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香川
東京さんがナイフとポケットから出した
何に使う為に出したの? もしかして、僕にこっちに来てって言った理由って…!?
今までニコニコしていて閉じられていた東京さんの瞼がゆっくりと開いた
東京さんの目は、まるで黒く塗り潰したかのように黒く、光が無かった
東京
そう言いながら少し後ずさって離れた僕に再び近寄ってくる
僕は後ろに下がるが、背中が壁にぶつかって、これ以上後ろに行けなくなった
香川
気付くと、恐怖で体が震えていた
目から溢れた涙が僕の頬を伝って、床を濡らす
目の前まで迫って来ていた東京さんは無表情だった
無表情で感情がないその表情は、闇に染まりきっているように見えた
泣いている僕を無視してナイフを振りかざす
あぁ…僕死ぬんだ、そう思って目を閉じた、その時だった
バリーン!!
東京
急にガラスが割れる音が家中に響いた
僕は、吃驚して東京さんがよそ見をしたのを見逃さなかった
その隙に東京さんと壁の間をすり抜け、ここから逃げるために玄関へ走ろうとした
でも、東京さんの反応速度が早すぎて、逃げようとした僕の腕を掴まれて止められた
ダメだ、逃げられない…
??
東京
香川
すると突然、聞き覚えのある、力強い叫び声が響いた
カーテンの隙間から漏れる朝日に照らされて見えたのは、3大都市の愛知くんだった
東京さんが僕の腕を掴んでいた手を離す
それを見て僕は愛知くんの元まで走り、抱き着いた
優しく頭を撫でてくれる愛知くん
東京さんを見ると、俯いていて何を考えているのか分からなかった
今の東京さんは、もういつもの東京さんではなかった
まるで悪魔に取り憑かれているみたいに怖かった
愛知
そう言いながら僕を庇うように前に立つ愛知くん
東京さんは未だ俯いたままで、僕は恐怖を覚えた
東京
東京
東京
邪魔…?愛知くんが東京さんの邪魔をしてくれなかったら僕は間違いなく死んでた
そもそも東京さんは、何で僕を殺そうとしたの…?
東京
愛知
狂ったように「なんで」を繰り返す東京さん
僕は、そんな東京さんを見たことがなかった
香川
東京
東京
そう言って、ナイフを持って迫って来る
愛知
愛知くんは咄嗟に、恐怖で動けない僕を抱えて走り出した
抱えられて僕の体は後ろ向きになっていたから、東京さんの背筋が凍るような不気味な笑みがよく見えた
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