紫
桃
紫
良かったな
紫
翠が協力してくれるってさ
桃
いやいやいやいや
紫
どうしたの
紫
そんな焦って
桃
具体的な話してないじゃん
桃
即決すぎて
桃
より一層不安になった
桃とやり取りする俺を見て
翠は怪訝そうな表情を浮かべる
翠
…紫
翠
それは新しい芸か?
紫
違う
紫
お前には信じられないかもしれんが
紫
ここに男子がいる
翠
マジか
紫
大マジだ
紫
しかも美男子
美男子と聞くやいなや
翠は弾かれたように立ち上がった
俺の言葉を疑う素振りはまるでなく
翠はつんと立った髪を丁寧に撫でつけ白い歯を零した
その動作は頭頂部からつま先まで馬鹿がぎっしり詰まっており
我が友ながら悲しみさえ覚えてしまう
翠
俺は緑川翠や
翠
よろしくな
翠
美少年くん
桃
いやいやいやいや
紫
翠
紫
美少年くんは
紫
お前の思考回路に戸惑っている
翠
マジか
翠
すまんな美少年くん
桃
…理解
桃
理解できない生き物っ!
桃
順応性バグってない?
桃は頭を抱えているが
翠はこういう生き物だ
事情など二の次で
楽しそうならとりあえず乗っかってみる男である
だからこそ俺と馬が合う
そう
俺が馬なら翠は鹿だ
翠
てかよ
翠
俺もその美少年くん拝みたいんやけど
紫
だってさ桃
紫
なんとかならない?
桃
そ
桃
そんな急に言われても
桃は両手をぶんぶんと振り
うろたえた
ならば
翠に波長を合わせてもらうしかなさそうだ
紫
翠
紫
集中しろ
紫
信じろ
紫
ここに古部田桃という美少年の霊がいる
翠
任せろッ!
翠は唸りながら目を細める
これで見えたら
流石の俺も畏怖の念を抱くだろう