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コメント
2件
イラスト上手すぎるし続きが気になりすぎる(っ ॑꒳ ॑c)
挿絵もはやアニメでは、、?えぇ、、好きです、、
これは俺が高二の夏の日の話
その時も多分今と同じくらい
いや、それ以上に暑かったと思う
だけど家にいるのも勿体無いから
どっか涼しい場所探して歩いてたんだ
俺の地元、郊外の寂れた集落でさ
コンビニもなければ遊べる場所なんて皆無
田んぼと空き家しかなくて、蝉とかカエルとか
そういう虫の声がやけにうるさいだけのところ
で、適当に拾った木の枝振り回して 電線に止まったカラスに 喧嘩売ったりして歩いてた
阿形
口からこぼれるたび それすら熱気の中に消えそうな真っ昼
その時ふと、何かが引っかかった
阿形
木の枝を振ったはずの手が、 空気中で「何か」に ぶつかったような
妙な抵抗感?があった
もちろん周りにはなにもないし 誰もいない。 風も吹いてない
背中に汗じゃない、冷たい感触が走った
その時はさ、そんな心霊とか信じてないから
気のせいだと思ってそのままほっといたんだよ
でも多分ーー
それがきっかけだったんだと思う
なんの目的もなく
ただ「涼しそう」っていうだけで 坂の上にある行ったこともない神社に 俺は足を向けた
鳥居の向こう、 蝉の声がぴったり止まった
まるで天敵でもいたように
あの時はただの偶然だと思った
阿形
本能が引き返そうって言ってる
暑さも、妙な空気も
全部おかしいとどこかでわかっていた
引き返さないと戻れなくなりそうで
俺は神社に背を向けた
背を向けたんだ
そのはずなのに動かないんだ
靴底が地面に張り付いてるみたいで 体が勝手に前のめりになって
阿形
漫画とかで見た 「足がすくむ」 ってこんなんなんだと思った
とにかくやばいと思って 喉が渇きまくって
それよりも 目が離せなかった
神社の奥
木々の影
そこにポツンと置いてある 小さい祠
ただの木造の古い箱だ
飾りもない、賽銭箱もない ボロい板がつけられてるだけの
でも
祠の中に「何か」いる気がした
目を逸らそうとするほど 引き込まれる
あの中を覗いたらなにが見えるんだろう
いや、違う
阿形
見なきゃいけない気がする
そんな義務感みたいなやつが 俺の背を押す
カサッ
背後で音がした
振り返れなかった 前身が鉛みたいで
祠だけに目が釘付けになっている
ーーーそして次の瞬間
阿形
俺は神社の外で寝転んでいた
あんな暑かったのに 風が妙に涼しくて、
背中に草の感触と 湿った匂いが染みこんでいた
阿形
阿形
空は、夕方だった
頭がぼーっとしてて 思い出せなかった
ただ、帰り道
腕の裏に細かい傷が 何個もついているのに気づいた
爪痕みたいな
小さい子どもの手で 引っ掻かれたみたいな浅くて細い傷。
阿形
とにかく気味が悪いし 汗もかいたからすぐ帰った
家に帰る頃には、 空はすっかり赤く染まっていた。
夕焼けが田んぼに映って、 まるで空ごと沈んでいくみたいだった。
草の匂いが服に染みついてて、 頭はまだ少しぼんやりしてたけど
「……あんた、今帰り?」
母さんがそう言った
阿形
阿形
「出て行ったのつい30分前でしょ」
阿形
「冷やし中華食べて、 暑いからって散歩しに行ったの 4時半過ぎよ」
時計を見ると現時刻午後5時前
阿形
祠の前で立っていた感覚だけでも それくらいあった
でも、時計は確かに母さんの話とズレてない
「暑くてボケてんじゃないの?」
阿形
阿形
祠の前で立ち尽くして 気がついたら外で寝てた
なんて、どう説明すればいい
母さんの中で俺は 「出て行って30分も経ってない」
まるで、神社の中だけ 時間が切り取られてるみたいなーーー
「変な虫でも刺されたんじゃないの」
とか言いながら俺の腕を掴んだ
「なにこれ、猫…じゃないよね」
阿形
気づいたらついてたんだよな その傷も
阿形
急に声が遠くなったような気がした
質問には答えられなかった
でもーーーーー
なぜかその時、 脳裏にふっと声が浮かんだ
…思い出したくないのに どこか懐かしいようなその声が 耳の中で何度も繰り返された
『……また来てくれたんだね』