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良かったな

翠が協力してくれるってさ

いやいやいやいや

どうしたの

そんな焦って

具体的な話してないじゃん

即決すぎて

より一層不安になった

桃とやり取りする俺を見て

翠は怪訝そうな表情を浮かべる

…紫

それは新しい芸か?

違う

お前には信じられないかもしれんが

ここに男子がいる

マジか

大マジだ

しかも美男子

美男子と聞くやいなや

翠は弾かれたように立ち上がった

俺の言葉を疑う素振りはまるでなく

翠はつんと立った髪を丁寧に撫でつけ白い歯を零した

その動作は頭頂部からつま先まで馬鹿がぎっしり詰まっており

我が友ながら悲しみさえ覚えてしまう

俺は緑川翠や

よろしくな

美少年くん

いやいやいやいや

美少年くんは

お前の思考回路に戸惑っている

マジか

すまんな美少年くん

…理解

理解できない生き物っ!

順応性バグってない?

桃は頭を抱えているが

翠はこういう生き物だ

事情など二の次で

楽しそうならとりあえず乗っかってみる男である

だからこそ俺と馬が合う

そう

俺が馬なら翠は鹿だ

てかよ

俺もその美少年くん拝みたいんやけど

だってさ桃

なんとかならない?

そんな急に言われても

桃は両手をぶんぶんと振り

うろたえた

ならば

翠に波長を合わせてもらうしかなさそうだ

集中しろ

信じろ

ここに古部田桃という美少年の霊がいる

任せろッ!

翠は唸りながら目を細める

これで見えたら

流石の俺も畏怖の念を抱くだろう

さよなら僕のドッペルゲンガー

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