長尾謙杜side
みっちーの病院からの帰り道
俺は何も考えられなかった
ただ、さっきのみっちーの表情
声、メールの画面
それだけが頭の中をぐるぐる回っていて
今、自分がどこに向かっているかも 分からない
どうすればよかったんだろう
みっちーの話を聞いて
俺はどうすればよかった?
「大丈夫だよ」
「俺たちがついてるから」
そんな言葉を
軽々しく言っちゃいけない気がして
…
これは俺だけの中に留めておいていいことなのか?
メンバーに言った方がいいの?
でも、みっちーは内緒にしてたわけだし
俺が勝手にほかのメンバーに言っていいことじゃない
長尾謙杜
長尾謙杜
言いたいことも、聞きたいことも
沢山あるのに…
道枝駿佑
道枝駿佑
みっちーとのやり取りを見返す
どんな気持ちで
みっちーは俺にこのことを 話してくれたんだろう
隠していたかったのに
俺が勝手な行動をしたせいで
みっちーに苦しい思いをさせた…
…
でも、動き出さなかったら
この現状を知らなかった
なんにも知らないで
ただみっちーの帰りを待って
後に、最悪の事態になってから
スタッフから伝えられる
そっちの方がよりショックを 受けたと思う
だから…
長尾謙杜
ただそう思いたいだけかもしれない
長尾謙杜
みっちーごめん
俺、結構自己中なのよ
だから大人しく帰ることは出来ない
みっちーの病室の前に立ち
聞こえるはずもないがノックをする
当たり前だけど部屋の中からの返事は無い
それだけで涙が出そうになった
それでも、俺は泣いたらダメだから
今泣かなきゃいけないのはみっちーだから
唇を噛みながら涙を我慢した
部屋の扉を開けると
さっきと同じように窓の外を見る みっちーがいた
でも、ただ外を眺めているだけじゃなく
肩が震えていた…
すぐに泣いているとわかった
手にはスマホを持っていて
俺との会話の画面が開いてあった
俺が部屋を出ていったあとも
みっちーはずっと泣いてたんだ
長尾謙杜
みっちーは振り向かない
改めて本当に聞こえてないんだと 実感する
そんな俺の気配に気がついたのか
みっちーが振り返る
たくさん目に涙を貯めているのに
俺の姿を見て、もっと涙が溢れてくる
そんな姿を見て申し訳ないと思いつつ
やっぱり1人にしちゃダメだと思った
俺は精一杯の笑顔を見せて
ポケットからスマホを出す
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
道枝駿佑
道枝駿佑
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
スマホの画面から目を外し
みっちーを見るとさっきよりも泣いていた
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
メッセージを打ち終わり
スマホをポケットにしまう
静かに号泣しているみっちーを横目に
俺は廊下で待機しようと 病室から出ようとした
そんな俺の腕を掴み
何か言おうと口を動かすみっちー
頑張って声を出そうとしてるから
俺はみっちーの横に座り背中をさする
「ゆっくりでいい」という意味を込めて
心拍音に合わせ、背中を優しく叩く
数秒経ったあと、息を整えたみっちーは
道枝駿佑
道枝駿佑
メッセージではなく自分の声で
気持ちを伝えてくれた
そんなみっちーに答えるべく
俺はあえてスマホは取り出さず
わかりやすいように大きく口を動かし
みっちーの手を取り指で文字を書きながら
長尾謙杜
そう答えた
コメント
2件
待ってました!今回もすばらしかったです!続き楽しみにしてます!