短編集

クソみたいな仕事を終えてまっすぐ家に帰る

いや、前言撤回しよう

今日ぐらい、酒飲んじゃおっかな

そこまで強くもないのに、カゴにたくさんの酒とおつまみを入れる

誰かに媚びる訳じゃあないけど、エクレアをカゴに追加

ﾋﾟｯﾋﾟｯ ﾋﾟｯ

やば、心の声漏れちゃった

値段気にせずカゴに入れてったから思ったより高くなってしまった

まぁいっか

死にそうな顔の店員を背に店を出る

白を基調とした玄関

やっぱ、少し可愛すぎる玄関だな、引っ越そうかな

靴を脱いで適当に鞄を置き手を洗いに行く

リビングに行くと予想的中

私の彼氏、＿が静かに寝息を立てて寝ている

死んでるんじゃないかと疑いたくなるほど、静かな寝息

ﾁｭｯ

彼のおでこに軽く唇を落とす

起こしちゃった...？

いや、まだ寝ているみたいだ

それよりも...

先程買った酒に目をやる

ｶｼｭｯ

缶特有の音を立て蓋を開ける

ｺﾞｸｯ ｺﾞｸｯ

喉を通る炭酸、疲れた体に染みるアルコール

全てが今までの辛い出来事を忘れさせる

ふとスマホを触っていると、手首を掴まれる

図星だ、

正直いうとたぶんもう酔ってる

いや、ここまで正常な考えができるのなら、まだ大丈夫なのかも

あぁ、涙が出そうだ

ずっと、私ばかり、愛を伝えてきた

彼からの愛は、私の愛よりも少ない

ﾁｭｯ

返事のような、キスをされた

たった一瞬

それだけでも、私は満足だ

相手に溺れるように、溺れさせるように

もう一度、キスをした

共依存のような関係

フィクションだから許される関係