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繰り返す“はじめ”の世界Ⅴ

第1話 - 繰り返す“はじめ”の世界Ⅴ

135

2018年03月25日

#ホラー

刹那

爽

夏音ー？

爽

準備できてる？

爽

もうすぐで夏音の家着くから

夏音

うん

夏音

もう昨日のうちに準備しちゃってたからね

夏音

大丈夫だよ👌

爽

そう？

爽

なら良かった🙂

爽

あ、あとさ

夏音

何？

爽

俺のお母さんさ、なんか変な勘違いしてるんだよね

爽

俺が女子と二人で旅行に行くって言ったら😓

爽

ずっとニヤニヤしててウザいからさ、車の中では今みたいにスマホで話せない？

爽

ちょっと面倒くさいんだけどさ😓

夏音

うん

夏音

いいよ、大丈夫

夏音

その勘違い？っていうのなんとかなるといーね

爽

ほんとだよもう...

爽

あ、夏音の家見えてきた

夏音

あ、ほんと？

夏音

今出てくね

爽

あ、着いた

それから、私たちは爽の車の2列目に二人で隣に並び座った

私は爽のお母さんに挨拶をすると、すぐにスマホを開く

夏音

今日はありがとうね、本当に

夏音

私、すっごい楽しみにしてたんだ

爽

そなの？

爽

よかったよ😊

爽

俺も楽しみにしてたし

今回の旅行では、無料で3泊4日泊まらせて頂く代わりに旅館の裏方で見学&手伝いをする手始めになっていた

夏音

なかなかできない体験だものね

爽

そうそう

爽

あ、俺の友達の名前教えてたっけ？

夏音

あ、そういえば

夏音

教えてもらってないや

爽

やっぱり

爽

拓也っていうから

爽

俺の友達の名前

夏音

拓也さんね

夏音

分かった

それから私たちは、2人でくだらない話をしているうちに私だけ眠ってしまった

そして

爽の母

2人とも、着いたわよ

そこには、とても綺麗な手入れの行き届いている庭先が目に入った

爽

あ、うん

夏音

はい...

先程まで寝ていたばかりに、頭がまだぼーっとする

夏音

ね、爽...

夏音

どうしたの？

夏音

顔赤いけど

爽

い、いや

爽

なんでもないよ

爽の母

へー？

爽の母

なんでもないのね？

爽のお母さんは、にやにやとしながら爽を茶化していた

爽の母

よく眠れたんじゃないの？爽〜

爽の母

あ、もしかして緊張して眠れなかったとかー？

爽の母

こんな可愛い子にねぇ

爽

何言ってんだよもう...

爽

ほらっ、行こう夏音

夏音

あ、うん...

夏音

爽のお母さん、ありがとうございました

爽の母

いいのよ〜

旅館の中に入ると、すぐに女将さんが出てきて拓也さんを呼んだ

私たちは拓也さんにそれぞれ部屋に通され、これからする見学&手伝いの説明を受けた

それから、私たちのとても楽しく大変な3日間が始まった

夜になり、私たちは食堂へ通された

爽

ふぅー

爽

いやぁ、お前、毎日こんな大変な仕事してんのかよ

拓也

そうだよ

拓也

お前はいいよなー、こんな可愛い女の子と毎日遊ぶくらい余裕のある生活してるんだろ〜？

爽

い、いや

爽

そんないつもじゃないし

夏音

いつもじゃないの？

爽

へ！？

爽

あ、えと、その...

拓也

お前たじたじじゃんw

拓也

ま、夏音ちゃん可愛いから納得っちゃ納得なんだけどね

夏音

？

爽

夏音は気にしなくていいから...

拓也

ふーん？

拓也

お前、あれだろ

爽

は、はぁ？

爽

あれってなんだよ

拓也

べっつにぃー？

爽

って夏音、何笑ってんの

夏音

だって、なんか楽しいなって

夏音

こんな楽しいのいつぶりだろ

夏音

生まれて初めてかもしれない

爽

ほ、ほんとに？

爽

マジか

拓也

お前何ニヤニヤしてんだよ

拓也

キモいぞ

爽

うるさいわ

爽

だって。ほんと超かわい...

夏音

？

夏音

何が？

爽

い、いや

爽

なんでもない

拓也

ウケる

爽

ウケんな！

本当に、本当に

この時間が大切だなぁ

【翌日】

夏音

爽ー

夏音

おはよ

爽

あぁ、夏音

爽

おはよう

爽

待ってね、今行く

夏音

うん

夏音

あれ...

爽

ん？

爽

どした？

夏音

爽、そこに写真落ちてるよ

夏音

ほら、はい

爽

あ、ほんとだ

爽

ありがとう

夏音

...その写真さ

夏音

爽と一緒に写ってるのってお父さん？

爽

あ、うん

爽

そうだよ

夏音

小さい頃の爽、可愛いね

夏音

すごい、仲よさそう

爽

俺、お父さんのこと大好きだったしね

爽

仲は良かったよ

夏音

そっか

夏音

爽

そうかな？

爽

よくないよ

爽

ほんと、全然

夏音

どうして？

夏音

爽は幸せ者でしょ？

爽

幸せ者は夏音だよ

爽

俺は幸せ者なんかじゃない

夏音

そんなこと言わないでよ

夏音

そんなこと...

爽

...死んだんだよ

爽

俺のお父さん

爽

俺が5歳の時にさ

夏音

...え

拓也

爽と夏音ちゃーん？

拓也

そろそろ食堂行って食わないと食べ物なくなんぞー

爽

あ、うん

爽

今行く

夏音

あ、あのね

夏音

爽

ん？

夏音

私のお父さんもね...

夏音

えっと、その

夏音

あー...

夏音

な、んでもないや

爽

あ、そう？

爽

行こう

爽

なんか暗い雰囲気になっちゃったし

爽

ごめんね

爽

夏音は何も気にしなくていいから

夏音

...

爽

夏音？

爽

大丈夫？

爽

顔色悪いけど

夏音

...うん、大丈夫だよ

夏音

爽

それから、瞬くように私と爽の旅行は終わった

とても、とても楽しかった

旅館の人たちも、お客さんたちも、拓也さんも

そして、爽もとても優しくて

あぁ、本当に

暗い過去なんて、全て消し去ってしまえればいいのに

つづく

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刹那

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