星屑コンテスト応募作品

小さい頃から思っていた。

誰かのヒーローになりたいって。

そのことを父さんに話したら、

　「今は頼って助けられてばっかりでも、いつかは人の役に立てるから。そう焦らなくていいんだよ」

そう言われた。

だけど現実はそう上手くはいかなくて、

助けようとしても失敗して、

期待されて失敗して。

もう期待されなくなった。

だけどどうでもよかった。

だって、僕が一番僕にガッカリしていたから。

ヒーローとはほど遠い、劣等生じゃないか。

ヒーローになりたかった。

かっこいいヒーローに。

でもいろんなものを裏切って、

もう誰も僕に、

「頑張れ」

って声をかけてはくれなくなった。

でも、それでも、そんなことになったとしても

まだ大丈夫、きっともっと頑張れば上手くいくって

ずっと僕を諦めきれないでいた。

子供の頃から母さんに言われていたことがあった。

　「あなたはね、お母さんのお腹の中にいる時からいろんな人に望まれていたの。望まれて生まれてきた子なのよ」

　「だから、いつでも自信を持っていなさい」

そう言われたから、

ずっと自分に自信を持って過ごしていた。

だけど、僕が失敗ばかりするから、

いい子じゃないから、

誰にも見向きされなくなった。

でもどうでもよかった。

だって、他のどんな人よりも、

僕自身が、僕に一番期待していたから。

一番期待して、いつかは誰かを救えるヒーローになれるんだって思ってた。

でも、いろんな人を裏切ってしまったから。

もう誰も僕に見向きしなくなったから

誰にも、もう応援されなくなった

受験も、就活も、結婚も

もう、誰も

「頑張れ」

って声をかけてはくれなくなった。

でも、それでも、そんな状況になったとしても、

やっぱり僕は僕を諦めきれなかった。

どんなことを言われても、決して自分に対する自信を失うことはしなかった。

でも、そうやってずっとずっと自分を信じてきたけれど

ずっとずっと"誰かの"ヒーローになりたかったけど

ようやく気づいた

僕が何より救いたいのは、人の命とか、世界とかじゃなくて

紛れもない、僕自信だった

ずっと、"僕"のヒーローになりたかった

いろんな人を裏切って、自分の心さえも裏切ってきた

だから、昨日も、今日も、明日も、

もう、

「頑張ろう」

って思えなくなった。

でも、それでも、まだほんの少しだけ、

希望を持ち続けていた。

だって、ヒーローって

いつだって、自分を信じて歩いてたでしょう

誰かのヒーローになりたかった/傘村トータ 様より

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