テラーノベル
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誰かの啜り泣く声が聞こえた
確かに、はっきりと聞こえた
昔の自分と重ねているようで、嫌だった
弱さを見せるということが、嫌いだった
いつの記憶かはわからない、花畑の中で幸せそうに笑う誰かがいる夢
俺が手に入れることのできない幸せを持っていて、
それが鬱陶しくて、鬱陶しくて、寝るという行為が苦手になった
ナチス卍
夢でもない、現実でもない、真っ黒な空間に、俺はいた
何が起きて、どうなったのか、朧げで、何もわからない
ナチス卍
──さ、──きて、──
おと──ま、
親父ッツ!!!
ナチス卍
悲痛な叫びに反応し、意識を取り戻す
ナチス卍
そこには、瞳を泣き腫らして、涙で顔をぐちゃぐちゃにした国、
“ドイツ”がいた
目を覚ました俺を見るなり、ドイツは勢いよく抱きつき、安堵の息を漏らした
ドイツ
ドイツ
自分を落ち着かせるように必死に話すドイツを見て、
俺は困惑の視線を向けることしかできなかった
ナチス卍
心の声が、疑問となって滑り落ちる
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツの視線の先には、包帯だらけの腕や腹部
やっと意識がはっきりとした
そうだ…俺は……
彼の方のために、全世界を敵に回したんじゃないか
急いで立ちあがろうとするが、全身に焼けるような痛みが走り,
思わずその場に座り込む
ドイツ
ナチス卍
威嚇するように大声を上げれば、ドイツは驚いたように固まった
ナチス卍
近くにあった机を支えに、ふらふらと立ち上がる
どれだけ痛くても、行かなくてはならない、支配しなければならない…
そう自分に言い聞かせ、扉に向かおうとした時──
ばっ!!!
行手を阻むかの如く、ドイツが両手を広げて前に立っていた
ナチス卍
ドイツ
ドイツはその場から一歩も動かないというように、真剣な眼差しを俺に向けた
ナチス卍
脳天に銃をセットして脅して見ても、ドイツはそこから動かない。
ドイツ
ナチス卍
ナチスの瞳が、動揺で揺れる
拳銃を持つ手が、不自然に震え始めた
殺さなくては、殺さなくては、殺さなくては
栄光ある、彼の方のために──
ぱんっっ!!!!
乾いた音が、静かな空間に響き渡った
同時に、ナチスの手から、銃が滑り落ちた
ナチス卍
後から、じんじんと頬が痛むのを感じ、思わず片手で抑える
ドイツ
ドイツは涙を溢しながら、ありったけの思いを叫びに乗せ、言葉を紡いだ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツ
ドイツは叫んだ
思いを全部吐き出して、
じんわりと冷たかった心に、少し暖かさが広がった気がして、
同時に我慢してたものが全部。溢れ出てしまって
ダメだって、わかっていたのに
俺の頬を、一筋の涙が伝った
ドイツ
ドイツが驚いたように顔を上げた
こんな俺でも、まだ、「家族」だと言ってくれる
それが。どれほど温かいものか。俺は傷ついた片手を、そっと胸に当てた
俺のやったことは許されないし、許されようとも思わない
だけど、今は、この時だけは、
何にも縛られず、息子といることを許して欲しい
俺は優しく、息子であるドイツを見つめた
ナチス卍
俺を、愛してくれて
コメント
26件
ドイツがナチを嫌う作品が多い(私のみた限りで)中、家族と言っていて、無事に涙腺崩壊しました
泣いた... 天才過ぎる...語彙力消えた...(泣)