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あの日のことは、今でも忘れない。

璃恋。ほんとにおめでとうっ…!

お母さんが泣きながら私に抱きついてくる。

璃恋

もう。なんでお母さんがそんなに泣いてるの

笑いながら、私も母の背中に手を回す。

合格、それと、首席…ほんとに、ほんとにおめでとう……

そう。まだ少し肌寒い、春の日だった。

璃恋

ありがとう。お母さん。

あの日、私の前にこれでもかと大きく佇むその高校を見て、心を震わせた。

璃恋

3年後、私はどうなってるのかな?

期待と、不安の入り交じった心。

まだ早いわよ。入学すらしてないのに

それでも、ほんの少し、いや、圧倒的に、期待の方が大きかった。

璃恋

そうだね。ごめん

そう言って笑うと、私の足元に、1枚の桜の花びらが舞い落ちた。

高校に入学してから約2週間。

友達もできて、それなりに充実した生活を送っている。

るぅと

…みやさん!あまみやさん!

璃恋

…え?なに?どうしたの?黄田くん

彼の名前は黄田るぅと。こうだ、という割と普通な名前に対し、るぅと、という名前は珍しいと思う。

るぅと

今少しお時間ありますか?

璃恋

ありますけど…

ちなみに黄田くんとは同じ学年、同じクラスだけど、敬語を使われるから、私もたまに敬語になってしまう。

るぅと

よかったぁ!実は僕、生徒会長に推薦されちゃって…

璃恋

生徒会長?すごいね

るぅと

ありがとうございます…それで、天宮さんにお願いがありまして…

璃恋

?どうしたの?

るぅと

もしよければ、副会長をやってくれませんか?

璃恋

副会長?私が?

るぅと

そうです!生徒会に入ることは構わないのですが…信用できる人が欲しくて…

璃恋

なるほど。それなら構わないけど…どうして私なの?

るぅと

え?だってこの高校にも首席で入学してるし、なんかオーラが違うっていうか…

璃恋

オ、オーラ?

るぅと

まぁビビっと来たんです!なのでお願いします

璃恋

いいよ。ちなみに他のメンバーはいないの?

るぅと

えっと、天宮さんの女子副会長に対する男子副会長が2年の赤坂莉犬先輩

るぅと

書記を務めるのが2年の桃瀬さとみ先輩

るぅと

会計が2年の水越ころん先輩って感じかな

璃恋

赤坂先輩、桃瀬先輩、水越先輩ね…そのなかで女の人は…

るぅと

いませんよ

璃恋

は、はぁ?!

思わず大きな声を出してしまい、教室にいた何人かは振り返ってこちらを見ていた

璃恋

あ、ごめん…えっと、女子はいないってことかな…?

るぅと

そうです。あと、3年生の先輩は受験の関係で生徒会に入れないので、このメンバーで1年間やることになりますね

璃恋

わかった…協力するよ

るぅと

ありがとうございます!!

ため息混じりに承諾すると、黄田くんはキラキラした笑顔を浮かべ、どこかに行ってしまった。

ほんとに大丈夫なんだろうか…

クラスメイト

璃恋ちゃーん!どこ行くのー?

璃恋

生徒会室に行くの。黄田くんに誘われてね…

クラスメイト

…黄田くんって、あの次期生徒会長の?

璃恋

そうそう。実力主義だからって、新入生に生徒会長やらせるのかーって思うんだけどねー…

クラスメイト

…ここだけの話ね。黄田くんって、実は裏口なんじゃないかって話が出てるの。

璃恋

裏口?

クラスメイト

そう。裏口入学。

クラスメイト

だってさ、おかしいと思わない?

璃恋

なにが…?

クラスメイト

首席で入学したのは璃恋ちゃんなんでしょ?なのになんで黄田くんが生徒会長になるの?

璃恋

…たしかに

璃恋

それ、本当だったら、許せないんだけど

クラスメイト

…璃恋ちゃん?

璃恋

私は、こんなに努力して、こんなにがんばってこの立場を手に入れたのに。

璃恋

黄田くんは、お金だのなんやらで簡単にその立場を手に入れたってことでしょ?

璃恋

そんなの許せない…

璃恋

…決めた!私、黄田くんに近づいて、黄田くんの弱みを握る!

璃恋

それで、正体暴いて、ギャフンと言わせてやる!!

クラスメイト

璃恋ちゃん?本気でやるの?それ

璃恋

もちろん!だって、そんなの許せないもん…!!

私は太ももの横の手のひらをぎゅっと握った。

璃恋

絶対、黄田くんの弱みを握ってみせる!!!

甘い夢に魅せられて。

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