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けぺ
けぺ
けぺ
目が覚めた
サンウ
時計を確認すると、もう13時を回っていた
サンウ
小さな声で呼んだ
こうすればいつものように抱き締めてくれる
そう、思っていた
サンウ
いつまで待っても兄貴の腕が俺を抱き締めて、慈しむように撫でてくれることはなかった
サンウ
上体だけを起こして隣を見た
そこに、兄貴はいなかった
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
見 捨 て ら れ た ?
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
空中に吐き出された悲痛な声が行き場もなくたゆたっている
…家が思い出よりもずっと広く見える
サンウ
兄貴がよく使っていた物だ
もう兄貴の温もりは残されていなかったがしかとそれを握り締め、再度兄貴を捜す
サンウ
ぞわりと全身を多足類の虫が這うような感覚がした
サンウ
兄貴には何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も外に出ないように言った
その度に兄貴は、苦笑しながら「分かった」と、諌めるように肩を叩いた
サンウ
一人で外に出るなんて、いつぶりか。
ずっと…ゲームが終わってからずっと外には出たくなかった
でも今は、兄貴がいない家の方が何倍も、何十倍も怖い
兄貴がどこにいるなんて宛もない
ただ、走っていた
サンウ
呼吸が荒い
両足が鉛がついているかのように重い
サンウ
50mほど先。今、こんなにも必死になって渇望していた人が見えた
サンウ
サンウ
はっとして前を見た
ギフン
寝巻き姿にセットどころか整えられてもいない乱れた髪、眼鏡をしておらず目を細めている見知った男
ギフン
ギフン
サンウ
サンウにそのままの勢いで抱擁される
ドン、と激しい衝撃に思わず2,3歩後ろに下がる
ギフン
サンウ
手からビニール袋が音を立てて落下した
今日の夕食の材料だ
サンウ
ギフン
ポタリ、ポタリと液体が足元の地面を染めていく
ギフン
眩む視界でサンウを見ると、泣き腫らした目を更にうるませて真っ直ぐこちらを見ていた
サンウ
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
そこまで続けて、サンウは包丁を俺の腹から抜いた
ずるりと顔を覗かせた刃先は未だに赤い糸で俺の腹とサンウとを繋いでいる
ギフン
サンウ
サンウは血濡れた刃先を自身の首に向けた
ギフン
止めようと伸ばした手は力が入らない
ぐじゅ、と嫌な音がした
野次馬の悲鳴や取り乱したような声が聞こえる
薄れゆく意識の中で、自身もサンウももう手遅れだと悟った
天を仰ぎ、考える
ギフン
そう呟いてから気付いた
もうすっかり赤く染まってしまったが、今日の服はお気に入りのものだった
けぺ
けぺ
けぺ
けぺ
コメント
2件
待ってました〜!!!!😻😻サンギフ⋯!!︎🫶🏻💕心中エンドは最高過ぎますよ〜〜〜(*>З<)💕💋💋