美
え、う、うん

絵美
あのね、岡田!

絵美
私、細川ガラシャが好きで

岡田
うん。それがあったからこそ、いい発表になったよね

絵美
それで、ガラシャの辞世の句も好きで

岡田
ああ。いい句だよね。

絵美
うん。好きだから。好きなの

岡田
うん、それはわかって・・・

絵美
違う。あの、岡田

岡田
なに?

絵美
好きなの。岡田が好きです

結衣
(言えたね、絵美ちゃん!)

岡田
・・・ごめん。俺、好きな子いるから

絵美
うん。わかってるけど言いたかったの

岡田
そっか

絵美
じゃあね。私、教室戻るから

岡田
・・・絵美!

絵美
なに?

岡田
これからもよろしくな?

絵美
よろしく?

岡田
これからも友達だろ?

絵美
うん!

岡田
あれ?

絵美
あ・・・

さくら
絵美ちゃん・・・

結衣
絵美ちゃん、ごめん

絵美ちゃんは一瞬悲しい顔をした。
次の瞬間、ふわっとした笑顔で笑った。
結衣
(絵美ちゃんの笑顔がかえってきた!)

すーす
いかがでしたか?

すーす
やっと最終回を迎えることができました!

すーす
最後まで見てくれてありがとうございました!

すーす
👍待ってます!
