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こうなれば
勢いで乗り切るしかない
俺は桃に向けてウインクを決めるが
そのタイミングで向こう側にいた女子と目が合ってしまう
女子クラスメイト
俺の熱い視線を浴びた女子が小さな悲鳴を上げる
仕方がないので
眼球を必死に見開きコンタクトが乾いたふりをして誤魔化した
桃
桃
紫
紫
桃
ああだこうだと桃と言い合ってると
授業開始のチャイムが鳴り響いた
ここからは
俺が勉学に励むだけの時間なので省略する
紫
紫
桃
紫
紫
桃
俺は思わず胸を押さえる
心が泣いた
親の話題を持ち出されるのは辛いものがある
京都の高校に進学した俺をバックアップしてくれいているのは
紛れもなく香川県に住む母ちゃんと父ちゃんなのだ
ごめんよ
ごめんよ
嗚呼
讃岐平野に峙立する飯野山の姿が恋しい
悲しみを転がしていると
隣の席の翠がゆっくりと起動した
この男
驚くことに朝から放課後までぶっ通しで胸っていたのである
四時間目から寝ていた俺が言うのもなんだが
何しに来たのかわからない
翠
翠
紫
紫
紫
翠
翠
翠が
机にかけたリュックサックを気だるげに持ち上げる
だが
席を経とうとしない俺を見て瞳に困惑の色を滲ませた
翠
翠
紫
紫
視線と共に提案すると
翠はにっと広角を上げた
翠
翠は椅子に座り直し
続きを促す
教室に残っているのは
すでに俺と翠の二人だけであり
悪巧みや与太話も自由に繰り出せそうだ
俺は傍らで浮かぶ桃に笑いかけ
ガッツポーズをする