凶悪なケモノのようなツァボライトの双眸はいつの間にかすっかり消えて、情けないような懇願するライトブラウンの瞳がオスマンを見つめる。
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osmn
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エ〜〜ミ〜〜ル〜〜〜ッ!!
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osmn
ほなエミちゃん、死なん程度にな。
オスマン、エーミール下ろし、そそくさと退場。
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tn
やぁっと思う存分に、相手できるなぁッ!!
エーミールの前に降って来るように現れたのは、グルッペンの右腕である書記長トントン。
狂気の笑顔で顔を歪ませ、エーミールの元へと一歩一歩詰め寄る。
tn
『まいった』程度で終わらす思うなよ?!
いつ手放してしまったか覚えはないが、エーミールは持っていたはずの鉄パイプを視線だけで探した。
さすがにトントン相手に徒手空拳は無理がありすぎる。 しかし、いくら探せど鉄パイプは見当たらない。 トントンとの距離は、縮まる一方。
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tn
そう言ってトントンは、後ろ手にして持っていた鉄パイプをエーミールに見せた。
tn
武器手放したら危ないって。
ほい、ちゃんと持って。
em
tn
銃火器以外やったら、何でもええで?
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大丈夫です…。
(??)
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エ〜〜ミ〜〜ル〜〜ッ!!
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FINAL STAGE FIGHT!!
em
コイツらそーゆー奴らだったよッ!
あの戦争狂をトップにした集団やぞ?!
因縁云々やのうて、単にお祭りに参加したかっただけやろ、こんなん!!)
必死で勝ち筋を考えていた自分が馬鹿馬鹿しくなってきたエーミールは、軍での立ち位置や力関係のことなどを、考えるのを止めた。
そういやコイツらは、そういうヤツらの集まりだった。 確かにロボロとトントンには因縁はあるが、彼らにとってはそれらは《お祭り》に参加する口実に過ぎない。
エーミールが予想以上に本気で“勝ち”を取りに来たのは、彼らにとって予想外だった。 本気以上の力を出してきたエーミールが、本気で仲間を殺しに来た。
だから、オスマンで止めさせた。 狡猾で柔軟な攻撃を仕掛けてくるオスマンは、エーミールの中では《ゾム》の天敵と言えるタイプだった。
たった2戦で、そうと見極めたオスマンとグルッペンは、トントン戦の前にエーミール正気にすべくオスマンにエーミールの中の《ゾム》排除させた。
すべては“祭り”のため。
tn
もう息が上がったか、エーミール!!
年か?年か?w
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tn
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tn
まだそんな力、出せるんかぁ!!
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tn
こっちも行くでぇッ!!
トントン戦が始まって三十分以上が経った。 全力での戦いに、両者ともに息が上がって来ていた。
それでなくとも連戦のエーミールは、もはや限界といってよかった。
だが、「まいった」と言いたくなかった。 負けるのは構わないが、そんなことでこの“祭り”を終わらせたくなかった。
ぶっ倒れるまで『楽しみたい』
しかし、体力的に限界なのは否めない。 もはや、エーミールの振るう武器は鉄パイプよりも小型化しており、それすらも振るう余力はない。
???
エーミールの脳に、何かが直接語りかける。
エーミールの瞳に、微かな緑色の光が、揺らめいた。
...
そこまでッ!!!!
威厳に満ちた重低音の声が、闘技場だけでなく、施設じゅうに響き渡った。
gr
トントン、エーミール。
グルッペンの一喝に、戦いに興じていた二人は自我を取り戻した。
二人はお互いに見つめ合うと、振り上げていた武器を下ろし、同時に手を離した。
gr
両者とも、引き分けということで、いいな?
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tn
gr
gr
...
???
ま、えっかw)
新人幹部によるエキシビションマッチ 参謀長エーミール 対戦成績 4勝2敗 1引き分け