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私は…寒さを忘れ、じっと真紅に染まった道路を無心で眺めていた
白く色を変えた吐息だけが、私を人間たらしめていた
父
ただ呆然とたち尽くした…
それはまるで無音の空間に取り残された1本の枯木のように
車のラジオからは、今日の天気予報が流れているらしい…気温が0度を切り雪が降り始めると…
だが、何も感じなかった……
寒さなどとうの昔に置いて来たのだから
彼女がまだいたあの時に…
父
父
私は独り呟き、そして嘆いた
気がつくと大粒の雪が降り始め、私の視線を覆った
雪は優しさなのか、真紅に染まった道路を見えぬ様にそっと白く隠した
それは、まさに新しい道へと導いているかのように
逃げる事の出来なかった私を、救うように
父
その時、父親ながら葛藤が始まった
逃げようとしている自分がいた…
つらかった…
妻に先立たれ、娘に縁を切られた始末
最後の家族であった娘を失くしてしまった自分の人生が…
父
私は、そんな事を考えながら車に乗り込み 車内を暖めた
逃げる前に、娘を殺した何かに復讐をしなければ …
父
私は、1人決心しながら娘の抜け殻に別れを告げた
必ず戻ってくると…
この時から、私の奥底に潜んだ狂気が姿を現し始めた
雪と娘を包んだ沈黙は、いつかの私を1人置き去りにして
遠い雪景色の中に消えていった
………………
続